EnB17号目次へ


日本プロフェッショナルエンジニア協会が発足
全米PE協会との連携とエンジニアの倫理に焦点



日本のプロフェッショナルエンジニア(PE)ライセンス保持者をサポートする組織として、このほど「日本プロフェッショナルエンジニア協会(日本PE協会:JSPE: Japan Society of Professional Engineers)」が設立された。国際的に通用するエンジニア資格として、日本でも注目されている米国各州のプロフェッショナルエンジニア資格。1994年からは日本でも一部の分野に関しては資格取得が可能となり、取得者数も増えてきている。JSPEは、これら日本在住のPE資格取得者の技術力の維持・向上とPE資格取得希望者へのサポートを行っていく方針だ。

●日本のPE/EIT資格をサポ−ト
 米国のプロフェッショナルエンジニア資格は、1907年にワイオミング州で創設、以後各州に広がり現在では50州4地域が採用、1996年の統計デ−タによると、既に60万人を越えたPEライセンス保持者が、米国で様々なエンジニアリングの分野で活動している。 一方、このPE資格が世界のエンジニア資格のスタンダードとなってきている。 実際、海外のプラント工事などでは、PE資格者が求められることも多く、世界銀行などは融資するプロジェクトにPE資格者の関与を求めているほどだ。そのため、日本でも既に数百名が米国のPE資格を取得し、各方面で活躍している。
 しかし、日本のPE資格者にとって問題なのは、PEに求められている「国民の安全、健康、福祉への奉仕」というエンジニアリング倫理の共通理解を深める場がなく、個々別々に倫理を理解・判断せざるをえない状況にあるということ。また、PEの資格は2年毎に免許更新しなければならない。しかし、その"PE Renewal"に必要な継続教育を受ける機会も、現状では、ほとんど無いという状況になっている。
 こうした問題の解決に向けて、PE資格を保有する有志が集合し、今回ようやく日本でも日本PE協会が設立されるに至った。
 JSPEは、11人のPE保持者の理事がボランティアベ−スで集まり、準備をかさね、このたび、理事の中から、味の素(株)土屋秀雄氏(アイオワ州PE)を会長に推挙して発足。事務局を東京・赤坂の日本工業技術振興協会(JTTAS)内におき、活動を展開していく。インターネットや人的交流を通して米国プロフェッショナルエンジニア協会(NSPE)とも連携して、日本のPE資格者やPE資格を目指すエンジニアのためのセミナーなどを開催していく方針だ。
 なお、日本PE協会は特定非営利活動法人(NPO法人)として申請、来年1月に取得を目指す。

●資格取得希望者などへも呼びかけ
 会員の技術的能力、および国際水準の技術者倫理の維持向上と、社会的地位を高めるための機会や場を提供していく。 PE資格者やファンダメンタルズ・オブ・エンジニアリング(FE)試験を合格したエンジニア・イン・トレーニング(EIT)資格者を、さまざまな形で支援して行くことを目指す計画だという。
 会の発足当初は、PE資格者やEIT資格者を中心に会をまとめてゆくが、近い将来にはこれらの資格を目指すエンジニアや理工科系学生にも呼びかけて、幅広い活動をしてゆく計画だという。
 国際的に通用するPE資格は、今後ますます工業国日本にとって重要な資格として認識されることから、今後このJSPEの活動が注目されることになりそうだ。