経済産業省国際プラント推進室は、2003年度の海外プラント・エンジニアリング成約実績をまとめた。成約額は188億8,000万ドルとなり、アジア通貨危機以降最高額を達成し、史上第3番目の金額となった。
史上3番目の高水準
2003年度の成約実績は前年度比35.2%増と大幅に増加し、2年連続の増加となった。サハリンのLNGプラントやイランおよびカタールのガス製造プラント、マレーシアの石炭火力発電所プロジェクトの4件の10億ドルを超える超大型案件が複数成約されたこともあり、1億ドル以上の大型案件の成約額が前年度比156.3%増と記録的な増加となったのが大きな特徴だ。また、1億ドル未満の中小型案件も金額、件数ともに増加しており、プラント輸出全体が好調に推移している。総成約件数は1,005件と、1996年以来7年ぶりに1,000件の大台に乗った。
過去の成約統計とは調査対象基準に変更があるため一概には言えないが、成約額のみでみると過去最高であった1996年度の197.4億ドル、1995年度の192.3億ドルに次ぐ、史上3番目の高い水準となっている。
実績が増加した要因としては、@アジア・中東地域における旺盛なインフラ需要を背景に、発電プラントを中心とする成約が好調だったこと、A世界的なエネルギーシフトによる天然ガス利用の拡大に伴い、日本企業が競争力を持つガス処理施設の開発が進展したこと、B技術力、実績、納期、プロジェクトマネジメント力に加えて、海外調達の活用を通じた価格競争力等を背景に、海外での競争力を維持できたこと−の3点を挙げている。
ただ、半期ベースでみると下半期については前年同期に比べて大型案件の成約が伸び悩み、成約額は68億5,000万ドルと前年同期比14.4%の減少となっている。上半期に大型案件が集中し、受注契約に余裕ができたことで、下半期に入ってからは採算性の高い案件のみに集中できるようになったことに加え、下半期における為替や鋼材価格の上昇がプロジェクトの進展を遅られてせたことの結果がでているようだ。
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