EnB7号 目次
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■EYE
それでも強み残るLNGプラント詳細へ

■REPORT
信頼関係で成功した中国BASFプロジェクト詳細へ
TEC、AA/AE、OXOプラントを完成

2005年度国内電力投資は1兆6000億円詳細へ

■FORUM


■TOPICS
美浜原子力事故、三菱重工にも責任詳細へ

日立造船、新中期経営計画をスタート詳細へ

三造昭島研、スロッシング防止技術を開発

■GLOBAL Business
・ドイツコントラクター実績−化学プラントでは中国で敗北詳細へ
・Walter Bau争奪戦に、HochtiefとBilfingerも参戦
・mg Technologies、名称も変更
・Linde、BOCとの統合を否定
・KBRのイラク関連ニュース
イラク戦サポートの発注額105億ドルで合意
その他イラク関連の紛争
イラクで大型変電所完成

■NEWS FLASH
・ラービグPJのHigh Olefin FCCのプロセス、S&Wが受注詳細へ
・三菱重工、韓国から相次ぎ発電プラント受注
・日揮、サウジから世界最大のNGL回収プラント受注
・物産〜IHI、豪州向け発電プラント受注
・荏原製作所、あらかわクリーンセターを落札
・TEC、中国に現法設立・建設業ライセンス取得
・IHI、VAIと業務協定・圧延機を分社化
・JFE/五洋建設、シャークビット工法を初適用
・TEC、組織改正を実施
・Project News詳細へ


■海外・国内主要プロジェクトの動向

■CONTRACT


■PROCUREMENT NEWS


■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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それでも強み残るLNGプラント
 オーストラリアのNorth West Shelf LNGプロジェクトで、FosterWheelerの豪州子会社と同国のエンジニアリング会社であるWorleyparsonsのコンソーシアムがEPCMを受注した。この案件がちょっとした波紋を呼んでいる。
North West ShelfのサイトのKarrathaには、これまで4系列のLNGプラントが建設され稼働している。この既設プラントを全て建設してきたのが、日揮〜KBRのコンソーシアムであり、今回の5系列目の商談にも参加していた。
LNGプラントでは、日本は圧倒的な強みを持っている。世界のLNGコントラクターの中では日揮と千代田化工建設、Bechtel、KBRぐらいしかメインプラントの建設をやれるものはいなかった。しかもBechtelはPhllipsのカスケード法でしかLNGをやらないため、世界で主力となっているAPCI法では日揮〜KBR、千代田化工建設の2グループしかない。それが今回、メインプラントの建設実績のない豪FW〜Worleyparsonsに負けたのである。
今回のプロジェクトでは、価格面でFWグループが優位であったことが大きい。技術面では無論、日揮グループの方に軍配が挙がるが、今回はかつて日揮グループが建設した第4系列のコピープラントであり、設計の中核部分をやる必要がない。そのため技術面での差別化が難しかったといえる。
LNGプラント商談が価格重視で発注されるようになると、日本のLNGコントラクターの牙城が侵されるようになっていくのか、という不安も生まれる。しかし必ずしもそうではあるまい。
今回の商談は日本の得意なターンキーではなく、コストレインバース方式であった。実はこれがFWグループが受注できた一つの要因なのだ。リスクをコントラクターがあまり背負わないこの方式は欧米のコントラクターにとって親しんだ方式だ。しかしターンキーベースならば、依然として日本のコントラクターの方が競争力がある。今回の案件はLNGプラント商談としては特殊なものであり、日本の優位性が薄らいだというわけではない。
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信頼関係で成功した中国BASFプロジェクト
TEC、AA/AE、OXOプラントを完成
東洋エンジニアリング(TEC)が中国で建設を進めていたアクリル酸/アクリル酸エステルプラントが生産を開始した。一斉に建設をスタートしたコンプレックスの各プラントのなかで最も早く生産を開始できたもので、そのキーポイントは信頼関係の構築とリスク対策にあるという。

