EnB22号目次へ


千代田化工、ハイドロカーボン分野プラントで攻勢
LNG基本設計、エチレン、BPAなど受注相次ぐ



 千代田化工建設が新再建計画発表と前後して、相次いでハイドロカーボン分野の受注を決めている。  同社の再建計画では事業領域の見直しとして「過度の海外ハイドロカーボン分野依存からの脱却」をうたっているが、やはり再建のキーポイントになるのはこの分野での受注量確保だろう。また、計画では「LNGプラント、エチレンプラント、特定化学分野に海外ハイドロカーボン分野の事業領域を特化する」としていたが、この間の連続受注は特化した事業領域を全てカバーし、再建にはずみをつけた。
 昨年来、10件近く受注しているLNGプラントのFEED業務がEPC受注に結びつけば、同社の再建に向けてさらに明るい展望が得られる。

●LNGのFEEDで実績重ねる
 オマーンとエジプトでLNGプラント増設のFEED(基本設計)業務を相次いで受注した。ロシアのサハリンUに続く実績で、インドネシア、カタールなどからもFEED業務を受注している。一般的にFEEDを受注したコントラクターがEPCフェーズも受注する可能性が高いことから、同社は大型プロジェクトの受注に期待を持っている。
 オマーンのプロジェクトはオマーンLNG社(オマーン政府51%、シェル30%、トタール5.54%、三井物産2.77%、三菱商事2.77%、伊藤忠0.92%など)が計画しているLNGプラント増設(1系列×年産330万トン)の基本設計と入札書類作成業務。テクニカルアドバイザーであるシェル・グローバル・ソルーションからフォスターウィラーと共同で受注した。今年はじめに完成した既設プラント(2系列×年産330万トン)のEPC業務を同社連合が手掛けた実績が評価されてのFEED受注。同プロジェクトのEPC業務は2001年中ごろに発注される予定で、約600億円規模。
 エジプトのプロジェクトは、スペインのユニオン・フェノサ・ガスがダミエッタに建設を計画しているグラスルーツのLNGプラント。年産400万トン2系列を建設するという世界的規模のプラントのFEED業務を受注した。中東でのグラスルーツも含めたプラント建設が評価されての受注。液化プロセスは、予冷にプロパンを用いるAPCI社のC3 MCR 法。建設の総投資額は約1000億円といわれ、EPC業務は来年夏ごろの発注予定。

●KBRとエチレンプラント受注
 KBRが千代田に資本参加・業務提携したのは99年3月。資本参加後、このほど初の両社共同受注を果した。
 タイ石油公社(PTT)が株式の49%を保有するタイ/オレフイン社(TOC)がラヨン地区(マプタプット)に計画している年産30万トンのエチレンプラント拡張工事をKBRと共同受注した。
 同プロジェクトはタイ・バーツ暴落後、タイでの久々の大型石化案件で、引合いは千代田化工/KBRのほか、ルーマス/韓国大林など5グループに出されていた。競争入札を経て同社グループに発注された。契約金額は140億円強。完成は2003年の予定。
 業務範囲はライセンス供与、設計、機器・資材の調達、および試運転助成のターンキーベース。ライセンス供与と基本設計をKBRが担当、それ以外の業務すべてを千代田が担当する。
 両社のエチレン案件におけるアライアンスに基づくプロジェクトとしては先ごろ完成したシンガポールでのエクソン・モービル向け年産80万トンのエチレンプラントに次ぐ共同受注。
 両社はこれら受注実績を背景に、アジア・中東、南米など数多く計画されているエチレンプラント商談での受注競争に打ち勝つ意向。
●BPAプラント受注でも攻勢
 同社は特定化学分野でも連続受注を果した。コンパクトディスクやOA機器部材として需要が急増しているポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料であるビスフェノールA(BPA)プラントを中国と国内からEPC業務を受注した。プロジェクトで採用されるプロセスは千代田が開発したCT−BISAプロセス。
 既報(前号)のとおり、中国では中国藍星化学洗総公司と年産2万5000トンのBPAプラントの設計、主要機器調達、建設および試運転にかかわるスーパーバイジング、ライセンス供与の契約を交わした。また、国内では三菱化学の黒崎事業所に建設されるBPAプラントのEPC業務を90億円で受注している。
 今後、ますます需要が増大すると予想されるBPA分野での同社の攻勢も注目される。