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三菱重工、3000億円の大型発電設備商談を内定
米国IPP向けに計42基のGT・STを供給



 三菱重工業は、米国の大手IPPであるPG&Eナショナルエナジーグループ向けにガスタービンおよび蒸気タービン合計42基の大型発電設備商談を内定した。長期保守サービス契約(LTSA)を含めて総額30億ドル(約3,000億円)にのぼる大型商談であり、7箇所で計画されているコンバインドサイクル発電所に順次納入していく。
 今回のプロジェクトは、PG&Eナショナルエナジーグループが、米港の東海岸および中西部地域に計画している7箇所のコンバインドサイクル発電向けに設備を納入するもの。出力は各110万kWで総出力は770万kWにのぼる。三菱重工が開発した最新鋭ガスタービンM501Gと蒸気タービンをそれぞれ21台供給、各1基ずつで1系列(37.5万kW)のコンバインドサイクル発電設備とするもので、発電機については三菱電機製を採用する予定だ。正式契約は来年から2003年にかけて分割して行い、2002年から2004年にかけて納入する。機器供給部分の契約形態はCIFオンサイト。BOPおよび機器の据付については別パッケージとなっており、米国内のエンジニアリング会社が受注する可能性が高い。
 G型の大型ガスタービンは世界でも三菱重工のみが供給しており、これまでに東北電力・東新潟火力発電所4−1号系列をはじめ、フィリピンにも4台のM501Gを納入した実績がある。同ガスタービンは現在商業用として稼動しているガスタービンのなかでは最も効率の高いガスタービンであり、納入されたプラントが順調に稼動している実績が評価されたものとしている。また、世界でガスタービンのトップシェアを持つ米GEは、蒸気冷却技術を使った次世代H型ガスタービンの開発を行っているが、G型は開発しておらず、三菱重工だけが同タイプを提供している。
 世界のガスタービン市場は、2000年では100ギガワットに達する見込みで、そのうち80ギガワットを米国が占めると見られている。米国では、長期にわたる景気拡大やITの進捗によって電力需要が急増しており、昨年以来発電所の新増設ラッシュが続いている。特に効率の高いコンバインドサイクル発電のプロジェクトが多くあり、ガスタービンが不足している状況。実際、GEやシーメンス・ウェスティングハウスなどの有力ガスタービンメーカーでも需要に対応しきれず、場合によっては「数年待ち」という状況になっている。そのため、PG&Eとしても需要に即したプラントの立ち上げのためガスタービンを押さえておく必要があった。
 三菱重工も、米国を重点市場として捕らえており、99年以降これまでに今回の内定分を含めて40台以上のガスタービンを米州向けに成約・内定している。また、高砂製作所の能力増強を行うなど旺盛なガスタービン需要に対応する体制を進めており、他社にくらべ短い期間で納入することが可能だったと見られる。そうしたことから今回の商談は今年7月の引き合い以来、随意契約で進められていた。
 今回のような複数の発電所の機器を一括で発注する形態は最近の米国では増えており、GEなども同様の形で受注している。なお、PG&Eが計画している7箇所のサイトは明らかにされておらず、分割発注の時期や規模についても今のところ決まっていない。