EnB ○○号 目次
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■EYE
「国策」に捉われるな詳細へ

■REPORT
米国市場で動くLNGプロジェクト詳細へ

2003年の産機受注、2年ぶりに増加

■OPINION
錯綜した法規と業界の固定化詳細へ
(株)FPEC 筒井哲郎

■TOPICS
プラント・建設各社の第3四半期決算詳細へ

メガフロート、羽田再拡張での採用狙う詳細へ

アザデガン油田開発で契約

■GLOBAL Business
・SembCorp、2003年の純利益66%増詳細へ
・Veolia、スペインFCCの株売却を準備
・GE、エンジニアリング企業2社と提携
・Fiat、エンジニアリング事業部門の過半数株を売却
・Business News詳細へ

■NEWS FLASH
・三菱重工、インドネシアで大型発電所
・ササクラ、バーレーンから逆浸透膜法淡水化装置を受注
・新日鉄、CSCから製鉄設備受注
・住商〜東芝プラント、マイクロ水力を拡大
・三井造船、三井鉱山と水環境事業譲渡で契約締結
・川崎重工、ブラジルIPP向け複合火力発電を納入
・JFEエンジ、消化タンク機械攪拌機受注100基を達成
・富士電機、豊田自動織機と物流サービスで提携
・加ハイドロジェニックス、日本で燃料電池を受注詳細へ
・JBICの最近の動き
・三菱重工、ベストイノベーションに風力発電など7件
・Project News(Overseas)詳細へ

■海外主要プロジェクトの動向

■Asia Business Report

伊藤忠、「膨張」青島港を追え
商社にとって物流とは何かV
加藤 隆

■データ・ファイル

■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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「国策」に捉われるな
 アザデガン油田開発が日本とイランで合意した。イランがIAEAの核査察を受け入れたことで交渉が成功した。これによって、サウジアラビアのカザフ油田の権益失効を埋め合わせする、大規模自主開発油田が実現することになる。日本のように石油の輸入依存度が極めて高い国にとって自主開発油田の存在は確かに重要だ。ただ、この油田開発には多くのリスク要因が存在する。そのリスクをどのようにマネジメントしていくかはこれからの問題となる。課題は多いが、知恵を出していけばおそらく事業としての採算性も確保できるようになっていくのではないか。
ここで重要なのは、もしも採算性が見込めないのであれば、速やかにプロジェクトからの撤退を決断しなければいけないということだ。採算性が見込めず「国策だから」ということでだらだらと事業を継続していけば、結局は国からの資金投入を招き、国の債務を膨れ上がらせることに繋がりかねない。
一般に事業からの撤退は「失敗」とされる傾向があるが、採算性の見込みが薄い事業から撤退し、限られた資源の有効配分を図ることは立派な戦略の一つだ。
先ごろ、日本建設業団体連合会がまとめた「PFI事業の促進・定着に向けた提言」のなかで、国内PFIに対して「大半の事例で当初出資者は株式の保有義務を課せられているため、出資金が長期にわたって塩漬けとなり資金的制約が大きい。一定の要件を満たす限り、原則としてSPC株の譲渡を認めるべき」とする項目があった。長期間にわたる事業に対して、出資者が途中で資金を別途活用することが出来なければ、新たなプロジェクトは成立しにくくなる。権益を放出して換金して、次のプロジェクトに向かうのは正しい判断である。
日本にとって、重要なのは石油の供給を安定確保することあって、「アザデガン油田を開発する」ことが重要なのではない。このプロジェクトがうまくいきそうにないのであれば、次のプロジェクトを発掘していけばよい。「国策」に捉われすぎて正当な判断が阻害される、あるいは国が、回収できないリスクマネーを供給してはいけない。
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米国市場で動くLNGプロジェクト
 米国のLNG需要が拡大しようとしている。だが、LNGプラントに関しては、ここのところやや停滞気味だ。しかし米国内およびメキシコのLNG受入ターミナルプロジェクトが動きだしており、これらの完成に合わせて再びLNGプラントも動き出していくことが予想される。

 米国のLNG需要の拡大が予測されている。自国での天然ガス産出量が需要に追いつかず、アラスカ・カナダからのパイプライン・ガスもアメリカの需要を全て賄うことができない。特に、カリフォルニア州ではガス火力発電への依存度が高くガスの手当てが重要であるが、州内に天然ガス田があるものの、需要の10数%しか手当てできない上に、他州からのパイプラインガスも需要に追いつかない状況になってきている。
米国は全体的にガス火力発電へのシフトを進めてきたが、肝心のガス供給面では設備投資は完全に遅れをとっている。ガス産出国である米国はパイプラインへの依存が極めて高く、LNGによる遠隔地からの天然ガス輸入に関しては重視されてこなかった。現在、米国のLNG受入ターミナルは4カ所のみであるが、このうち実際に稼働しているのは2箇所。それも1箇所はパイプラインのピークシェービング用としてである。圧倒的に設備が足りないのだ。
米国の天然ガス需要はさらに拡大していくと見られているため、これに対応すべく近年、米国は各地で多くのLNG受入基地建設が計画されている(表参照)。また、メキシコ北西部でのLNGプロジェクトも、米国への供給を目指したものであり、これを含めるとその総数は13件。さらに、数件のプロジェクトが構想段階にある模様だ。
ここに来て、これだけのプロジェクトが一斉に動き出しているのは、LNG基地の規制に関する判断が変化したことによる。
従来、米国ではLNG基地はパイプライン設備と同等と見られており、そのためオープンアクセスが義務付けられてきた。それが、DynergyのHackberyLNG受入基地プロジェクトについて、2002年に仮承認した際、エネルギー業界によるオープンアクセス規制が投資を阻害しているとの反発を受けて、LNG受入施設をFERC管轄外として、オープンアクセス規制に係らないと判断した。元々オフショアのLNG基地に関してはオープンアクセス規制がかけられていなかったため、整合性を取る意味に加え、設備投資が行われなければ天然ガス需給が逼迫するという状況を打開していく必要があったためである。これ以後米国におけるLNG受入基地プロジェクトが一斉に進みだした。

