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BPAmoco、広東LNG受入基地のパートナーに
米Hパワー、日本の燃料電池市場に橋頭堡
日揮〜千代田、ベネズエラ製油所近代化PJを受注
千代田化工、自動車プラント事業部を独立
経済省、MGTのBT主任技術者規定を緩和

BPAmoco、広東LNG受入基地のパートナーに

 中国・広東省深 LNG受入基地の外資パートナーにBPアモコが選定された。これにより、EPC商談が年内にも開始される見込みが強まった。
 広東LNGプロジェクトは、フェーズTとして年間受入能力300万トンのLNG受入基地を深 郊外の秤頭角に建設。2005年に運用を開始し、深 をはじめ広州など4都市にガスを供給するとともに、深 では前湾で計画されている天然ガスコンバインドサイクル火力発電所(350MW×3基)および大亜湾恵州コンバインドサイクル発電所(1,000MW)にも発電燃料としても供給される予定だ。
 外資パートナーは同プロジェクトの権益30%を保有することになる。この外資枠企業の選定は昨年7月に開始され、日米欧から10グループが参加。9月にはBPAmoco、Exxon Mobil〜中部電力〜日商岩井〜中国CLP(中華電力)、Shell〜丸紅〜大阪ガス、Chevron〜Woodside-BHP〜KoGas(韓国ガス公社)の4グループがショートリストに残った。
 BPAmocoが選定された理由としては、ゼロに近い金利でのファイナンスを提示したことのほか、昨年4月にニューヨーク証券取引所で上場したCNPC(中国国家石油公司)の子会社Petro Chinaの公開株式の20%をBPAmocoが取得。これにより、中国のガス関連プロジェクトへのプレゼンスを高めたことも要因と見られている。
 今後の焦点となるのはEPCコントラクターの選定だが、その前にEPCに関わるコンサルタントの選定が行われるものと見られており、日本からは東京ガスエンジニアリングおよび大阪ガスエンジニアリングがアプローチしている。中国側では2002年にも建設に着手したい考えであるため、EPC商談はコンサルタント決定後、年内にも開始されるものと予想される。また、同プロジェクトの一貫として計画されている、上記二つの火力発電所建設商談も本格化する見通しとなった。
 一方、LNG供給ソースとして最も有力視されているのが、インドネシア・TangguhLNGプロジェクト。BPAmocoも参加している同プロジェクトでは、千代田化工建設がFEED業務を実施したが、その後遅れ気味。しかし、販売先の一つである広東LNGにBPAmocoが参加することで動きだす可能性がある。また、オーストラリアのWoodSideLNGプロジェクトにもBPAmocoが参加していることから、こちらも有力視されている。

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米Hパワー、日本の燃料電池市場に橋頭堡

 世界で唯一、固体高分子型燃料電池を商業ベースで販売している米Hパワー社が日本市場におけて橋頭堡を築いてきた。大阪ガスが開発した燃料改質器を導入したほか、栗田工業と水処理システムで戦略的パートナーシップを結ぶことで合意するなど、市場開拓へ向けて相次ぎ国内企業とのアライアンスを結んでいる。
 大阪ガスは家庭用固体高分子型燃料電池(PEFC)コージェネレーションシステム用の燃料改質装置技術を供与する。三井物産が仲介したもので、技術権は非独占。同社は昨年、1kW級および500W級の家庭用PEFCコージェネの商品化のため、高効率で低コストの燃料改質装置を開発。国内外のPEFCメーカーと技術供与交渉を進めてきた。今回のHパワー社への技術供与はその一環。
 Hパワー社は、500W以下のPEFCシステムで強みを持っており、大阪ガスも燃料改質技術を供与することで500W級家庭用コージェネの商品化を加速できる。
 Hパワーでは、日本市場向けに500W級家庭用コージェネを試作する予定であり、大阪ガスはその試作機を年内にも一般家庭に設置して運転試験を開始する。すでに、大阪ガスは燃料改質器のコストを5万円以下に抑えるメドをつけており、HパワーのPEFCシステムも今年中には5万ドル以下に低減できるとしている。このため、大阪ガスが普及価格の目標としているシステム価格60万円も視野に入ってきた、という。
 一方、栗田工業は戦略的パートナーシップを提携するとともにHパワーの発行済み株式30万株を約180万ドルで取得し資本参加した。同社が開発した燃料電池向け水処理システムをHパワーに対して独占的に供給していく。また、栗田のデータ収集・制御システム「ベースネットワーク」を応用した24時間監視システムを組み込んでいくことも予定している。同社では当面、米国で実績を積んで世界の燃料電池市場で事業を確立させていき、将来的には国内企業ともアライアンスを組み国内マーケットで同社の水処理システムを展開していきたいとしている。
 Hパワーは、1989年に設立されたPEFCメーカーであり、米ニュージャージー州交通局に55台のシステムを納入している。また、株主である電力連携協議会(ECO)向けに3〜5kW級のPEFC1万2,300台を供給する契約を結んでいる。今年2月にはAPCIとも水素燃料の小型可搬型PEFC市場の調査でアライアンスを結んだほか、三井物産とも戦略的パートナーシップを結ぶなど事業拡大を図っている。

