EnB ○○号 目次
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■EYE
目まぐるしい状況変化詳細へ

■REPORT
日本のイラク復興ビジネスが始動詳細へ

還元鉄ビジネス、神鋼の戦略詳細へ

新エネ財団、導入促進で提言をまとむ

■FORUM
退避勧告

■TOPICS
鋼材価格急騰とプラント商談

住友化学、サウジでエチレンプロジェクト詳細へ

■GLOBAL Business
・米国デザインファームの2003年売上高、10年ぶりに減少詳細へ
市場動向
海外動向
企業動向


■NEWS FLASH
・Lummus、Yanbuオフィス襲撃され外国人撤退詳細へ
・TEC、日揮が機構改革
東洋エンジニアリング/日揮(5月1日付)
・日揮、イラン製油所拡張PJでFEED受注
・川重、L20Aでコンバインド発電受注
・四電/コスモなど、坂出LNGで協定を締結
・日立プラント、中期経営計画を策定
・川重、木質バイオマスコージェネを事業化
・世界水素エネルギー会議、横浜で開催へ
・Project News 海外/国内詳細へ
・日刊工、新エネルギーで単行本


■Asia Business Report
「青島に寄す」商活かす保税区!!
商社にとって物流と何か[
加藤 隆

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■PROCUREMENT NEWS

■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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目まぐるしい状況変化
 サウジアラビア・ヤンブーのエチレンコンプレックスプロジェクトでテロが発生、ABBLummusの社員が殺害された。サウジアラビアは日本のエンジニアリング会社にとって重要な市場であり、その市場で海外の同業者が被害に合ったことはプラント業界にとってショッキングであった。
この事件後もサウジアラビアで日本の企業はプロジェクトの遂行を続けているが、Lummusが全員引き上げたことは、リスクの高さを物語る。日本の各社とも、当面はこのままプロジェクトを続けていく考えであるが、サウジではアルカイダによるテロが頻発している。外務省の退避勧告が出されないとも限らない。退避勧告が出されてしまえば日本人スタッフは引き上げざるを得ない。現在はインターネットなど情報通信網の発達で、日本人スタッフが現地にいなくともプロジェクトが完全に停止することはあまりない。しかしプロマネが現地にいないということは現地の状況変化への対応が遅れることになる。最悪の場合プロジェクト採算性に大きな問題が生じることになってしまう。サウジアラビアにおける現在の最大のリスクは退避勧告そのものかもしれない。
一方では、鋼材価格が世界的に高騰したことで、商談中のプロジェクトの採算性を見直さなければならなくなっている。価格の急騰は中国での需要急拡大に対して鉄鋼資源の供給量が追いついていないためだ。急騰によって価格交渉が長期化しており、調達部門はその対応に追われている。これもまた最近になって顕在化してきた状況の変化といえる。
9.11テロからイラク戦争。それと並行した形で進んだ中国経済の大躍進と、世界の状況の変化は目まぐるしい。プラントプロジェクトにおいても、こうした世界の流動化による状況変化と無関係ではいられない。5月にはEUが拡大し「大欧州」が誕生した。その影響がどのような形で出てくるか、今だ明らかではないが、いずれ何らかの影響が出てくると考えていたほうがいいだろう。
今できるのは状況の変化への対応力を備えることぐらいか。
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日本のイラク復興ビジネスが始動
日本によるイラク復興プロジェクトが漸く具体的に動き出した。3月には無償資金供与の最初の案件であるパトカー620台を三菱商事と住友商事が受注、近く船積みが始まる。また三菱重工は今年3月、国連開発計画(UNDP)からハルサ発電所の改修事業を受託した。金額は約800万ドルで、同火力発電所の代替部品調達を行う。役務範囲には日本人従業員のイラク入りは含まれていない。また据付にSVが必要な場合にもイラク人エンジニアを国外で教育して現地作業にあたらせるという内容だ。契約形態としてはイラク国内輸送までを含むCIFオンサイトだが、実質的にはFOB+SVに近いものと思われる。先月には、日本貿易保険(NEXI)が同プロジェクトに対して、イラク向け短期貿易保険の第1号となる案件として同プロジェクトの貿易保険を引き受けており、今年7月以降に3回に分けて船積みが行われる予定だ。
同発電所は1979年に日本の円借款案件として三菱重工が請け負い、蒸気タービン4基(発電能力計800メガワット)を備えたイラク最大の石油火力発電所として、1979年に操業を開始しているが、老朽化により出力が大幅に落ちている。
一方、JETROの2003年度石油・天然ガス資源開発支援およびエネルギー使用合理化調査事業で採択されたイラク国内における原油随伴ガス処理LPGチェーン復興整備調査案件では三菱商事およびトーメン、それにエンジニアリング3社が加わってFSを行うことになっている。現在、同事業では条件や内容に関する交渉を行っており正式契約には至っていない。イラク国内で供給が滞っている民生用LPGを復活するため、国内のLPGチェーンの復興事業のための調査を行うのが目的だ。
現在、イラク国内は権限委譲を目前にして治安が悪化、現実的にプロジェクト遂行のため日本人が入れない状況となっている。また、イラク政府関係筋の体制・行政稼働状況が不安定であり、復興支援のための相手先窓口がどうなるかという問題も残されている
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還元鉄ビジネス、神鋼の戦略
 中国市場での急激な鉄鋼需要の拡大で鉄鋼原料価格が上昇、鋼材価格も急騰しており、プラント商談にも影響を与えている。今後の世界の鉄鋼需要はさらに拡大していくと見られており、高品位の鉄鋼原料不足への懸念が高まっている。そのなかで低品位鉱石や一般炭を使用できる還元鉄への期待が高まりつつあるという。

