EnB 12号 目次
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■EYE
国際分業の壁詳細へ

■REPORT
活発化するサウジアラビアのプラント計画

2003年度海外プラント成約188.8億ドル詳細へ

■TOPICS
エンジニアリング功労者賞決定

新日鉄等、下水汚泥減容化に「バイオダイエット」投入詳細へ

■GLOBAL Business
・米国企業が得意とするプログラムマネジメント詳細へ
企業ランキング
プログラムマネジメント
デザインビルド
リスクCM
フィーCM
・ConocoPhilips・Fluor、ガス化技術でアライアンス

■NEWS FLASH
・中国福建・天津エチレンプロジェクトの動向詳細へ
・JBIC、2003年度業務実績
・TEC、ブラジルからパイプラインPJ受注
・IHI、Aker Kvaernerと北米LNG基地分野で提携詳細へ
・国内環境設備受注状況
・日揮、千代田両社長がJPEC特別顧問に
・新日鉄、廃棄物ガス化システム開発へ
・愛・地球博で水素ステーションを設置
・Project News
中国・大連で石油・石化統合コンビナート計画
インドネシア・ガスパイプラインPJにJFE参加へ
印IOC、エチレンはPanipatに建設
印DahejLNGターミナルを2倍に増強
アルラジ、メタノールを増設
サウジ、セメントプラント拡張で入札
サウジChevronのオレフィンPJはS&Wプロセス
イランAghajari近代化PJでITB
イランShirazで肥料プラント計画

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■Asia Business Report
熱闘!!アジア工業団地秘録
「住商拓く」無錫は買いだ
加藤 隆


■データ・ファイル


■エンジニアリング・ダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 12号 表紙

 

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国際分業の壁
 経済産業省が発表している海外プラント・エンジニアリング成約実績の分析で、ちょっと目を引くグラフがある。業種別に成約案件の役務提供範囲を件数で示したものだ。
これを見ると、業種によって提供している役務の違いが良くわかる。エンジニアリング専業はエンジニアリングと調達を中心にFEEDから建設・据付、監理・監督、トレーニングまでのサービスを提供している。建設・据付が比較的に低くなっているのは現地会社の活用が進んでいるためだろう。メーカーはエンジニアリングと監理・監督にピークが出ており、FEEDは手掛けていない。総合建設は建設・据付に殆ど集中している。商社は管理・監督がサービスの中心となっており、それぞれの業種の特徴が出ている。
ここで気が付くのは、FSからコンサルティングというプロジェクトの上流部分、そしてオペーレーションからメンテナンスまでの下流部分の件数が極めて少ないこと。コンサルティング会社でさえコンサルティング件数は少なく監理・監督が中心だ。製造業系列エンジニアリングはもっとオペレーションやメンテナンスが多くてもよさそうなものだが、海外向けでは殆どサービスを提供していない。
すなわち、日本のプラント・エンジニアリング業界は、明らかにプロジェクトの中流部分に特化している存在だということだ。
同報告書では別項で、成約案件の競合先についても調査している。最も多く競合しているのは日本企業であり、ついで欧州企業。米国企業とはあまり競合していないという。
これらのことから、米国企業はより上流部分、あるいは下流部分でのサービス提供を中心として展開しており、中流部分に特化している日本企業との直接競合することが少ないのではないかと考えられる。すなわち日米の企業は世界のプラント市場において国際分業をしているということになる。
日本は今後とも、この中流部分での特化という位置を維持し続けられるのだろうか。国際分業の壁を越えて、より上流・下流への拡大が必要なのではないか。
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2003年度海外プラント成約188.8億ドル
 経済産業省国際プラント推進室は、2003年度の海外プラント・エンジニアリング成約実績をまとめた。成約額は188億8,000万ドルとなり、アジア通貨危機以降最高額を達成し、史上第3番目の金額となった。

