○・・・BSE・SARS・鳥インフルエンザと、動物経由の病気がわれわれの食と健康に、大きな不安を投げかけている。いずれも社会的・経済的影響が大きい問題だ。
横浜国大の中西教授が3種のリスクという考え方を提示している。それは@実態としてのリスク(リスクの実像)A研究者や行政機関が安全率を考慮して想定するリスクの大きさ(規制リスク)B一般の人が抱く不安としてのリスクの大きさ(リスク不安)だ。Aはもう少し広げて、商品・サービスの提供者が想定するリスクも含めて考えた方が良いと思う。中西教授はAを考慮するのにリスク不安に対処するという考え方が必要になってきているという。
BSEなどを3つのリスクで考えると、新しい病気であるだけに科学的真実が不明確な点があり、それがそのまま一般人の不安を大きくしており、かつ国により差がある。その結果、各国の規制・提供者の行動に差が出ている。人・物のグローバル化はAについて世界的に一定の収斂が必要だ。SARSについては過剰とも見える対策が成果を見せている。BSEについては成功していない。日米間には@・A・Bとも差があり、日米間の貿易摩擦に発展しかねない情勢だ。しかし、牛丼チェーン社長の「青天の霹靂」という発言は納得いかない。米国のBSE発症リスクは事前に十分に察知できた筈だ。
○…今年1月17日は阪神淡路大震災から9年目であった。新聞、テレビはその日、大震災関連の報道を一斉に行った。その日前後の関連報道は極端に少なくなる。災害体験を風化させないように神戸周辺ではいろいろな行事が行われ、経験を語り継ぐ努力がなされていた。
たまたま見たテレビで、解説者が大震災に備えて最も大事なこと二点をあげていた。「日頃の備え」と「地域の連携」である。「日頃の備え」は平たく言えば、非常持ち出し袋を用意しているかとか、震災時の家族の連絡方法、待ち合わせ場所などを話し合っているかなどではなかろうか。あるいは、災害訓練などに参加しているか、防災知識の習得につとめっているかなども入るかもしれない。この点について及第点の人はあまり多くないような気がする。
もっと難しいのが「地域の連携」である。個人的に解決できる事柄ではないからだ。これまで地域活動に全く無縁の人にとっては考えも及ばないかも知れない。地域の連携体制はどうなっているか、避難場所はどこで、行政との連絡方法などの知識もこの部類に入るだろう。東海地震だけでなく関東でも直下型大地震がいつ起きてもおかしくない状況だという。大地震は必ず来るという前提で心がまえをし、日頃の備えをする必要があるのでは?
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