中国市場での急激な鉄鋼需要の拡大で鉄鋼原料価格が上昇、鋼材価格も急騰しており、プラント商談にも影響を与えている。今後の世界の鉄鋼需要はさらに拡大していくと見られており、高品位の鉄鋼原料不足への懸念が高まっている。そのなかで低品位鉱石や一般炭を使用できる還元鉄への期待が高まりつつあるという。
還元鉄需要が増加に期待
中国の鉄鋼需要の急激な拡大が世界の鋼材価格の上昇を促している。中国の鉄鉱石輸入量は2000年以降急速に拡大、粗鋼生産量も既に年間2億トンを超えた。これに伴ってコークス価格が2003年から急上昇。それまでトン当たり100ドル以下であったものが、1年間で2倍以上に上がった。スクラップや銑鉄などの鉄源価格も急速に上昇しており、2003年末ではトンあたり200ドル前後であったものが2004年に入ってからは300ドルを超えるまでになっている。
世界の粗鋼生産の大半は高炉で行われているが、高炉法では比較的品位の高い鉱石と、コークスが必要。しかもコークス原料となる石炭は強粘結炭であり、埋蔵量の豊富な一般炭とは異なる。急速に需要が拡大するなかでは強粘結炭および高品位鉄鉱石の供給が不足し、結果として鋼材価格が上昇することになる。コークス価格の上昇が鉄鋼生産のボトルネックとなっている状況だ。
世界の鋼材需要は今後とも増加すると予測されており、世界の設備能力は2002年時点で10〜11億トンが必要とされていた。しかし現実の設備容量は世界で9億トン程度。現状でもさらに1〜2億トンの設備を追加する必要がある。しかし世界で新たに高炉を建設するような動きは少なく、米国ではむしろ電炉によるミニミルが増えており、2002年の米国の粗鋼生産量では初めて、電炉による生産量が高炉による生産量を上回った。これまでスクラップを原料としていた電炉法では不純物が多く高品質鋼の生産が出来なかったが、不純物の少ない清浄鉄源、即ち高級スクラップや還元鉄などを使用することで、薄板などの高級鋼も生産するようになっているためだ。
還元鉄は、低品位の鉄鉱石を使用でき、しかもコークスの替わりに一般炭で還元することができる。設備面でもイニシャルコストや原料コストが低減できるとあって、北米を中心に需要が拡大。さらに既存の製鉄所内で発生するダストやミルスケールなども利用できるため、鉄源リサイクルとしてニーズも高まっていくと見られている。
|