還元鉄需要が増加に期待
中国の鉄鋼需要の急激な拡大が世界の鋼材価格の上昇を促している。中国の鉄鉱石輸入量は2000年以降急速に拡大、粗鋼生産量も既に年間2億トンを超えた。これに伴ってコークス価格が2003年から急上昇。それまでトン当たり100ドル以下であったものが、1年間で2倍以上に上がった。スクラップや銑鉄などの鉄源価格も急速に上昇しており、2003年末ではトンあたり200ドル前後であったものが2004年に入ってからは300ドルを超えるまでになっている。
世界の粗鋼生産の大半は高炉で行われているが、高炉法では比較的品位の高い鉱石と、コークスが必要。しかもコークス原料となる石炭は強粘結炭であり、埋蔵量の豊富な一般炭とは異なる。急速に需要が拡大するなかでは強粘結炭および高品位鉄鉱石の供給が不足し、結果として鋼材価格が上昇することになる。コークス価格の上昇が鉄鋼生産のボトルネックとなっている状況だ。
世界の鋼材需要は今後とも増加すると予測されており、世界の設備能力は2002年時点で10〜11億トンが必要とされていた。しかし現実の設備容量は世界で9億トン程度。現状でもさらに1〜2億トンの設備を追加する必要がある。しかし世界で新たに高炉を建設するような動きは少なく、米国ではむしろ電炉によるミニミルが増えており、2002年の米国の粗鋼生産量では初めて、電炉による生産量が高炉による生産量を上回った。これまでスクラップを原料としていた電炉法では不純物が多く高品質鋼の生産が出来なかったが、不純物の少ない清浄鉄源、即ち高級スクラップや還元鉄などを使用することで、薄板などの高級鋼も生産するようになっているためだ。
還元鉄は、低品位の鉄鉱石を使用でき、しかもコークスの替わりに一般炭で還元することができる。設備面でもイニシャルコストや原料コストが低減できるとあって、北米を中心に需要が拡大。さらに既存の製鉄所内で発生するダストやミルスケールなども利用できるため、鉄源リサイクルとしてニーズも高まっていくと見られている。

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住友化学、サウジでエチレンプロジェクト
Aramcoと共同で企業化調査を実施へ
住友化学は5月9日、サウジAramcoとRabighにおけるリファイナリー/ペトケミ統合コンプレックス開発計画「Rabigh Project」で覚書(MoU)を締結。両社共同でFSを開始する。

