のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。 |
ロシアの資源を獲れ |
Yukosをはじめとするロシアの石油会社が潤っている。OPECが減産を続けてきたなかで、ロシアの石油生産は過去数年増加を続けてきており、輸出パイプラインはフル稼働状態となっている。石油輸出による収入が増えているのだ。 今年5月、米ロ首脳海外でエネルギー分野で両国が協力することが共同宣言に盛り込まれた。そしてロシアはこの夏から、試験的に米国へ石油輸出を始めた。そして10月初めには米ロエネルギーサミットが行われ、来年には米国のエネルギー企業がロシアを訪問することになる模様だ。米国とロシアが急速に近づいてきている。 昨年のテロ以来、米国は中東への石油依存度を引き下げる方針に出ており、ロシアのエネルギー資源を獲得することはその意味で米国にとって重要となっている。また、ロシアは中東に替わる投資先としても有望視されている。ロシアにとっても、米国への輸出はこれまで欧州オンリーだった輸出先を拡大できる。 対して、日本のロシアに対する動きは極めて鈍い。中東依存度の低減は長年の政策であったにも関わらず一向に実現される気配がない。それも当然だろう。政策の中身が石油の備蓄、自主開発、産油国協力となっており、供給ソースの多様化という観点がないのだから。確かにこれまでは中東以外にまとまった規模の原油を日本に供給できる国はなかった。 しかし現在、ロシア石油会社は資金的にも余裕があり、米国での株式上場も進めているなど投資家本位の経営体となりつつあるなど、西欧の「普通」の会社となってきた。要するにリスクはかなり低減されてきているのだ。 ロシアの次のターゲットは東アジア地域である。今後の需要の急増が見込める中国、中東依存度の極めて高い日本や韓国、そして台湾、さらには北朝鮮も含めて、ロシアにとって有望な輸出先がそこにある。 アジア市場を狙うロシアの資源を、日本が獲得する絶好のチャンスが訪れている。日本のエネルギー政策としてロシアの資源開発に積極的に関わっていかなければならない。 |
浮上!東シベリア原油パイプライン構想 |
豊富な資源量を誇るロシアでは、欧州への資源輸出に加え、アジアおよび米国を新たな輸出市場として動きだしている。そのための施設整備計画として、新たに東シベリア〜ナホトカ原油パイプライン構想が持ち上がってきた。日本としてもメリットの大きいこのプロジェクトの具体化に向け、日露共同作業が開始されようとしている。 |
日揮、中国南京EO/EGプラントを受注 BASF向けでシンガポールに続き2件目の実績 |
日揮は、中国・南京エチレンコンプレックスのエチレンオキサイド/エチレングリコール(EO/EG)プラント受注した。今年7月に完成したシンガポール・セラヤケミカルズ向けのプラントに続き、2件目のBASF向けの実績となった。 EO/EGプラント31.5万t/yを受注 日揮が受注したのは、BASFとSINOPEC傘下のSINOPEC揚子石油化工公司(YPC)との合弁会社であるBASF-YPC向けのプラント。BASF-YPCは、江蘇省南京に60万t/yのエチレンプラントを核とするエチレンコンプレックスの建設を進めている。今回は年産31万5,000トンのEO/EG製造プラントの建設を、ランプサムターンキーベースで契約。受注額は明らかにしていないが、約120億円程度と見られている。完成は2004年11月の予定。 商談では、日揮グループのほかテクニガス・リゥニダスが最後まで競合していたが、SINOPEC ENGINEERINGとのコンソーシアムが有利に働いたことや、これまでの中国でのプラント建設実績、シンガポール・セラヤケミカルズ向けのプラントの実績などが評価され、受注に成功したとしている。 日揮は、SINOPEC傘下の設計院SINOPEC ENGINEERING社との共同でプロジェクトを受注したもので、BASFが行う基本設計パッケージを受け取り、詳細設計、機材調達、建設工事、試運転を行う。SINOPEC ENGINEERINGは日揮の現地パートナーとして、北京の事務所で詳細設計および中国国内での機材調達役務を行う。 中国国内では熱交換器などを調達する予定であり、中国ポーションはプロジェクト全体の4割程度に達する。また、プロセスはBASFのプロセスが採用され、プロセスのコアとなる部分についてはBASFが担当する。基本設計だけでなく、リアクターに関してもBASFが調達し、日揮はこれを受け取って輸送・据え付けを行うことになる。 セラヤ向けが完成 1999年末、日揮はシンガポール・セラヤケミカルズ向けにスチレンモノマー/プロピレンオキサイド製造プラントを受注した。Shell法による同プラントは、スチレンモノマーが56万5,000t/y、プロピレンオキサイドが25万t/yというもの。 セラヤケミカルズはBASFとShellとの合弁会社であり日揮にとってはBASF向けではじめての受注実績となった。