○…安部内閣の人事から経済成長重視路線が鮮明となっている。成長派を党は中川幹事長、内閣は塩崎官房長官・大田経財相を起用、尾身財務相・甘利経産相も成長派だそうだ。財政再建派の与謝野・谷垣氏は閣外に去った。
サプライズは政府税調の会長に本間阪大教授を起用したことだ。本間氏は小泉政権の経済財政諮問会議の民間議員を務め、竹中前大臣とタッグを組んできた。本間氏とともに諮問会議の議員であった吉川東大教授など成長派を委員に起用した。前任の石氏の財政再建重視・増税路線、財務省主導から内閣主導への大転換だ。一方かつて税制改革の実権を握っていた自民党税調の地盤沈下は著しく、財政再建派であった党税調が首相の成長路線を追認する役目を担わせられるようだ。これで財政再建派が主張する早期の消費税引き上げは封印された。原価償却税制などの法人税見直しが進んでいくという。
景気回復の果実が企業だけに回り、一般国民にまで届いていない=景気回復の実感のない現状で、大衆課税となる消費税引き上げを避けたのは賢明だ。しかし財政再建下での社会保障支出増加から、いずれ増税は避けられない。その日までに経済成長の成果が一般国民に均沾し、官のリストラで不公平感を払拭することはかなりの難事だ。
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