ちょうど今、オランダのハーグで気候変動枠組条約第6回締約国会議−COP6−が開催されているところだ。この会議では、COP3の京都議定書に記された、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施の3つのメカニズムの詳細ルールが決定される予定になっている。プラントエンジニアリング業界にとって、CDMや共同実施のルールが決まれば温暖化対策プロジェクトという大きなマーケットの実現が期待されるだけに、この会議の行方は極めて重要な意味がある。 通産省はこれまでも、3年間にわたって共同実施やCDM案件へと発展する可能性のあるプロジェクトのFSを進めている。その総数は実に138件。しかし、FSだけをやってもプロジェクトが動かなければ意味がない、という声もでていた。それも、COP6でルールが決まればプロジェクトの具体化に向けて、次のステップに進むことになるだろう。 COP6開催の1週間前、通産省・産業構造審議会地球環境部会の基本政策小委員会が行われた。この委員会では「京都メカニズムの活用について」という議題が上がっていた。しかしそこでは、京都メカニズム実施のルールづくりに、日本の産業界の声を反映させるという戦略的な意思は全くなかった。COP6で決まるであろう京都メカニズムのルールの実像が明確になってから、産業界としてどう取り組むのかを議論しようというのだ。 「世界ではルールづくりに参加したものが利益を得ることができる」。これまで幾度となく指摘されてきた。しかるに同委員会では、ただ待っているだけで、ルールづくりに積極的に参加していこうという意思はない。これでは、またも国際的なルールづくりの場で日本の産業界の声が反映されることはない。日本の産業界はこれまで自主的に地球環境問題に取り組んできたが、そのことへの評価を実際のルールづくりで誰が主張するのだろうか。温暖化防止行動が企業にとって負担ばかりで利益を得ることが無ければ、その活動を維持することはできない。地球環境対策に技術面で最も貢献できるはずの日本の声を、ルールづくりに反映させなければならない。 |