史上3番目の高水準
2003年度の成約実績は前年度比35.2%増と大幅に増加し、2年連続の増加となった。サハリンのLNGプラントやイランおよびカタールのガス製造プラント、マレーシアの石炭火力発電所プロジェクトの4件の10億ドルを超える超大型案件が複数成約されたこともあり、1億ドル以上の大型案件の成約額が前年度比156.3%増と記録的な増加となったのが大きな特徴だ。また、1億ドル未満の中小型案件も金額、件数ともに増加しており、プラント輸出全体が好調に推移している。総成約件数は1,005件と、1996年以来7年ぶりに1,000件の大台に乗った。
過去の成約統計とは調査対象基準に変更があるため一概には言えないが、成約額のみでみると過去最高であった1996年度の197.4億ドル、1995年度の192.3億ドルに次ぐ、史上3番目の高い水準となっている。
実績が増加した要因としては、@アジア・中東地域における旺盛なインフラ需要を背景に、発電プラントを中心とする成約が好調だったこと、A世界的なエネルギーシフトによる天然ガス利用の拡大に伴い、日本企業が競争力を持つガス処理施設の開発が進展したこと、B技術力、実績、納期、プロジェクトマネジメント力に加えて、海外調達の活用を通じた価格競争力等を背景に、海外での競争力を維持できたこと−の3点を挙げている。
ただ、半期ベースでみると下半期については前年同期に比べて大型案件の成約が伸び悩み、成約額は68億5,000万ドルと前年同期比14.4%の減少となっている。上半期に大型案件が集中し、受注契約に余裕ができたことで、下半期に入ってからは採算性の高い案件のみに集中できるようになったことに加え、下半期における為替や鋼材価格の上昇がプロジェクトの進展を遅られてせたことの結果がでているようだ。

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新日鉄等、下水分野にバイオダイエット投入
 新日本製鉄と環境エンジニアリングは、共同開発した余剰汚泥発生減量化システム「バイオダイエット」の公共下水道での実証実験を兵庫県出石郡但東町で開始した。

下水道分野で初の適用
バイオダイエットは、有機性廃水の活性汚泥処理の際に発生する余剰汚泥を、無害な酸化剤を主成分とする薬品により酸化分解した後、再度活性汚泥処理槽に返送し、汚泥の自己消化を促進させることにより、余剰汚泥の発生を大幅に減量化させる技術。下水処理の場合、余剰汚泥の減量化率は約80%と見込まれ、処理水質にほとんど悪影響を及ぼさないのが特徴だ。
同システムは汚泥酸化処理槽と薬注装置のみから成るシンプルな構成のため設備建設費が安く、新設のほか、既設の処理設備にも容易に付加することが可能。運転費は、脱水、焼却、溶融、コンポスト、埋立処分といった従来の処理・処分法に比べ、安価ですむという。
同システムは食品、化学、製紙等の民間企業に約30件の納入実績を誇る。また昨年からは農業集落排水協会との共同研究を開始し、数件の引合を受けていたものの、公共下水道分野への適用例はこれまでなく、今回の実証試験が初の適用例となる。
今回の実証試験は約1年の予定。データを収集しながら、但東町の但東西浄化センターで排出される汚泥月140トンのうち約80%を削減し、大幅なコスト削減を図る。

