ポルトガル初のLNG受入基地が近く着工へ
東京ガスエンジニアリングがコンサルを担当
パイプラインが発達している欧州でも、LNGプロジェクトの動きが活発化している。東京ガスエンジニアリングがコンサルタントを手掛けている、ポルトガル初のLNG受入基地プロジェクトもそのひとつであり、近く受入設備の建設が着工される見通しとなった。
欧州向け初のLNGコンサル
ポルトガルが初めて、LNGを輸入することを決めたのは、1990年ごろだった。同国は天然ガスをパイプラインで輸入しているが、このパイプラインは隣国スペインを経由しており、エネルギー供給の自立性に問題を抱えているためだ。
LNGを輸入することで、火力発電を石炭および石油から天然ガス火力へと転換するとともに、国内パイプラインを通じて民生用として供給する。さらに、将来的には輸入パイプラインを通じて天然ガスの輸出も狙っているという。
このプロジェクトは首都リスボンの近郊セトゥーパルで計画されていたが、同国にはLNG受入基地建設に関するノウハウがなく、東京ガスエンジニアリングにコンサル業務を委託した。しかしこのプロジェクトはサイトの問題から白紙となってしまった。
それがサイトを変更、99年に再び浮上した。今度はリスボンの南140kmに位置するシネシュ(Sines)がサイトとなっていた。
ポルトガル国営天然ガス輸送公社(TransGas Atlantico)が、このプロジェクトのために99年4月に設立された。同社は国営ガス会社(TransGas)の子会社であり、受入基地の建設および運転管理を行う。同社は、設立後すぐにコンサルタント企業の選定に入り、最初のプロジェクトを手掛けた東京ガスエンジニアリングおよび現地企業、米国企業などと入札を行った。その結果、東京ガスエンジニアリングがオーナーズコンサルティング業務を手掛けることとなり、99年7月にコンサル業務はスタートした。
これまで東京ガスエンジニアリングは韓国や台湾でLNG受入基地のコンサルタント業務を手掛けているが、欧州向けでは初めての実績である。
受入開始は2003年
プロジェクトは、シネシュに年間LNG取扱量250万トンの能力を持つ受入基地を建設するもので、12万klのLNGタンク2基を設置する。
東京ガスエンジニアリングは、このプロジェクトで、@基本計画および基本設計のチェック&レビュー、AEPCコントラクター選定用仕様書(ITB資料)の作成助勢、B応札したEPCコントラクターの技術評価選定助勢を行ってきた。
EPC入札は、1999年8〜10月にPQ(事前資格審査)が行われ、5グループがこれを通過。2000年6月に入札が行われて4グループが参加した。参加したのは、石川島播磨重工業(IHI)〜フォスター・ウィラ―、KBR、テクニガス、トラクテベル。入札審査は10月までかけて行われ、11月にトラクテベルの受注が決まった。同社の受注額は約180億円であった。
サイトは、山の一部を切り崩して造成されており、この計画のため道路の路線変更も終了。設備工事にはいつでも取り掛かれる状態になっている。
現在、トラクテベルが作成した基本設計のチェック&レビューが進んでいるところだ。
東京ガスエンジニアリングのコンサルタント業務は、現在第Uフェーズに入っている。事業主体であるトランスガス・アトランティコの技術チームをバックアップして、詳細設計のチェック&レビュー、建設監督業務の助勢、教育訓練、スタート・アップ助勢などを行っていく。
工事は2003年8月にメカコン、同10月には操業開始。LNGはナイジェリア・ボニーから供給される予定であり、東京ガスエンジニアリングのコンサルタント業務も2003年末まで続いていく。
現在、東京ガスエンジニアリングが手掛ける海外LNG受入基地プロジェクトとしては他に、韓国ガス公社の仁川LNG受入基地の地下タンク増設工事がある。これは14万klタンク2基、20万klタンク6基を建設するもので、エンジニアリングのチェック&レビューと建設のスーパーバイジングを行っており、2004年までコンサル業務は続く。
また、先般IHIと東洋エンジニアリングが受注したインド・ダヘジのLNG受入ターミナル、BPアモコが外資パートナーに決まった中国・深川のLNG受入基地でもコンサルタント業務の受注を狙っている。