43億ドルプロジェクト
同計画は、石油会社であるAramcoと石油化学会社の住友化学が両社の強みを活かし、石油精製と石油化学の統合コンプレックスとして世界最大のプラントを建設するもの。これによりスケールメリットを追求するとともに完全なインテグレーションによるシナジーを最大限発揮させるとしている。
両社はまず、Rabigh Projectの実施主体として共同出資会社を設立する。Aramcoは現在、40万b/dの原油処理能力をもつ製油所をRabighに保有しているが、これを新会社に移管。さらに、世界最大級のエタンクラッカーと流動接触分解装置(FCC)エチレン、プロピレンの各誘導品のプラントを新設する。生産能力はエチレン130万t/y、プロピレン90万t/yで、その全量を誘導品の生産に充当する予定だ。
Aramcoは、JVに対し40万b/dの原油、9500万f3/dのエタン、1万〜1.5万b/dのブタンを供給する。
予定している誘導品は以下の通り。
@ ポリエチレン2系列合計75〜90万t/y。これには住友化学技術による新型ポリエチレンEPPEも含まれる。
A ポリプロピレン2系列で計70万t/y。ホモポリマー、ブロックポリマー、ランダムポリマー、ターボポリマーをカバーしコンパウンドも予定。コンパウンドの能力はFSの結果で決めるとしている。
B 住友化学の新技術によるプロピレンオキサイドまたは他のプロピレン誘導品。能力はFSの結果で決める。
C 他のエチレン誘導品。エチレングリコール、アルファオレフィンなどを候補としており、詳細はFSで決定する予定だ。
プロジェクトの投資規模は全体で約43億ドルと見積もっている。日本企業による久しぶりの大型案件である。住友化学ではこのプロジェクトの推進のため、早期にプロジェクトマネジメント・コンサルタントおよびその他アドバイザーを起用する予定だ。