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錯綜した法規と業界の固定化
(株)FPEC 筒井哲郎
消防関係の法規や高圧ガス容器に関する日本国内の法規は、きわめて分かりにくい記述体系になっている。本来こういう技術体系の規定は工学系の技術者が常にアクセスして広く認識されるべき普遍的な技術上の知識であるにもかかわらず、アクセシビリティを阻害する記述体系であるために、その道何十年という少数の専門家だけが精通しているという結果になっている。本質的に高度な内容であるから少数の専門家にゆだねられているというのなら必然性があるが、法規という強制力を持つ文書が、ただ記述が煩雑であって、不必要な消耗を強いるだけだという理由で、その道を志した少数者だけにゆだねられているというのが現状である。その結果として、幅広い技術分野の専門家が知恵を集めて防災技術に関与するという道を遠ざけ、防災の専門家は狭い既存の法規の世界に閉じこもって、普遍的な技術の進歩がこの分野に反映されないという悪影響を生んでいる。たとえば、先般の北海道の油タンク火災は、長周期地震動が浮き屋根式タンクにスロッシングを生じさせる可能性を指摘されていたことが見過ごされ、また、欧米では大容量長距離泡放射砲が普及しているにもかかわらず国内ではどの製油所も備えがなく、緊急輸入して消火に当たるという事態に立ち至った。
個々の現象にはそれぞれの経緯があるが、ここではプラントの防災を考慮すべきプラント設計技術者が悩まされている法規の記述の改善を訴えたい。
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プラント・建設各社の第3四半期決算
 プラント・建設各社の2004年3月期第3四半期決算がまとまった。大型案件の好調な受注に支えられ、エンジニアリング専業大手3社は1月には東洋エンジニアリング(TEC)および日揮の2社が今期受注目標を達成している。これに対して、重工/重電メーカーおよび建設各社は、第4四半期に受注・売上げ共に集中するため、目標の半分〜3分の2程度となった。
専業エンジニアリング会社では、第3四半期において、千代田化工建設が医薬品向け薬理研究棟建設工事、石油会社向けFCCガソリン脱硫装置などを受注。東洋エンジニアリングは、サウジアラビア向けEO/EG製造設備、東ソー向けアニリン製造設備などを受注している。両社とも受注達成率は90%を超えているが、いずれも受注予想通りに進んでいるため通期の受注予想は中間期から変更していない。日揮は、通期受注予想を4,700億円に上方修正。第3四半期末での達成率は55.7%と低めだが、1月に2件で2,000億円超を受注し、目標を達成している。
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メガフロート、羽田再拡張での採用狙う
 造船工業会が中心になって進めてきたメガフロート開発。これまでに1000m実証浮体をはじめ、石油備蓄基地貯蔵船、浮体式防災基地などで大型浮体の実績はあるが、その最大の活用対象である空港設備では世界にもこれまで例がない。実績のない工法であるがゆえに、関西国際空港では選定されなかった。それが、現在進められている羽田空港際拡張では、提案されている他の工法と同等の評価を得て、2004年度にも入札が行われることとなった。漸く、工法選定の土俵に乗ることができたのである。
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SembCorp、2003年の純利益66%増
 SembCorp Industriesの2003年の業績が発表となった。純利益2.851億S$(S$=シンガポールドル、1.701US$)、売上高46.4億S$11%増の好業績を挙げた。ユーティリティ・環境・流通部門の好調に対し、エンジニアリング建設(E&C)部門は、純損益は前年の損失から僅かな利益に転じたが、売上高は減少した。

