○…日本的経営論の原点となった「日本の経営」の著者で、終身雇用という言葉の生みの親、アベグレンが半世紀に及ぶ日本企業経営研究の集大成として「新・日本の経営」を書き下ろした。
アベグレンは90年代は“失われた10年”ではないという。90年代半ばに日本の産業構造、企業の財務構造、企業戦略の再設計が必要となり、デフレが続くなか、この再設計に丸十年を要したのであり、この企業と産業の再設計はいまではほぼ終わり、日本の企業は本来の活力を取戻しているという。日本的経営の中心は企業と従業員の関係であり、最大の柱、終身の関係という社会契約は守られており、共同体としての性格は変わっていない。若干の変容があるが、日本的経営は基本的に守られ、それが日本の強みとする。
確かに日本企業は、アベグレンのいうように、ほとんど日本的経営を変容させずに復活した。確かに日本的経営や日本社会の特質が日本企業の高品質・高技術を支えている。ところで日本の大手企業にとって、多国籍化は今後の成長の鍵だ。トヨタ自動車は日本的労使関係の輸出・定着をめざしている。しかし、社会関係の異なる国に日本的経営を移植することは至難の技である。日本を離れたならば、グローバル経営を基盤とするしかないのだ。
○…生来の運動神経のにぶさ、小さい頃から大の運動嫌いであった。子供のころ、周りは喜ぶ運動会から逃げ出したくなったのを記憶している。そのせいかどうか、当時の子どもが熱中した草野球に見向きもしなかった。プロ野球にも興味がわかなかった。なぜ、長嶋をあのように崇拝するのか全く理解できなかった。
しかし、プロ野球の話題について行けなかった訳ではない。「アンチジャイアンツ」としてである。周りの殆どが巨人ファンの中では異端者であった。
ところがである。最近はその異端ぶりを十分に発揮できる機会が少なくなってしまった。巨人があまりに低迷しているからである。最近は巨人戦テレビの視聴率は下落の一途だ。従って、巨人ファンの友人もプロ野球の話題を避ける。その友人も、また一般の論調も巨人が弱くなった原因をこういう。「金にあかせて大物を引っ張ってくる。4番バッターばかり」と。大金を支払った選手は出さざるを得ない。これから伸びる選手の出番はないということか。大物は獲得する頃は最盛期を過ぎ、下り坂なのは自明であるはずだ。下から這い上がってきた選手が活躍する方がよほど面白いと思うが?
いまの巨人の低迷はアンチとして、うれしいような、悲しいような…
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