国際品質要求と中国従来型手法とのギャップ
中国江蘇省・南京の統合石油化学コンビナートは、独BASFと中国SINPECが折半で出資したBASF-YPCが計画を進めているもので、60万t/yエチレン、40万t/yLDPE、30万t/yエチレングリコール、16万t/yアクリル酸および21.5万t/yアクリル酸エステル(AA/AE)25万t/yオキソアルコールで構成される。
TECは2002年7月、このコンビナートのうち、AA/AEプラントとオキソアルコールプラントの建設を受注した。契約はターンキーランプサム、契約額はAA/AEが約1億5,000万ドル、オキソアルコールが約1億ドル。PMCにはフルアダニエルが採用されていた。これは中国で初めてのことであり、国際的なフルターンキーEPC方式が導入されたプロジェクトという意義もある。ともあれ、一つのサイトでの2つのプラントの同時建設がスタートした。
納期は29カ月という短納期の工事でありながら、中国従来型手法ではなく、国際スタンダードに従った高度な品質と手法が要求されていた。その一方で中国での建設工事という全く異質な難しさもあり、プロジェクト遂行には多くの困難が伴った。
プロジェクト遂行面で特に苦労したのは、中国の現地会社との関係。現地で採用したのは客先の関係会社が多かったが、それらの会社は海外プロジェクトの経験がほとんどない。そのため、メインコントラクターであるTECが要求する品質水準と遂行体制に納得せず、プロジェクトの進行に支障をきたしたこともあった。しかも中国国内の仕事のやり方に慣れているため、今回のプロジェクトのように西欧の厳しい品質要求への抵抗も大きかった。特に、BASFの品質要求は高く、何回もやり直しが発生した。中国の建設市場は活況を帯びているため、中国企業にとっては、それほど厳しく要求されるなら、と他の建設プロジェクトに逃げる孫請も続出した。
しかし、プロジェクトの途中段階で他のサブコンに替えることはスケジュール上、新たに大きな影響を与えるため、何とかしてサブコンをプロジェクトについてこさせねばならない。そのためTECでは、インセンティブを与えることやコミュニケーションを密にしていくことなどの努力を重ねていった。
その甲斐もあって、「TECのエグゼキューションを見て、このプロジェクトは成功すると、ある段階でサブコンが確信したのだろう」(越川昌治プロジェクトマネージャー)。途中からは信頼関係ができたことで、中国のサブコンもプロジェクト遂行に協力的になり、当初遅れ気味のスケジュールであったものを、後半で挽回することができたという。

