EnB 8号 目次
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■EYE
過度な愛国心が信頼関係を壊す詳細へ

■REPORT
TEC、グローバルにプロジェクトITを構築詳細へ

国内ごみ焼却炉市場は霧の中詳細へ

中国、インドが台頭する世界の原子力

■TOPICS
中国で活発化するLNGターミナル計画詳細へ

木質バイオマスリサイクルが進展へ

ENAA・間組、環境に優しい凍結防止粒剤を開発詳細へ

■GLOBAL Business
米国デザインファーム、好調な市場下で買収急増
2004年の米国エンジニアリング企業の動向(1)-デザインファーム編-詳細へ

■NEWS FLASH
・TEC、インドにCADセンター設置詳細へ
・三菱重工、イタリアからLNGターミナル受注
・住友商事、マレーシアから石炭火力受注
・三菱重工、タイからGTCC受注
・三井物産、カナダで日本企業初の大型C/C発電事業
・中国の寧夏煤業、石炭間接液化のFSを発注
・月島機械、富士電機から非常勤役員受入
・横河電機、シェルと戦略供給契約
・日立造船、柏市向け清掃工場を完成
・NEXI、トルコErdemir向け融資で貸付保険引受け
・JBIC、メキシコにツーステップローン
・Project News詳細へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル


■エンジニアリング・ダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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過度な愛国心が信頼関係を壊す
 中国で吹き荒れた反日デモの嵐は、中国外にも拡がりを見せている。世界各地の中国系住民が反日デモを行うようになってしまった。
プラント業界にとって中国は非常に関係の深い国の一つだ。これまで、石油、石油化学、鉄鋼、発電所など主要な産業インフラの多くを日本のプラント業界が手掛けてきている。これら各種のプラントの建設を通じて、日本のエンジニアと中国のエンジニアが交流し、互いに信頼関係を構築しながら、一つ一つのプロジェクトを積み上げてきたのである。
最近では、ある程度の規模・技術のプロジェクトならば、中国のエンジニアリング会社や建設会社が日本などの外国企業の手を借りずに自らの力でプラントを建設できるようになっており、日本プラント業界にとっては、市場とは言い切れなくなってきた面もある。しかし、中国企業がここまで力をつけることが出来たのにも日本のプラント業界による技術指導が大きな要因となっている。
例えば、世界規模のプラント商談では品質や納期、コスト、環境や安全への配慮など、様々な要求がコントラクターに課される。それらの要求にキチンと応えていくことが国際レベルのプラント遂行であるが、中国の(日本も一部ではそうだが)プロジェクトではこうした国際レベルのプロジェクト遂行に慣れていない。これにいかに対応できるようにするかが、国際化への道であり、日本は中国にそうした点を教えていくことができる。だがそれを実現するにはお互いの信頼関係が重要であり、これまでもその構築に努力してきたのである。
今回の反日デモは、扶桑社の歴史教科書や東シナ海の資源開発などが引き金となった。一部の国粋主義の政治家が繰り返す発言や行動が、徐々に中国国民の感情を高ぶらせてきたという面もある。一方で、暴徒化するデモを止めようとしなかった中国政府の態度にも問題はある。日中それぞれの過度の愛国心がぶつかり合うことで、これまでプロジェクトの現場で営々と培われてきた、相互の信頼関係が壊されるようなことがあってはならない。
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TEC、グローバルにプロジェクトITを構築
 東洋エンジニアリング(TEC)は、4月1日付けでプロジェクトITの構築・活用を効率的に推進していくため、「IT統括本部」を新たに設置した。これにより、プロジェクト遂行におけるITサポートを強化し、トランスナショナル体制の高度化にも対応していく考えだ。

