米国のLNG需要が拡大しようとしている。だが、LNGプラントに関しては、ここのところやや停滞気味だ。しかし米国内およびメキシコのLNG受入ターミナルプロジェクトが動きだしており、これらの完成に合わせて再びLNGプラントも動き出していくことが予想される。
米国のLNG需要の拡大が予測されている。自国での天然ガス産出量が需要に追いつかず、アラスカ・カナダからのパイプライン・ガスもアメリカの需要を全て賄うことができない。特に、カリフォルニア州ではガス火力発電への依存度が高くガスの手当てが重要であるが、州内に天然ガス田があるものの、需要の10数%しか手当てできない上に、他州からのパイプラインガスも需要に追いつかない状況になってきている。
米国は全体的にガス火力発電へのシフトを進めてきたが、肝心のガス供給面では設備投資は完全に遅れをとっている。ガス産出国である米国はパイプラインへの依存が極めて高く、LNGによる遠隔地からの天然ガス輸入に関しては重視されてこなかった。現在、米国のLNG受入ターミナルは4カ所のみであるが、このうち実際に稼働しているのは2箇所。それも1箇所はパイプラインのピークシェービング用としてである。圧倒的に設備が足りないのだ。
米国の天然ガス需要はさらに拡大していくと見られているため、これに対応すべく近年、米国は各地で多くのLNG受入基地建設が計画されている(表参照)。また、メキシコ北西部でのLNGプロジェクトも、米国への供給を目指したものであり、これを含めるとその総数は13件。さらに、数件のプロジェクトが構想段階にある模様だ。
ここに来て、これだけのプロジェクトが一斉に動き出しているのは、LNG基地の規制に関する判断が変化したことによる。
従来、米国ではLNG基地はパイプライン設備と同等と見られており、そのためオープンアクセスが義務付けられてきた。それが、DynergyのHackberyLNG受入基地プロジェクトについて、2002年に仮承認した際、エネルギー業界によるオープンアクセス規制が投資を阻害しているとの反発を受けて、LNG受入施設をFERC管轄外として、オープンアクセス規制に係らないと判断した。元々オフショアのLNG基地に関してはオープンアクセス規制がかけられていなかったため、整合性を取る意味に加え、設備投資が行われなければ天然ガス需給が逼迫するという状況を打開していく必要があったためである。これ以後米国におけるLNG受入基地プロジェクトが一斉に進みだした。
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