EnB 1号 目次
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■EYE
より重要となった温暖化対策 詳細へ

■REPORT

日揮、ITソリューションで新展開
千代田化工、複数間工場連携で省エネ優秀賞

■Global Report
2007年のLNG、2006年の停滞を払拭できるか
・世界のLNG(2)
2006年中国海外コントラクト受注、660億ドル

■TOPICS
化学工学会賞、日揮など4グループが技術賞

■NEWS Flash
・カワサキプラント、モロッコからセメントプラント受注
・荏原製作所、欧州で廃棄物発電を受注
・日立製作、韓国から鉄道車両受注
・住友商事、インドネシア地熱発電所受注
・横河電機、ラービグ向け制御システム受注
・丸紅、ウクライナで回収メタン発電計画
・燃料用DMEで9社が合弁会社設立
・三菱重工、4事業を子会社に移管
・三井造船、環境事業を再編

■Projects News
…サイアムセメント、MMAプラントを建設へ
…シンガポールLNG計画でRFP
…PetroChina、ウルムチのプラントでUOP採用
…相次ぐインドの製油所能力増強計画
…パキスタンLNG、政府認可取得
…UAE、原油生産設備DCS化で入札
…Uhde、LukoilからPVCプラント受注
…Technip、UAEダス島でガス昇圧設備
…Fluor、SiburのPPプラントのPMに
…Shell、加オイルサンドで能力増強へ
…スイスでガス複合火力

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■連載
しらないでは済まされない!
海外プロジェクト建設法律のミソ

■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL
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EnB 3号 表紙

 

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より重要となった温暖化対策
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書が発表された。一部では「より温暖化が深刻となった」というような報道もあるが、実際の報告書の内容はそのように不安を煽るものではない。
 今回の報告書の最も重要なポイントは、温暖化が起こっていることを断定するとともに、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定(90%以上の確率)した。これによって、これまでくすぶっていた、温暖化の原因が太陽活動など自然要因であるという見方をほぼ完全に斥けたといえるだろう。
 そのほかには、今後の予測の精度が上がったこと。1980年から1999年までに比べ、21世紀末の平均気温上昇は1.8℃〜4.0℃となり、3次評価報告書の1.4〜5.8℃から幅が小さくなった。また平均海面水位上昇は18〜59cmで、3次評価報告書の9〜88cmに対し、不確実性が減少している。
 また今回、@2030年までは10年当たり0.2℃の昇温が予測される、A北極海の晩夏における海氷が21世紀後半までにほぼ完全に消滅する、B大気中の二酸化炭素濃度上昇により海洋の酸性化が進む、C温暖化により大気中の二酸化炭素の陸地と海洋への取り込みが減少するため、人為起源排出の大気中への残留分が増加する傾向がある−という新たな見解も示した。
 温暖化が人為的要因によるものであることがほぼ確定的になり、その影響の予測の精度が向上したことで、温暖化対策はより重要性を増したことになる。しかしそれは全世界の経済活動を無理やり制限するような性急な方法である必要はない。2012年までと期限を設けて温室効果ガスの排出をどれだけ減らすか、というような総量規制は必要ない。その意味で我々にはまだ充分な時間が残されている。
 重要なのは、全世界レベルでのエネルギー効率の向上と、新たなクリーンなエネルギーへの転換を着実に進めていくことである。その具体的な事例は既にプラント業界でも数多く生み出されてきていた。これを日本や先進国だけの事例とするのではなく、広く全世界に広げていくことが重要だ。エンジニアリング産業は知識集約型産業であり、多くの提案が可能なはずだ。
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編集後記

○…厚生労働大臣の「産む機械」発言が物議をかもしている。少子化対策に悩みぬいての発言であったかもしれない。
 けれど、女性が厚労大臣であったら決して出てこない発言であろう。男性にとっては「産みの苦しみ」は想像の世界であるが、女性にとってはわが身の問題であるはずだ。そして、出産後の子育ても女性の献身抜きには語れないのではあるまいか。例え話にしても、出産、子育てを「機械・装置」に置き換えるてしまうのは、全く相応しくないだろう。
 話は飛躍するが、たしかに無機質な「産む機械」がたくさん出来れば少子化問題は解決するだろう。もしかすると数世紀あとに、技術的には本当にそれが実現するかもしれない。「機械」と聞くと、思い起こされるのがクローン人間である。擬似人間の大量生産が可能になる。けれどそういう世界を想像したくもないし、見たくもない。多くの困難を乗り越え、子供を育てていくからこそ愛情が湧くし、人間味あふれる社会が成り立つのではあるまいか。
 ここで言いたいのは、少子化傾向=マイナスと捉える必要があるかだ。日本社会・経済は減退するかもしれないが、全地球的にみれば決して少子化傾向にはない。地球規模でいえば、むしろ水・食糧問題などで人口増こそ懸念されているのだから。
○…NHKが最近放映した「大化改新−隠された真相〜飛鳥発掘調査報告〜」を見た。つい最近公表された蘇我入鹿邸跡と目される甘樫岡遺跡の発表を目玉として、最近の学的成果に基づくと称して、通説とは反する事実が判明してきたという番組であった。甘樫岡遺跡は城塞で蘇我氏が唐の脅威から王宮を守るもので蘇我氏は反逆者でない。日本書記に記す大化改新の詔は改竄されたもので大化改新は律令制の開始時点とはいえないといった趣旨であった。
 まずこうした遺跡の解釈は疑問である。蘇我氏の王宮近辺の城壁は反蘇我派王族の討伐・王権の簒奪が目的と見るべきだろう。最近の学的成果と称することも疑問だ。大化改新詔などに粉飾があるのは事実だが、木簡の発見などを踏まえると、大化改新直後に官僚制・地方制度が成立したことが明らかとなっており、むしろ大化改新で律令制が始まったという日本書紀の記述が正しいというのが最近の学的成果だ。番組の主張は実は日本書紀はインチキだ、大化改新は虚像だという戦後の歴史学の「通説」の再構築を図ったものといえる。
 昨年戦前米国で活躍した歴史家朝河貫一の英文の大化改新の和訳が発売された。社会経済史上の画期として大化改新を捉えた骨太の著書だ。最新の成果を踏まえたこうした骨太の大化改新論が望まれる。

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