機能統合でEPC、業務改革をサポート
新たに設置されたIT統括本部は、プロジェクト遂行関連を担当する「プロジェクトITグループ」と、情報インフラを担当する「システム企画グループ」から構成される。
従来TECのIT関連の推進体制は、情報インフラを担当するシステム企画グループがeソリューション事業本部にあり、プラントEPCのアプリケーションに対応するプロジェクトITとは組織が分かれていた。しかし、プラントビジネスは近年、JVの拡大やロケーションのグローバル化、短納期化などから、より複雑になりつつあり、EPCにおけるコミュニケーションの円滑化がさらに重要性を増してきている。また、EPCで使用するアプリケーションについても客先の要求(使用するアプリケーションの指定など)が専門化している。
このようなプロジェクトにおけるIT要求の高度化に対応するため、これまで組織の分かれていたプロジェクトITとシステム企画をまとめ、IT統括本部のもとに一本化し、プロジェクト遂行のサポート力を強化する。
また、TECでは業務改革を推進しているが、EPCだけの改革ではなく、経理や人事などもトータルに見ていく必要がある。従って、業務改革を加速するという面からも、IT関連組織を統合することとしたものである。

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国内ごみ焼却炉市場は霧の中
 国内のごみ焼却炉市場の市場動向が不透明だ。これまでの国による焼却炉への補助金が2004年度で打ち切られ、2005年度からは交付金へと変わったことで、交付金対象となる案件の公表が遅れているためだ。
厳しさ増す市場動向
「今年度の案件が分からない」。ごみ処理プラントメーカーは今、今年度の受注戦略が立てられないでいる。都市ごみ処理施設への環境省の補助金が2004年度で廃止され、2007年度からは交付金制度へと変更されたが、それに伴う諸手続きが遅れている。そのため、今年度の交付金対象となる案件がまだ公表されていないのだ。
今回の交付金制度はこれまでの補助金とは大きく異なる手続きを踏む。従来は、市町村が焼却炉の計画を立案し、環境省に対して申請を行い、認められれば補助金が支給されるという形だった。だが、今回新たに施行された「循環型社会形成推進交付金」制度は計画の段階から違う。
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中国で活発化するLNGターミナル計画
沿岸地域12カ所で計画が推進
中国のLNG受入基地計画が活発化している。現在建設中の広東省深 のLNGプロジェクトについで、このほど福建省のLNG計画もいよいよ着工となった。この2件に加え、中国海洋石油総公司(CNOOC)などが中国の沿海地域各地でLNGプロジェクトを計画しており、その総数は12計画となっている。
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ENAA・間組、環境に優しい凍結防止粒剤を開発
食品廃棄物を原料とする製造システム
エンジニアリング振興協会(ENAA)と間組は、塩素を含まないために環境に優しいとされる凍結防止粒剤を共同開発した。りんごの搾りかすを原料とする実規模レベルの製造工程検証試験で得られたサンプルでは、凍結防止の高い効果が確認された。今後、食品製造業者などとタイアップし、「ビジネスモデルを構築していく」考えだ。
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米国デザインファーム、好調な市場下で買収急増
 ENR上位500社の2004年の合計売上高は、2003年の491億8000万ドルから7.8%増、529.9億ドル、国内売上高は、7.9%増、421億ドル、国際売上高が7.3%増、108.9億ドルに上昇した。昨年と共通する企業の78%が売上増、かつ47%が2桁増となった。 米国デザインファームは厳しい3年の後、2004年に不況から抜け出しはじめた。周期的なビジネスだが、これほど多くの市場が上向くのは珍しい。各社は市場の拡大で成長している。市場の上昇が本当の繁栄を意味するか不明だが、少なくとも来年・再来年まで好調が続くという楽天的見方がでている。
ランキングの対象はデザインファーム(アーキテクト・コンサルティングエンジニアなど)とエンジニアリングコントラクター(EC企業)。デザインビルド・EPCのデザイン・エンジニアリング部分も報告する取極めとなっている。大手デザインファームがEC化を進めている。これらからもこのランキングは米国のEC企業の動向を示すデータだ。
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TEC、インドにCADセンター設置
 東洋エンジニアリング(TEC)は、インドの現地法人であるトーヨーインディアリミテッド(TEIL)にCADセンターを設置、トランスナショナル体制での運用を開始した。
同センターは昨年10月に稼働したもので、韓国、マレーシアなどの各拠点だけでなく、TEC本社も同センターを活用していく。CADセンターにはオペレータのほか、エンジニア、デザイナーなど総勢約60名を配置し、CADのモデリングだけでなくベーッシックエンジニアリングにも対応できるような体制を敷いている。
既に、オマーンのメタノールプラント建設プロジェクトで、TEILのCADセンターを使った3次元モデリングを実施。インドで作成した3DモデルをTEC本社でレビューし、手直しするという過程を経て、インドで作成した3次元CADで顧客との30%モデルレビューも行っている。さらに同センターでは他のプロジェクトでも基本設計(FEED)の一部などを実施している。
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Project News
 タイPTT、GOSPを計画
タイTOC、EO/MEGプラントを計画
カタール、ラスガス?LNGに3グループ
サウジ、Sharqエチレン計画で入札へ
サウジAramco、Yanbuで製油所計画
UAEでフレア回収PJのFEED実施へ
カタールQ-Chem?、Technipが受注
ドバイで発電所計画
アルジェリアでGTL計画
大阪森之宮焼却場建替えで環境アセスへ
吹田市、北工場建替えで実施設計へ
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編集後記