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日揮〜千代田、ベネズエラ製油所近代化PJを受注

 ベネズエラ石油公社(PDVSA)が計画している、プエルト・ラ・クルス(PLC)製油所近代化プロジェクトを、日揮をリーダーとする千代田化工建設、現地ジャンテサ、べピカの4社コンソーシアムが正式に受注した。受注額は約350億円で、役務はフルターンキー。完成は2003年半ばの予定。商社では三菱商事と丸紅が受注協力した。
 同プロジェクトは、首都カラカスの東約300kmに位置するPLC製油所において、老朽化した精油設備の環境対応と高付加価値製品の製造を目的として、3万5,000b/dの無鉛ガソリンおよび3万8,000b/dの低硫黄軽油設備などを建設する。
 昨年9月、国際協力銀行(JBIC)が同プロジェクトに対し、5億ドルのアンタイドローンの供与を決めている。EPC商談は、昨年10月19日に入札が締め切られ、日揮〜千代田グループのほか、東洋エンジニアリング〜フォスター・ウィラ―、テクニップ〜新潟鐵工所の3グループが応札。日揮グループが1番札を獲得していた。
 日揮と千代田化工の役務分担は確定していないが、日揮は現在、今年夏完成予定のセロネグロ重質油処理プラント建設工事を手掛けており、現地工事での優位性を発揮できることから、工事部門は日揮が中心になるものと見られる。設計と調達に関しては千代田が中心となって行う予定。
 ベネズエラでは、同プロジェクトの前にハマカ製油所における超重質油(オリノコタール)処理プラントの新設プロジェクトで、日本勢が失注した。入札では千代田化工建設が1番札、日揮が2番手となり、技術面でも欧米に比べて優位性を保っていたという。しかし、PDVSAは輸出先である米国市場を重視したことで、フォスター・ウィラ―にプロジェクトを発注した。この経験から、当初は日揮と千代田はPLCでも個別に応札する予定であったものを、急遽ジョイントベンチャーを結成し商談に望んだ。TECと新潟鐵工も欧米企業とのコンソーシアムを組むことで受注可能性を高める作戦に出ていた。
 ベネズエラでは、環境対策としてガソリンの完全無鉛化と軽油の硫黄分の低減を目指しており、今後もPLCと同様のプロジェクトを計画している模様。これらは基本的に国内市場向けのプロジェクトであるため、さらなる受注も期待される。なお、日揮と千代田は今後も案件によっては協調して参加し確実に受注に結び付けていくとしている。

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千代田化工、自動車プラント事業部を独立

 千代田化工建設は4月16日付けで自動車プラント事業部を独立させ、千代田ピーエーシ(C&P)を設立する。新会社は米国のプロジェクト・アドバイザーズ・インターナショナル・インク(PAC社)との共同出資で資本金は1億円。出資比率はPAC社が86%、千代田が14%。社員は現在の自動車プラント事業部の約50人でスタートする。社長には宮森正人取締役海外営業本部長が就任する。
 自動車業界では全世界的な再編で、新規工場建設投資案件が減少している。一方、再編を通じての最適調達が劇的に進んでおり、改造投資を中心にローカルに根ざしたエンジニアリング・プロジェクトマネージメント・設備調達体制の構築が求められている。新会社はこの業界の要請に応えるもの。
 PAC社はオーナーサイドに立ったプロジェクトのプラニング、プロジェクト管理を手がけてきており、新会社はこの分野にも手を広げていく考え。当初はエンジニアリング、マネジメント業務のみで10億円の売上規模を見込んでいるが、自動車プラントのEPC業務までを含めたグローバルなエンジニアリング企業を目指していく。今後、人材の積極的な採用を行い、5年後には売上を倍増させていく計画だ。

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経済省、MGTのBT主任技術者規定を緩和

 経済産業省は、分散型電源として脚光を浴びているマイクロガスタービン(MGT)に関わる主任技術者の規制緩和に向けて法改正案を作成した。現在、意見募集を行っており、これを反映して規制緩和に踏み切っていく。
 作成された改正案は電気事業法施行規制。このなかで小型のガスタービンによる火力発電設備の定義を既定。その内容は、電気出力が300kW未満のもので、最高使用圧力1,000キロパスカル未満、最高使用温度1,400℃未満であり、発電機その他の電気設備と一体で一つの筐体に収められている(燃料設備を除く)、さらに、ガスタービンの損壊事故が発生しても破片が当該設備の外部に飛散しない構造であること、としている。
 火力発電における主任技術者の選任に関しては、これまで、内燃力を原動力とするもの(ディーゼルエンジンなど)だけが主任技術社の選任を除外されていたが、今回これに小型のガスタービンが加えられた。また、ボイラー・タービン主任技術者も小型のガスタービンに関しては不要とした。
 従来、ガスタービンはその大小に関わらずボイラー・タービン主任技術者の選任が必要であり、これが普及のネックとされていた。今回作成された改正案は、その障壁を取り除くことを目的としたものであり、これが実施されればMGTの普及の追い風となりそうだ。

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