EnB 1号 目次
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■EYE
「世界に誇る環境技術」日本にあるのか?詳細へ

■REPORT

エンジ産業、案件消化と民需転換が課題に
エンジニアリング業界の2006年度決算状況

■GLOBAL Report
E&C産業、活況は繁栄とともに難問をもたらす
コスト高騰からプロジェクトの工期遅延・中止へ
ドイツ・プラント受注、2年続き新記録
エネルギー・素材需要が牽引、9%増の263億ユーロに
GEA、Lurgiに続いてLentjas売却が決定
プラントエンジニアリング部門撤退が終了

■TOPICS
好調続く産業機械受注高
住友金属鹿島第3高炉が完成
“学習と進化”を具現する三造千葉事業所
液化DMEで下水汚泥を脱水

■NEWS Flash
・日揮、シンガポールの製油所改修を受注
・日立製作、欧州で大型石炭火力3基受注
・三菱重工、スペインから大型排脱受注
・IHI、国内最大級の製紙用塗工設備を受注
・三井物産、メキシコで水処理事業
・日立製作、原子力でGEとの共同戦略を強化
・三菱重工、原子力およびG型タービン増産へ
・神戸製鋼、インドネシアで改質褐炭実証設備に着工
・荏原製作所、高揚程ポンプシステムで機械学会賞
・カワサキプラント、木質バイオガス化設備を完成
・巴バルブ、Alstomと長期納入契約
…東芝プラント新社長に石井哲男氏
…住友金属、システム建築事業を共同事業化
…JFEスチール、比CDM事業で国連承認

■Projects News

…Dow、Ras Tanuraで石化コンプレックス計画
…サウジNCPエチレン計画で入札
…サウジAl-ZourIWPPでRFPへ
…宝山鋼鉄、河北省に合弁製鉄所を計画
…DOW、陜西省の石炭化学PJで共同実施契約
…宇部興産、タイにナイロンプラント
…印ONGC、ダヘジのクラッカーで発注へ
…Reliance、ユニポールプロセスを採用
…Kvaener、PetorokemyaからVCMプラントFEED
…Sipchem、Jubailのクラッカーでbid
…オマーンDuqmで近く許認可へ
…クウェート、Al Zour製油所計画で入札へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリング・ダイジェスト

■EDITORIAL
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EnB 10号 表紙

 

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「世界に誇る環境技術」日本にあるのか?
 地球温暖化問題が語られる際、よく言われるのが「日本には高度な環境技術があリ、世界に貢献していける」という話だ。だが、日本のどういう環境技術が世界に貢献できるのか、それがどれほど世界に求められているか、という話が続くことは殆どない。何故だろうか。実際のところ、日本で発達してきた環境技術は、日本国内仕様であり、海外展開には向かないのではないだろうか?
 以前「グリーンエイドプラン」という環境技術協力の枠組みがODAで実施されたことがある。中国の石炭火力発電所に排煙脱硫装置を付けさせたのだが、知っての通り排煙脱硫装置の運転には生石灰の投入など、結構お金がかかる。しかも、中国では発電所単体での利益の創出が義務付けられていたため、高度な排煙脱硫装置を設置しても実際に使われることはなかった。当時、日本で進んでいた熱効率の高い超臨界圧ボイラも世界からは見向きもされなかった。
 地球温暖化対策技術は省エネ、代エネが基本だ。省エネに関しては日本は一日の長がある。しかしそれは実に多岐にわたる技術であり、それらは「規制への対応」という側面が強い。要は技術そのものよりも制度の問題なのではないか。そして代替エネルギーに関しては明らかに欧米の方が先進的だ。
 最近になって、漸く超臨界圧石炭火力技術が世界で認められるようになった。また高性能の排煙脱硫装置についてもやっと世界で需要が出てきた。しかし、だからといって、今後世界が日本の技術に注目してくるとは言いきれない。多くの環境技術が欧米に遅れているためだ。例えば新エネルギー関連では太陽光発電は日本が強いものの、風力発電では欧州が強い。バイオマスエネルギーでも明らかに欧米が進んでいる。
 今後のCO2削減技術として大きな期待が寄せられているのが、CO2回収・貯留技術(CCS)だが、これも欧米が一歩先んじている。日本では三菱重工などが開発しているものの、世界での知名度はまだ低い。技術が無いのか、それとも世界へのアピールが足りないのか。いずれにしてもまだまだ、日本の技術の認知度は低い。認知度が高いのはハイブリッド車ぐらいか?
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編集後記

○…地球環境保全が世界的コンセンサスを得たのは、商品経済システムにうまく乗った大きな要因だ。それには京都議定書に組み込まれたCDMなどの商品化システムもあるが、一般人へのエコとかグリーンという概念の普及が大きい。経済学で需要を説明するのに効用理論がある。ユーザーが効用の一つとして、(健康に良いと同じように)環境に良い、エコ商品という効用が認知されたのだ。この効用は自分のためよりも、子孫のため=利他性という特徴がある。
 環境対策などで、科学的に因果関係が証明されない状況でも対策をという予防原則が必要とされる。ところが、現在の環境政策について科学的因果関係が証明されたものかと言えば極めて怪しく、現時点で科学者の多数のコンセンサスがあるに過ぎず、過去の政策で科学の進歩で現在では誤りとなったものも少なくない。つまり環境政策全体が予防原則に基づくもので、この原則を特記すべきではない。リスクや確度に従って、政策とすべきかが決まるものだ。
 地球環境のCO2主犯説も1つの仮説に過ぎない。安部首相が提起した2050年CO2半減などという社会的経済的に巨大な影響を与える政策は子孫にとってハイリスクだ。省資源・省エネルギーはCO2説の真否にかかわらず、今後の地球に必要な政策だ。これこそが環境分野における利他性の政策なのだ。
○…ごく最近、ある方から「ご近所が撒布する家庭用殺虫剤で健康被害を受けている」という相談を受けた。2年ほど前からこの症状に悩み、その方は我われが居住する大規模集合住宅の関係者に訴えつづけてきた。周辺住民とのトラブルにさえ発展してしまっているのだ。
 正直言うと、役目がら仕方なくこの悩みを始めて聞いたとき「あまりに神経質すぎる。ゴキブリ退治にスプレーを撒くのは違法でも何でもない。集合住宅に居住するからには、お互いにある程度の我慢は必要」と考えた。これまでの相談でも多くの反応はそのようだったろう。ご当人も「大部分の人は私の頭がおかしいと思うのでは?」とも言った。当のご家族も「臭いなどは何もしない。空気清浄機を複数台入れており、部屋もなるべく密閉するようにしている」と私の前で言い争いはじめた。
 その方は「化学物質過敏症」という診断を受けたそうである。実はこの病は私にとって初耳だった。調べてみると、社会問題化している「シックハウス症候群」もこの範疇に入る。圧倒的に多い原因は殺虫剤、防虫剤、香水、芳香剤類のようだ。この病に悩む人は全国に70万人いるという。しかし周囲に理解はされていない。花粉症のように一般的になってくれば周知されてこようが、今後その可能性は大きいような気がしてきた。

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