○・・・中国の反日デモは鎮静化するだろうか。経済関係が緊密化しているのに、政治関係が悪化しているのは、日中両政府の国内外に亘る認識不足からくる失政がある。
ドイツは、端的にいえば全てナチに押し付けて第2次大戦を清算した。実は敗戦以前はナチ=ドイツであってドイツ国民に罪がないとはいえない。歴史の清算の徹底は、長く関係を悪化させるだけだ。スケープゴートが必要なのだ。日本は十分な贖罪者をつくれず、罪の清算が求められ続けた。唯一A級戦犯が罪を被っていた。これを合祀した靖国神社への首相の参拝は、中国政府に歴史認識を非難されてもやむをえない。
中国政府の指導者が革命第一世代から交代して以降、反日を政権維持の手段とした。このことは中国国民に反日感情を永続させることとなり、日本人には反中感情のたかまりをもたらす。中国政府は反日デモを背景に圧力をかけようとしたようだ。日本の政治は「国民の意向」を背景に動いており、中国の圧力はマイナスしかもたらさない。
さらに反日デモは中国政府の意図を超えて拡大した。インターネットの威力を思いしらされた。日本の自由な歴史研究は東京裁判における日本への断罪は極端であることを示した。中国ではまだ歴史研究の自由はない。根本的には日中の歴史認識の共有化が必要だがそれににはまだ時間がかかる。

○…「中高年登山ブーム」がいわれて久しいが、遭難騒ぎの多発などで中高年登山に対する風当たりが増している。いま、山に出かけてみると分かるが、若者の姿は数少なく中高年ばかりである。かくいう私も中高年の範疇に入るので偉そうなことはいえない。けれど、ちょっと道に迷っても、携帯電話などを利用してすぐ救助を要請するなど中高年登山者は甚だ評判が悪い。
登山に興味ない方はご存じないかもしれないが、「百名山病」という病がある。1964年発刊の「日本百名山」(深田久弥著)という本に触発された病である。いまや、百名山に関する書籍類、ビデオ等の発行部数には驚くべきものがある。ここにあげられた百の山を目指す人は数知れない。いかに短期間で登ったかなどを競っている人もいる。ある人がいう。百名山病とは、「俗化された人影の多い山ばかり登っているうちに、そんな山のみが本当の素晴らしい山だと思い込んでしまう、対自然精神錯乱症候群の一種」というのだ。
何も、仕事をリタイアし「山など自然に親しもう」という姿を批判しているわけではない。ただ、その制覇のみが目的化し、価値があるという風潮はおかしくはないか。自然に親しむことなどおざなりになっている。もしかすると、人影のない低山に自然が満載かもしれないのに。

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