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米国企業が得意とするプログラムマネジメント
 恒例のENR誌の米国Top100企業ランキングが発表された。Top100とは設計-入札-施工の伝統的方式とは異なるCM・デザインビルドという代替受渡システムの2003年の売上高によるランキング。代替受渡方式は20年来進化してきた。2003年にはTop100社代替方式売上高計で1000億ドルに達し、デザインビルド・CMを代替という名称が相応しくない状況になっている。これら方式も建設市場全体とくに米国国内の下降傾向の影響をうけた。デザインビルド売上高は12%と大きく減少、前年までの傾向と異なり国内が21%減に対し、海外が14%減となった。フィーCM売上高も29.5%減となった。しかしリスクCM売上高は11.4%増、509億ドルの最高記録となった。プログラムマネジメント(PM)は勢いづいている。2年目の調査は40社にリストを拡大、合計売上高22億ドルとなった。
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中国外資合弁エチレン、福建・天津プロジェクトの動向
 福建ならびに天津のエチレンコンプレックスは海外メジャー石油・化学企業との合弁プロジェクトとして、建設段階に入っている南京・上海・南海のエチレンコンプレックスに続くものであるが、進展の遅れが見えている。
最近のChemical Week(CW)誌によると、SinopecはExxonMobil・Saudi Aramcoとの合弁石油精製・石化合弁プロジェクト(30億ドル、福建省恵安市)の完成を2007年末を目標とすると言明した。土地造成は開始されており、工事は来年開始を予定している。Sinopecはこの交渉の一環として進められているExxonMobil・Saudi Aramcoによる福建省内に600箇所のGSを建設運営する計画の交渉を、意見の不一致を解消すべく今年はじめに再開したとも述べている。このCW誌の報道から、福建プロジェクトの交渉のなかで、Sinopecが生産期限を切って決着を急いでいることが窺われる。なお、GS合弁に関して、PetroChinaはBPとの間で広東省で500箇所を建設運営するJVを最近調印した。
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IHI、Aker Kvaernerと北米LNG基地分野で提携
 石川島播磨重工業(IHI)は6月、Aker Kvaernerと北米におけるLNG受け入れターミナル分野で業務提携した。米国およびカナダで多く計画されているLNG受入基地建設プロジェクトの受注面で、設計から資機材調達を含めたEPC全体で協力していく。提携期間は2年間で、その後は市場動向を見て延長するかを判断する。
両社はまず、今年8月にSempla Energyが入札を行うHackberryプロジェクトに共同で応札する予定だ。同プロジェクトは16万m3のタンク3基を持つ受入基地を建設するもの。他の有力タンクメーカーとの競合が予想されるだけにその結果が注目される。
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編集後記
○…「ペトロケミカル1」石油化学研究会編(1955年発行)という本を見つけた。石油化学研究会というのは1954年通産省と石油精製各社が石油化学全般にわたって共同研究することを目的に発足したもので、日本において石油化学工業を企業化する場合の基本問題−石油精製部門から石油化学へ指向する条件・化学部門との結びつきを最初のテーマとした。「ペトロケミカル1」はこの第一回の共同研究の結果をとりまとめたものだ。石油化学勃興期の歴史的文献の一つだ。
ここで想定されているのは、石油精製から石油化学という路線であるが、その後の日本の石油化学産業の発展においては、石油精製資本の役割は決して大きいものとはならず、コンビナートでパイプラインで結ばれていたとはいえ、石油精製と石油化学は厳然たる区別があり、石油精製と石油化学の統合コンプレックスが課題となったのはほんの数年前からのことである。
この本の企業リストに石油装置関係のプラント企業がある。千代田化工建設・藤永田造船所(三井造船に統合)・新潟鉄工所・日本揮発油(日揮)・三菱造船(三菱重工業)だ。その後石油・石化上流プラントに参入した企業は、石川島播磨・川崎重工・神鋼など重機メーカーと、石油・石化企業を母体とした専業エンジニアリング企業ではTEC。これは多いのか少ないのか、どうみるべきだろうか。

○…6月初めに公正取引委員会経済取引局担当者による「公共調達と独占禁止法」をテーマとする講演を聴講した。いわゆる「入札談合」が依然として後を絶たない中、公取のこの問題に対する考え方、スタンスを興味深く聞くことが出来た。公共調達における「入札談合」という話は、欧米先進国では余り聞かない。極めて日本的な話のようだ。
かねがね思っていたのだが、「入札談合」が起こる最大の要因は競争入札という事業者選定方式にあるのではなかろうか。法律面からは国の調達は会計法で、地方自治体の調達は地方自治法で「競争入札」方式と定められている。もちろん、案件によっては技術面などの評価も取り入れた、総合評価一般競争入札も可能である。しかし、価格が最低の者を選定しないことは『公共の利益に反する』という考え方だ。そこには交渉の余地は全く無い。
価格競争すべてが悪いわけではない。だが、そもそも仕様あるいは設計が決まっている内容でのプロジェクトでは価格競争以外にないのだ。談合を容認するわけではないが、民間側が保身のためにこれに走るのも解らないではない。
欧米には「競争的交渉方式」という選定方式がある。公取も、技術提案などを極力取り入れる方式として注目しているようだ。

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