 SembCorpはシンガポール政府が51%株を持つ準国営企業であり、コアビジネスとしてユーティリティ・修繕船・流通、さらにエンジニアリング建設(E&C)・環境サービスを事業とする、アジア最大の産業サービスプロバイダー。コア3事業で売上の75%・純利益の71%を占める。特別項目控除以前の純利益は1.837億S$13.7%増であり、1.015億S$の特別利益を計上している。内容は水事業・インターネット事業株などの売却益がノンコア事業建築材料事業売却損を大きく上回ったことになる。
最大の事業ユーティリティは売上高・純利益とも急増した。事業内容はエネルギー(電力・ガス)・統合ユーティリティ・オフショアエンジニアリングの3部門からなり、売上は3部門とも伸びたが、純損益はオフショアが損失だが、他は大きく伸びた。2003年にはEnron Teesside Operationsを買収、世界最大のユーティリティプロバイダーとなった。またJurong島モデルを活用した、上海・南京の化学工業区での統合ユーティリティサービス提供を受注した、オフショアエンジニアリングの組立設備をBatam造船所に増設した。プロセス産業のサイトサービスのアウトソーシング需要の増大・中国などの石化基地の発展・ローカルエネルギー市場解放の増加・オフショア石油ガス市場の成長があり、2004年も20%以上の利益増を見込んでいる。

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Brief News
・mg、化学事業売却先5社を選定
・Bechtel、ルーマニア道路プロジェクトを特命受注
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加ハイドロジェニックス、日本で燃料電池を受注
 カナダの燃料電池メーカー、ハイドロジェニックス・コーポレーションは、10kW燃料電池パワーモジュール「HyPM」を日本向けで初めて受注した。3月に納入する予定。納入先は明らかにしていない。
受注したのは燃料電池パワーモジュールと、新開発の燃料電池モジュール診断装置。研究所施設に設置・運転される。ハイドロジェニックスの燃料電池パワーモジュールは、燃料電池スタックに加えて関連コンポーネント、サブシステム、制御用ソフトが搭載されており、水素燃料を供給するだけで電力を発生する。
納入する設備のアフターセールスサポートはハイドロジェニックすの日本支社が担当する。
ハイドロジェニックスは、燃料電池本体および評価システムの製造・販売を行っている。今回、日本で初めて燃料電池パワーモジュールを受注したことは、同社にとって日本市場への参入への重要なステップになるとしている。また、改質器に対応できる燃料電池パワーモジュールを開発し燃料減を多様化していくことが需要拡大につながるとした。
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Project News(Overseas)
・SkikdaLNGの爆発はガス漏れが原因?
・Tubanで資金調達に見通し
・中国CNOOC、東部に第二LNG基地
・インドネシアDonggiLNG前進か
・印IOC、PPプラント建設サイトはPanipat
・BP、Sasolにイノベン法をライセンス
・Sadafのスチレンプラントでルーマス技術優勢
・サウジ造水PJ、3月にEPC入札
・ShuaibaアロマコンプレックスでPQに9社
・QatarGasU、4月にEPC入札
・Taweelah B/CでRFP
・カタールRas Lafan第4のGTLプロジェクト
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編集後記
○…本号のGlobal Businessのスペースの3/4がアウトソーシング関連の記事となった。アウトソーシングビジネスが世界のエンジニアリング建設企業のコアビジネスモデルの1つとなっていることの反映ともいえる。翻ってわが国のエンジニアリング・建設企業・プラントメーカーの場合、コアビジネスとなっているとは到底いえない。トータルソリュージョンプロバイダーをめざすなどの企業戦略もいまのところ成果があがっていない。
アウトソーシングビジネスが定着していないのは受託企業の事情というより、わが国の官民オーナー側の状況による点が多い。PFI事業にしてもようやく定着したという段階にすぎない。民間企業も欧米企業に比べると、コア業務への集中という点では遅れている。
本誌でも紹介した富士通総研の中国環境ビジネスのレポートによると、中国政府は環境事業をビジネスとして制度の整備をすすめ、内外の資金を導入を進めている。そのなかで、日本企業の公共事業になれたビジネス感覚・機械装置販売モデルが足かせとなって苦戦している。そして提言の1つとして、中長期的にはトータルソリュージョンプロバイダーへの脱皮を謳っている。海外企業の動きをみても中長期でなく早急な転換が必要だ。

○…十二支に出てくる動物のうち我々が通常口にするのは、丑(牛)、酉(鶏)が主なものであろう。猪も豚の原種であると考えればこれも入るが、午(馬)となると馬刺しで一杯はいいが、通常一般家庭の食卓にはあまりのぼらない。また、未(羊)もジンギスカン鍋にはいいが、それほどポピュラーではない。
やはり、現代人の嗜好でいけば肉の王者は牛肉、豚肉、鶏肉にしぼられるであろう。ところが最近、BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザ騒動で牛肉と鶏肉があぶない。食すると死に至るという意味の「あぶない」ではない。これから我々が食する対象の肉類では、王者を保つのが「あぶない」のでは?という意味だ。
鳥インフルエンザでは、日本ではヒトの発症例がないし、真実かどうか知らないが、感染している鶏を直接食べても人には感染しないという。しかし、日々の報道で一般消費者の不安感は増し、鶏肉の売れ行きは落ちる。
また、BSEは国内では02年10月以降実施されている全頭検査で10頭がBSEと診断されたが,焼却処分されて、一般市場には出回っていないが、牛肉も間違いなく消費量は落ちている。時代、地域、民族によってどのような肉を食べるか異なるが、我々も丑、酉や猪だけにこだわる嗜好を変えなければならないのかも知れない。

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