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米国デザインファームの2003年売上高、10年ぶりに減少
 2年間続いたアメリカの建設不況は、2003年に米国の国内デザインファーム業界に大きな損害を与えた。僅かに海外業績の好調が更なる損害を防いだ。2003年のデザインサービス売上高による恒例の米国デザインファーム上位500社ランキング2004年版が発表された。2003年のデザイン売上高は合計が2002年の1.8%減の491.8億ドルとなった。しかし、2003年の国内売上高はより大きな減少、すわち2002年の4.9%減の390.3億ドルと、10年振りの減少となった。2003年の国外売上高は2002年の11%増の101.5億ドルとなった。デザイン市場は不安定なままだが、明るさも見えている企業もでてきた。各社は、速やかな方向転換を模索している。
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Lummus、Yanbuオフィス襲撃され外国人撤退
 ABB Lummusのオフィスが4人のテロリストにより襲撃され、6人を殺害、35人以上の負傷者を出した。LummusはYanbuから外国人を引き上げた。ExxonMobileとSABICの合弁石化プラントの増設に携わるオフィスで石化プラントの向かいにあったが、外国人排撃が目的で生産設備には損傷がなかった。この石化プラント(Yanpet complex)はFluorが建設したもので、その下でLummusは5億ドルで90万t/yエチレンプラントを建設した。増設プロジェクトは28億ドルでエチレン80万t/y、EG41万t/y、PP26万t/y、熱分解ガソリン12.5万t/yを増設する。
襲撃は5月1日の早朝7時前に、IDカード使って3名、非常口から1名が侵入、外国人を選別、project manager、costruction manager、engineering manager、overall administratorなどを選び出した。Lummus社員米国人2名、英国人1名、オーストラリア人1名、下請の英国人1名が射殺され、プロマネの死体は車で市内を中学校まで引き回されたという悲惨なものであった。もう1名の死者はサウジの治安部隊員であり、銃撃戦で死んだ。襲撃者はal-Ansali兄弟−一人が国際テロ組織の一員で国際手配されていた−で全員が射殺された。サウジ政府はテロ組織撲滅に全力をあげ、2ヶ月前に組織を95%壊滅したというが、4月21日にリヤドで自動車爆弾で150人以上の死傷者をだした。イラク人虐待の発覚もあり、アラブ全域での外国人排斥の動きが懸念される。
YanbuのLummusオフィスには負傷者を含めて100人強の従事者が世界各国(米国・カナダ、欧州、フィリピンなどアジア)から社員・下請含めていた。全外国人が家族とともに帰国した。米国大使館は4月にテロの恐れから退避勧告を出しており、Yanbuの襲撃でさらに強めLummus関係者に保護できないことを宣言した。このことと悲惨な殺害状況から全員が帰国を選んだ。Lummusは湾岸諸国のオフィスからの指示でYanbuオフィスを現地人で運営するという。
この襲撃はYanbuをはじめとするサウジ駐在コントラクターに大きな衝撃を与えている。日本のコントラクターは工事は進めているが、情勢の変化を注視している。サウジは3万人の米国人をはじめとして600万人の外国人労働者に依存している国であり、外国人撤退の動きの拡大を恐れている。初めての生産設備関連ということなどから、サウジの治安情勢・欧米外国人依存のサウジの経済構造の脆弱さが浮き彫りになった。今回の事件はサウジ政府の治安能力が世界的に問われており、サウジのテロ対策の成否は世界の石油・経済の大きなリスク要因だ。
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Project News
・PetroChina、UOPプロセスを選定
・大慶で第2PPプラント計画
・Sinopec、イランLNG輸入で山東省にターミナル計画
・EquateUエチレンでTechnip技術
・サウジJubailで酢酸プロジェクト
・Al-Jbailでスチレンプロジェクト
・名古屋、鳴海工場PFIで参加受付
・世田谷清掃工場立替事業で5月21日に入札
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編集後記
○…イラクで拘束されていた5人が無事解放された。彼らの責任を問う声が喧しい。何と日本へ帰る航空運賃を請求する事態にまで至っている。彼らは果して政府が救出したのだろうか。彼らの会見を聞くと、いずれの場合もスパイという誤解を、自らのイラクにおける活動を提示することで、拘束側の信頼を勝ちえて解放されたのであり、まさに自己責任を全うしている。
政府の行動は何の成果もなかったと見るのが至当だろう。つまり政府は副大臣をヨルダンに派遣する、帰国にチャーター便を使うなど政府・外務省の判断ミスと無駄遣いこそせめらるべきだ。
政府以上に呆れ返るのはテレビ・大新聞だ。5人の中に2人のフリー記者がいる。イラク戦争以来、イラクの情報はほんの一部を除けば、フリー記者に依存しているのが現実だ。サマワに一時期ぞろぞろと派遣したことを除けば、各社とも正社員は政府の退避勧告に「忠実に」従って、退去している。
真実を伝える義務があるテレビ・大新聞が、今回の事件に対して、この時点でイラクで何が起きているかという大局的報道はほとんどなく、他人事に終始し、単なる誘拐事件同様の姿勢で号外を出し、特番を組んでいた。重要な位置を占めるフリー記者、彼らを救おうという行動も姿勢もなかったのは残念としかいいようがない。

○…いろいろな指標をとり上げて、「景気は底をうった」、「わが国経済は拡大基調にある」といった説明をこれまではあまり本気にすることはなかった。ところが、個人的に今回は違うのではないか。
1990年代初頭におこったバブル崩壊のあと、何度この言葉に騙されたか。何度か裏切られているうちに、「またか」と本気にしなくなったのだ。当初は「いよいよ、景気回復」と期待が大きかっただけに不信感だけが積み残ってしまったのである。
さらに、いくらいろいろな指標をあげて説明されようとも、景気回復の実感をこれまではまったく持てなかった。身のまわりを見ても、個人消費が上向いている気配は全く無く、「飲み屋」、「食べ物屋」も安いところばかりがはやる。都市近郊には「安売り屋」ばかり林立する。たまに乗ったタクシー運転手は、「客がちっとも増えない。競争相手ばかり増える」とぼやく。働きたくても職が無い人が身近に増え続けている。
ところが、今回は少し違うかも知れないと思う。理由は簡単だ。通勤途中の乗換駅でみる貨物列車の連結車両数が着実に増えている。連結している油槽車、コンテナ車の数が増え続けいるのである。バブル崩壊前の久しぶりにみる光景だ。今回の景気回復傾向は本物かもしれない。

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