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2005年度国内電力投資は1兆6000億円
 国内電力10社の2005年度設備投資額は1兆6082億円(弊誌調査)となり、前年度の計画値1兆6,780億円から3.9%の減少となった。最大需要電力は、今後10年間で1.1%の伸びと低い伸び率で想定されていることを反映したもので、この間に運転を開始する原子力発電は11基計1,472万kW。火力発電は全体で1,205万kW。このうち石炭火力が410万kW、LNG火力が792万kWとなっている。水力は約239万kWが運転開始する予定だ。
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美浜原子力事故、三菱重工にも責任
原子力安全・保安院が最終報告書
昨年8月に発生した関西電力・美浜原子力発電所3号機の蒸気漏れ事故で、原子力安全・保安院は事故の最終報告書をまとめた。報告書では関西電力の責任のみならず、プラントメーカーである三菱重工、検査会社である日本アームへも責任があるとしている。
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日立造船、新中期経営計画をスタート
連結で経常利益100億円を目指す
日立造船は、新年度から新たな中期経営計画「Hitz Innovation」をスタートさせた。これまで進めてきた経営計画「Hitz Advance」に替わるものであり、厳しい事業環境下が続く中で高収益体制の確立を目指す。
環境を中核にIT関連を伸長
日立造船はこれまで、2002年度から2006年度までの5カ年中期経営計画「Hitz Advance」を展開してきた。同計画では、2004年度までを基盤整備期間、2006〜2008年度を発展的展開期間としていた。2004年度までに同社は、造船事業の分社化や、子会社エイチイーシーの吸収合併などの構造改革を進め、従来のハード供給主体の事業構造から、環境事業を中心に製品とサービスを複合させた「ソリューション事業」への展開を図ってきた。
しかし、2004年度の業績は公共投資の抑制や受注価格の低下、さらに鋼材価格の高騰や為替変動などの要因から、見通し下方修正を余儀なくされている。この厳しい事業環境は、今後も続くものと見ている。これに対応して業績を回復させ、安定的な収益基盤を構築していくため、今回新たに2005年度を初年度とする2007年度までの新中期経営計画をスタートさせたもの。
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ドイツコントラクター実績−化学プラントでは中国で敗北
 ドイツ機械プラント建設協会(VDMA)のプラント建設協議会(AGAB)が、2004年の受注高を発表した。うち化学プラントは12億ユーロ、ほとんどが海外、とくに中東向けの貢献が大きい。ただし機種合計での最大の市場中国では、ドイツコントラクターは化学プラント建設レースで、(空気分離プラントを除いて)敗北しているという。
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ラービグPJのHigh Olefin FCCのプロセス、S&Wが受注
 住友化学・サウジアラムコ合弁のラービグ石油・石化統合コンプレックスに、Stone & Webster(S&W、The Shaw Group傘下)が新設のHigh Olefin FCC(HOFCC)のプロセスとしてDeep Catalytic Cracking(DCC、深度接触分解)技術を供給することとなった。
HOFCCはエタンクラッカーと並ぶラービグPJの中核設備であり、オレフィン生成比率の高いFCCでオレフィンは110万t/y(内プロピレン85万t/y、エチレン25万t/y)の計画。DCCは中国のSinopec傘下の石油化工科学研究院(RIPP)の開発・所有しているもので、中国国内でSinopec傘下の荊門分公司(湖北省)110万t/yの実績などがある。S&WはDCCの中国国外の唯一のライセンスプロバイダー。
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Project News
[海外]成都石化、ナフサクラッカーを計画
タイRayongでエチレン計画
サウジSharqで入札へ
サウジのクラッカー計画が入札へ
クウエートAl-Zourプロジェクトで入札へ
アブダビでパラキシレン計画
オマーン、メタノールPJでFEED入札
ナイジェリアGTLでEPC決定
アルジェリアでコンデンセート精製プラント
[国内]京都南部クリーンセンターは今年中に設計委託
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編集後記
○…米国が経済制裁発動をちらつかせて牛肉輸入再開を強硬に迫っている。米国はBSE発生国である日本からの牛肉輸入を禁止しているのだから、随分と勝手な言い分だ。また、米国の畜産業が検査体制、特定危険部位の除去などの安全性を担保できる体制にないことも明らかになっている。
日本のように極めてコストをかけて、全頭検査するのがいいのか、EU諸国なみに月齢24〜30ヶ月にするのでいいのか。全頭検査したからといって100%安全というわけではない。食品安全委員会は、20ヶ月以下を除外することをようやく容認した。
20ヶ月以下を除外するのは21ヶ月以上にしても健康へのリスクの増加は非常に低いとしたからだが、そもそもBSEの感染リスクそのものが低い。数十万頭の感染牛を出し、恒常的にその肉を食していた英国ですら発病率は数百万人に一人、日本の場合検査体制の整備・危険部位の除去実施を考えると、全頭検査を緩めても、感染リスクは極めて低い。
米国産牛肉は生きていくために必須ではない。加工製品も含めて情報が開示され、トレーサビリティが担保されるなら、米国産食肉の輸入を解禁してもいいのではないか。すなわち消費者に米国産牛肉ないしそれを素材とする外食の食う・食わないの自由に選択をまかせていいのではないか。

○…これまで「公共事業」と聞くと、「何か胡散臭さが常につきまとう」という感慨をお持ちではないだろうか。やれ、「地元に影響力のある政治家の利権の巣窟になっているのでは?」とか、「受注を目指す企業同士が談合をしているのではあるまいか?」だとか、公共サービスの受け手である住民からとかく白い目で見られてきたような気がする。
ところが、PFI法が成立して5年。おかしい事業もないとは言わないが、PFI事業は日本に定着しだした。さらにPFI事業ではないがその理念を取り入れた民活事業も活発に企画されるようになってきた。さらには、「市場化テスト」である。公共事業は、コストという観点から厳しい目にさらされている。
翻ってみれば、これは民間企業にとっては新たなビジネスの機会創出である。まさに、既得権益の破壊がビジネスチャンスにつながった。少なくとも、いい提案、VFM(バリューフォーマネー:租税に対する価値)最大化の努力さえすれば、受注機会は増える。ダンピングして受注しても、20年、30年という運営期間、事業はもたない。問題は、自治体が抱える地元企業の振興という命題との兼ね合いだ。しかし本来、これはPFIの理念と分けて検討される必要があろう。

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