ABBルーマス・グローバルのシンガポール現地法人との共同で受注したもので、厳しい顧客として知られるBASF向けの実績を築いた。これを納期どおりに完成させたことで日揮への信頼が高まった。この実績が今回のEO/EGプラントの受注につながっている。 南京エチレンコンプレックスでは、エチレンプラント(60万t/y、ストーン&ウェブスターが受注)、LDPEプラント(40万t/y、台湾CTCIが受注)、アクリル酸(16万t/y、TEC受注)、アクリル酸エステルプラント(21万5,000t/y、TEC受注)、オキソアルコールプラント(25万t/y、TEC受注)、EO/EGプラント、蟻酸プラントで構成される。 総投資額が29億ドルという、BASFにとってはアジア太平洋地区で最大の投資案件であり、SINOPECにとっても中国最大規模、初の外資合弁プロジェクト。プラント全体は2005年の運転開始を目指しており、中国国内市場向けに年間170万トンの化学製品。ポリマー製品を供給する。 日揮がEO/EGを受注したことで蟻酸を除くプラント類の発注先は決定した。日揮は残る蟻酸プラント建設商談でも参加しており、同コンプレックスで2件目の受注をめざす。現在商談はクラリフィケーションが行われており、今年末から来年初めにかけて発注先が決定する見込みだ。 現在中国では、欧米オイルメジャーおよびケミカルメジャーによる石油、ガス、石油化学関連のプロジェクトが多く計画されている。日揮では中国を重点市場として、今後これらのプロジェクトへの参画をめざして受注活動を積極化していく考えだ。 |
柔軟化するLNG市場 LNGプロジェクト成立要件が複雑化? |
スポットやスワップ取引が目立ち始めたLNG市場。柔軟化しつつあるLNG市場は今後どのように変化していくのか。エネルギー経済研究所はこのほど、LNG取引の今後の可能性についての報告書を取りまとめた。 欧米で受入基地建設が活発化 北米および中南米では現在、14件のLNG新設計画がある。これらが完成すると、同地域のLNG受入能力は9,100〜9,600万t/yになる。欧州でも既存基地に加え10カ所の受入基地建設計画がある。大西洋地域はLNG供給不足であり、太平洋地域は逆に供給過剰気味だ。アメリカ西海岸のLNG輸入が開始され、中国やインドがLNGを導入することによりアジア太平洋地域のLNG需給バランスが変化する可能性がある。また、欧州やアメリカ東海岸のLNG需給が逼迫すると太平洋地域の供給がシフトしていく可能性もある。 一方、アジア太平洋市場でも、堺および水島の受入基地のように業界を超えたLNG基地新設や、東京ガス、大阪ガス、韓国KogasなどによるLNG上流部門や海外進出の動きがあり、世界的にLNGプレイヤーの役割が変化してきた。 また、LNGプラントおよびLNG船がコントラクター間の競争などによりコストが低減してきており、これを背景にFOB契約を採用する動きが活発化してきた。 今後、サハリンUが導入されると、台湾や中国などと日本の間にスワップ取引の可能性も出てくる。また、インドのLNG輸入が開始されると、日本中東産LNGをインドへ、インドの東南アジア産LNGを日本へというスワップ取引の可能性がでる。さらに北米西海岸の受入基地の新設により、日本と北米でアラスカ産LNGとサハリンLNGのスワップ取引の可能性がでる。 さらに、今後日本でLNG調達の一部で入札制度が導入されると、LNG供給者間に競争を促すことになるが、一方で1系列を立ち上げるのに必要な量のLNG需要を長期で提示しないと供給者が応札しない可能性がある。また計画中のアジア太平洋向けLNGプロジェクトが実現しても既存プロジェクトに利害関係のない新規プレイヤーの参入を期待できる状況にはなっていない。 LNGプロジェクトのコスト低減が市場の柔軟化を促し、それが今後のプロジェクト成立要因を複雑化させる可能性もあるようだ。 |
フィリピンエチレン計画に新たな難問 |
フィリピンBataanエチレン計画の投資フレームがほぼかたまったことを既報したが、ブルネイのエチレン計画が浮上してきたことによりブルネイの出資が危ぶまれる事態となってきた。ブルネイの国営のMashhor
General Contractorがこの計画に関心を示したのはブルネイが自国政府が石化計画をテークオフしないためであった。ところが最近、ブルネイ政府はSungai
Liangの石化計画立上げを決断した。数社の外国企業が関心(Eol)を示し、政府はEolを検討している。関心をもっている企業・プロジェクトは明らかとなっていない。さらにPulau
