埼玉で大規模な資源リサイクル基地構想
近く基本構想策定、年度内に事業参加者募集へ
埼玉県が進めている資源循環モデル施設整備事業「彩の国資源循環工場構想」(仮称)がいよいよ動き出す。3期計画で整備する同事業のうち第1期計画約20ヘクタールの基本構想が近く固まる。事業は借地方式とPFI方式で行なわれる。産業廃棄物を焼却・発電するサーマルリサイクル施設はPFI手法、環境産業を集積する施設は借地方式。10月にも事業者募集が開始される。
埼玉県環境防災部の環境センター埋立跡地利用計画(彩の国資源循環工場構想)は、寄居町の山林にある97.7haの産業廃棄物最終処分場を整備、リサイクル事業の工場用地としていく壮大な計画。
県が保有する最終処分場全体の埋立能力は271万トンで、これまで60万トンが埋め立てられている。まだ4分の3以上も埋立余地が残されている。
今回の事業は、これまで埋め立てられた用地約20haを利用する第1期計画。6月議会の承認を経て7月に「基本構想」を策定する。構想案では、整備方式は条件付き借地方式(民営)事業とPFI事業に分かれる。
借地方式を採用するのは、リサイクルプラントゾーン(例:ペットボトルの食品包装シート化、再生ボード製造、食品廃棄物の肥料・飼料化、廃タイヤ再生・燃料化など)資源再生プラントゾーン(建設副産物の分別・資源化、OA・家電部品の分別再使用、ガラス破砕・カレットのリサイクルなど)先端研究施設ゾーン(焼却灰の建設資材化、生ゴミの生分解プラスチック化、廃プラの新素材化、解体コンクリートの骨材化など)、地域工業系集積ゾーン(地元寄居町の住工混在の解消など)。
PFI方式で整備するのは、サーマルリサイクルゾーン、整地・水道・電気・道路など基盤事業および公園・緑地ゾーン。サーマルリサイクル施設は産業廃棄物の焼却、発電、熱利用、灰固化プラントからなる。
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「焼却施設の産業廃棄物処理量は最低でも日量200トン。処理量が多ければ多いほどいい」(環境防災部廃棄物指導課)と大規模施設の提案を歓迎している。このため、事業投資規模は最低でも200億円〜300億円が見込まれる。「発電能力は1万kW以上」になるという。
事業は独立採算型のBOO(ビルド・オウン・オペレート)方式。期間は20年(更新延長可能)。県は支払保証、供給保証、債務負担行為などは一切行なわない。売電なども含めた収益は全て民間事業者に帰属する。PFIとしては今までにない方式だが、対住民への責任は全て県が負う。
PFI、借地とも年度内に参加事業者を募集し,審査、決定まで終える。2002年度に基本協定を締結、環境影響調査を経て基本設計を開始する。
用地整備は04年度から。施設オープンはサーマルリサイクル施設が最終で06年度の予定。
県は「全国でも初めての取り組み。他自治体のモデル事業になるのでは」と胸を張る。
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