○…ソニーの経営陣が退陣した。会長・社長さらに社内取締役8名中7名が退任、トップに外人を据えるというドラスティックなもの。2003年のソニーショック以降の再建が成功せず経営不振の責任をとったもので、事実上は解任といわれても仕方がない。
新たなトップはCBS出身の英国人Sir Stringer氏、大手日本企業の再建に外国人トップが任用されるということで、日産のゴーーン氏に擬えられている。しかし違いも大きい。ゴーン氏がコストカッターといわれ親会社の命運をかけて日産のリストラに臨んだのに対し、Stringer氏はコンセンサスビルダーとして知られており、インタービューでも協調性に力点を置くと述べるなど、より調整型の人物のようだ。
10年間トップを続けた出井氏はソニーをよりメディア志向の企業にしようとしたようだ。しかし結果は依然として60%以上の売上をあげるエレクトロニクス部門の収益の沈下をまねいた。ブランドイメージは低下、情報家電への取組みの遅れは著しい。3年前に経営陣は交替すべきだったろう。
GEはVivendiからNBCを買収した。しかしあくまでも本業は発電機器・医療機器などの製造業だ。ソニーの復活はエレクトロニクス部門がかつての輝きを取り戻せるかに掛かっている。生え抜きの技術屋である中鉢新社長の責務は大きい。
○…「啓蟄」を目前に3月初めに東京でも雪が降り積もった。これでは“蟄”(土中の虫)も“啓”(ひらく)かれまい。アスファルトで舗装された都会の地中に虫たちがひそんでいるかどうかなどと細かいことは云うまい。ただ、都会というより、東京人はまたしても雪に弱いことを露呈した。雪でけが人が続出したのである。大地震とその後の大雪に悩む新潟の人々からみると、「都会は何と、か弱い」と思うのではなかろうか。
いずれにしても、「春分」までもう僅か。この時期、北国では 福寿草が咲き、東京では紋白蝶が見られるという。また、柳の若芽が芽吹き、蕗のとうが花開くという。新潟は地震という災害の後の雪害を乗り越えるのもあと僅か。春はそこまでやってきている。
だが、危惧するのは首都圏への地震直撃だ。その影響は大雪の比ではない。ましてや、台風、雪、大雨などと違って毎年経験する自然災害でもない。経験していないのでその災厄は想像もつかない。いろいろな体験談を聞くことは無駄ではないだろうが、いざの時、それが役立つかどうか甚だ心もとない。地域の防災会はそれなりの備えをしている。けれど、いつ、どこで遭遇するかわからない。願わくば、影響が最小限にとどめられる時に…
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