○…朝日新聞がNHKの番組への政治介入を取り上げ、事実関係を巡って朝日対NHK+政治家のバトルが繰り広げられている。慰安婦問題で日本を断罪した市民裁判を取材した番組が制作後改変されたことに対するものだが、取材を受けた市民団体が取材時の約束に違反すると提訴し、最終放送内容に権限のない制作会社が有罪という奇怪な一審判決がすでにでているものだ。この時点で朝日がとり挙げたのには何らかの意図が感じられ、朝日取材記者のまず政治圧力ありきのシナリオが見えている。
そもそも慰安婦問題は現代史における争点であり、日本を断罪する市民裁判を主宰者の意向のまま放送しようとしたNHK制作者の姿勢は疑問で、政治介入有無に関わりなく改変は当然だろう。
某夕刊紙が報じていたが、NHKがイラクから撤退した後、イラクの現状を他国メディアにより編集した番組がNHK上層部により自分の情報源ではないとしてつぶされたという。半世紀以上前の慰安婦問題とは違って世界が直面する大問題だ、視聴者が公共放送に期待しているテーマだ。自分の情報源でないとしてつぶした上層部は視聴者の権利を踏みにじっている。朝日はNHKの言論統制を非難するテーマを誤っている。
○・・・行財政改革の目玉の一つが、官民のパートナーシップの形成だ。PPP(Public Private Partnership)、PFIなどの手法が思い浮かぶ。また、最近話題に上っている「公の施設の指定管理者制度」もその一つであろう。民間企業にとっては新たな事業機会の到来と喜ぶべきところだ。ところが、現状において実態はその意図とするところと大きくかけ離れていると断じざるを得ないのだ。
地方公共団体が設置する公の施設の管理を民間事業者にも行わせることができるという「指定管理者制度」は、03年9月に施行され、3年後の06年9月までに、旧制度の管理委託制度から「指定管理者制度」に移行することになっている。最近公表された調査によると、04年6月現在で指定管理者制度を全国で393の自治体がレクリエーション・スポーツ施設、医療社会福祉施設などを中心に1550の施設で導入している。数からいえば普及は急速に進められているといっていいだろう。
ところが、内容をみると選定された指定管理者が新たな民間組織である事例は数えるほど。その大半がこれまでその業務を受託していた財団など行政の外郭団体で占められている。仏作って魂入れずとはこのことだ。
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