Muala Besarの石化コンプレックスのマスタープランも最近完成したが、いまのところ承認していない。 フィリピンBataanエチレンの最終FSは9月末という。フィリピン政府はAseanへの石化製品の関税引き下げの公式の表明に先立ってBataannエチレン計画出資予定企業の出資確約を求めている。関税引き下げによるフィリピン企業の下流製品の需要減退を予想されるためだ。 さらなる問題として浮上してきたのはBP ChemicalsのBataan Polethylene Corp(BPC)持株38.5%のJVパートナーPetronasへの売却交渉が進展していないことだ。Petronasがこの問題解決をエチレンプロジェクト出資の条件としている。住商もBPC持株5%のPetronasへの売却を交渉中だ。他の問題としてフィリピンの電力料金がアジアで最高水準であることもある。 |
GTLプロジェクトの動向 |
Sweetwaterプロジェクト失敗か? SyntroleumはオーストラリアのSweetwaterGTLプロジェクトの延期を発表したが、復活の可能性は少ないと見られている。プラント設計建設段階の資金調達に失敗した。SytroleumはTessag INA(RWEグループ)とのEPC契約は8月末に破棄し、この1.15万b/dのプラントのコスト25〜30百万ドルを損失計上した。今後はIvanhoeとのカタール・ペルー・米国国内などのプロジェクトを追求する。 Syntroleum、ペルーオフショア開発で協力企業求む Syntroleum Peru(Syntroleumが同社のGTL技術をつかってペルーにGTLプラントを建設することを目的とした子会社とBPZ Energyはペルー北岸のオフショア開発プロジェクトでパートナー企業を求めている。両社が原料ガス獲得のためペルー政府から獲得した権益からコマーシャルベースの石油・ガス田を発見したという。 RentechのボリビアPJ、Jacobs UKがFS GTL BoliviaはSanta Cruz近郊に建設する1万b/dのGTLプラントのFS資金を確保した。Jacobs Engineering UKが受注、4〜6月後に完了しその後のフェーズの担当も期待される。Rentechの技術で、本年初め覚書を締結している。ボリビアの豊富な天然ガス資源を利用してクリーン燃料を生産し、輸入軽油を代替する 。 |
Project News |
・オマーンLNG、千代田受注へ ・ベトナムの肥料プラント計画 ・トリニダッドトバゴで次期LNGプラント ・オマーンSohar製油所PJ、日揮〜千代田が1番札 ・サウジでコージェネPJ ・エジプト、Nuberia複合火力で入札へ ・屋久島廃棄物処理で参考見積り ・月島、京都水道局処理場を受注 ・ユニチカ、鳥取西部向け溶融炉受注 |
○…竹中経済財政相が金融相を兼務、政府の不良債権処理に本気で取り組む姿勢が明らかとなった。前金融相は日本の金融機関の健全性に何の問題がないという現実無視の「幻想」を振りまいていた。債権回収が優先、積極的な信用供与の役割を果たせていない日本の銀行。日本の経済・産業にとって桎梏条件となっている。海外顧客から全く評価されていない日本の銀行、プラント業界にとって海外銀行との取引が必須となっているという。 竹中金融相のもと、さっそく民間人を含む特命チームが発足、長年の懸案不良債権処理に決着を目指している。木村剛氏などハードランディング路線を主張していた民間人を登用、竹中大臣の主張からいっても公的資金投入は必至、大型倒産はさけられないとして株価が急落している。さっそくペイオフが2年延期となったが、問題は不良債権処理にともなうデフレ効果を相殺する景気対策やセーフティネットにある。しかし経済財政諮問会議でも先行減税や金融緩和策で激しく対立したという。本当に効果的な策が見当たらず、財政再建などとの利害相反があるからだ。ここ数ヶ月が小泉構造改革の最初にして最後の正念場なようだ。全責任を負わされた竹中平蔵大臣の奮闘・努力に期待したい。 ○…知り合いに合うとまず話題に上るのが「景気の悪さ」である。もしかすると自分もリストラされるかも知れない、という漠然とした不安感を持っていない人は殆ど見あたらない。たまたま、自分が中高年といわれる年齢に達したため、知り合いもその範疇に入る人が多いということだけでもなさそうだ。逆に若者のほうがそんな不安を持つ人が多い。敗戦後の混乱期を見聞きしたものとしてもこのような状況はかつて知らない。厭世観というか、将来に期待していない人が増えているような気がしてならない。 少子化が加速させる高齢化社会。社会構造の変革、終身雇用制の崩壊など、その原因はいろいろあるだろう。将来に対する不安や、未曾有の大不況到来の予感などは多くの人が持っているのでは。不良債権処理の遅延、株価の低迷などの報道がその傾向に拍車をかける。このような時に経済・金融政策はどうあるべきかという明確な答えを知らない。 ただ、個人的な感触でいうと、いかに雇用機会を創出するかという点において促進策の欠如が景気低迷に拍車をかけたという気がする。例えば起業家への創業資金投入のシステムは上手く機能していたか?公的資金投入はその方面に手厚くなされるべきではなかろうか。 |
Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.