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EDITORIAL


○…総合エネルギー調査会の天然ガス小委員会の「天然ガス政策の在り方に関する報告書」作成の最終委員会を傍聴した。LNGでなく天然ガスの政策の報告書というのは初めてだ。しかしこの席上、委員である産業政策の権威鶴田教授が、「霞ヶ関文学だ、行間を読む必要がある」という感想を洩らしたことがこの報告書の一面を表わしている。各業界の主張・利害、エネルギー環境政策・目標を巧みに織り込み、調整した作品なのだ。
 天然ガス後進国であるわが国がテークオフするために必要な、天然ガスの開発・生産から需要市場までのサプライチェーン全般にわたるマクロなビジョン・政策としては十分ではない。今回のブッシュのエネルギー政策にみるようにエネルギー政策その中核としての天然ガス政策は、国の基幹的政策だ。首相レベルの参画が必要な高度な課題とすべきだ。

○…近々「PFI」という文字が新聞紙上をにぎわすはずだ。小泉政権の構造改革路線の具体的な施策として「PFIの推進」が数ヵ月を待たずに大々的に打ち出されよう。その伏線はPFIの推進を主張してやまない山崎拓氏の幹事長就任、そして塩川財務相の予算委員会での答弁などに現れている。PFIは公共事業に民間の資金、民間の事業ノウハウを活用し効率的な事業運営を行なう手法。今後、続々とプロジェクトが立ち上がってこよう。民間事業者が注意すべきは、事業採算性もさることながら事業が本当に必要なものなのか、住民ニーズが本当にあるのかということ。自治体の計画の中には「PFIもどき」も散見する。事業を見抜く眼が求められている。

○・・・長野県の田中知事が記者クラブを部屋から追い出して、県の主催で発表・会見を行い、クラブ加盟社以外の記者も参加できるようにするという。記者クラブの弊害は以前から繰り返し指摘されてきたことだが、これまで大胆にメスが入れられることは無かった。
 実は弊誌も某記者クラブに加盟しており、確かに記者にとってクラブの存在は便利なものである。一方、幹事だなんだと本来の仕事とは関係のないことで煩わしい思いをさせられることも多い。しかも我が記者クラブでは、訳のわからないことを言い出して会見を混乱させるという老害の存在もある。
 長野のクラブ員からは批判の声もあるようだが、結局は既得権益を手放したくないだけで、日ごろ彼らが批判している、政治家や役人と同じレベルだなあ、と思う。
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