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EDITORIAL



○…TECはトータルソリューションプロバイダーを企業理念とし、その路線の強化が中間決算発表からもうかがえる。TECのプロバイダー志向はITの色濃い路線で、ITビジネス企業を目指すかとまで見える。
 欧米企業でも最近プロバイダーという理念を掲げるところが目立っている。米国ではJacobs、 Fluor Global Services、欧州ではAMEC、Kvaerner、Hochtiefといった企業である。これらの企業は、いずれも顧客とのアライアンス、O&M、ファシリティマネジメントといったEPCビジネスの拡大サービス分野に注力している企業である。
 TECがエンジニアリング企業としてこの路線で成功するためには欧米企業のように顧客とのアライアンスビジネス構築が必要なのではあるまいか。

○…今年は都市ごみ焼却炉の発注が多い。さぞかし、プラントメーカーの懐もあったまることだろうと思いきや、多数の受注を果たしても単純には喜べないという。採算性の低い案件も多く、これから一所懸命コストダウンをしなければならないのだ。また、多くのプラントが同時進行するため、人員の拡大も必要だが、来年度以降を考えるとパッと人を増やすわけにもいかない。排ガス高度処理の仕事も多いが、自治体の予算が少ないうえ、作業員の安全基準を考えると工事のコストが膨らむ。一方、プラントの保証期限が過ぎたあとのトラブルでも、自治体は保証内での工事を要求したりする。性能発注だと、そうした要求に拍車がかかるのでは、と恐れるメーカーもいるとか。プラントメーカーの苦労は絶えることがない。

○・・・はや師走。睦月、如月・・・極月と1年は瞬く間。だが、極月とは今や死語にひとしい。師走のほうがとおりがいい。極月は「きわめつき」とは読まないが、その読み方のほうが相応しいかも知れない。「極め付き」とは折紙つき、定評のあるものなどの意味。少々ひねって「極め尽くす」というと、あらん限りの力を尽くすということ。
 エンジニアリング業界のこの1年は、どん底から始まった。しかし、各社ともあらん限りの力を尽くし、ここにきて一定の評価を得つつあるような気がする。「極月」にそんな感慨を持つ。この評価を定着させるためには、21世紀を迎えても「一所懸命」の努力を続ける必要があろう。