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O&M―新しいビジネスモデル



 世界のエンジニアリング・建設企業において、O&Mビジネスが注目されている。わが国においても経営転換・体質転換を迫られているエンジニアリング企業・建設企業・プラント製造企業にとって目指すべきビジネスモデルだ。
 Operation & Maintenanceの略であるO&Mは、電力プラント分野が一つの典型だ。タービンやボイラーといった機器メーカーが顧客のO&Mを引き受けるもので、GE・Siemensといった欧米企業は機器供給にならぶビジネスとして積極的に取組んでいる。成長しているガスタービン分野では機器供給以上に成長するとも言われている。我が国企業もO&Mビジネスにようやく取組みはじめているが、一層の戦略的取組みが必要である。
 化学プラントなどプロセスプラント分野でおきているのは、顧客企業とエンジニアリング企業とのアライアンスであり、エンジニアリングからO&Mまでをエンジニアリング企業にアウトソーシングするものである。欧米大手エンジニアリング企業はすべて参画しているが、米国のJacobsがこの分野で成長したことで注目される。我が国ではユーザー子会社の専業中堅があるため、存在しないが、今後、顧客企業の業界再編・事業再編は必然であり、欧米流にエンジニアリングなどのアウトソーシングが進むこととなろう。
 BOT・PFIにおいてO&MはOperatiopn &Management=施設の維持運営管理である。FM(Facilty Managemnt)という言い方もある。長期にわたる事業はO&Mコストが膨らみ、O&Mビジネスの収益機会を増す。欧米エンジニアリング企業、建設企業は、最近ニュービジネスモデルとして積極的に取組んでいる。例えば英国のAmecだ。もう一つのプレーヤーは仏国のVivendi、Suez、米国のEnronというユーティリティ企業だ。我が国ではまだこれを担える企業はない。建設企業・エンジニアリング企業はニュービジネスとして戦略的に取組むべき分野だ。また、環境事業に施設建設だけでなく事業として参画もしくは検討している企業であれば、O&Mビジネスは有望な事業分野として参入すべきである。