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新たなステージに立つエンジニアリング産業

 ベネズエラの製油所近代化プロジェクトで、日本の専業大手エンジニアリング会社2社が共同受注に成功した。日本のエンジニアリング会社はこれまで、海外の同業他社とは積極的にコンソーシアムを組んできたが、この2社の組み合わせで受注に成功したのは、これがはじめてである。
 20数年前、当時日揮社長であった鈴木義雄氏が千代田化工建設の玉置明善社長に「もう価格競争ばかりでなく、共同でプロジェクトの受注を考える時ではないか」と言ったことがあるという。その際、玉置氏にも同様の実感はあったようだが、実際には両社の共同受注は実現しなかった。
 1980年代、アジア経済は急速に成長しており、多くのプラント建設計画が持ち上がっていた。この市場の拡大のなかで両社はともに受注拡大を錦の御旗としてプラント受注に邁進した。それらの受注案件の殆どは利益を生み出したが、そうした状況のなかでエンジニアリング会社は落とし穴にはまっていった。「自信過剰だった。過当なコスト競争を繰り返していた」(千代田化工建設・関誠夫新社長)。それが大型の不採算案件をいくつか抱え込み、会社の屋台骨を揺るがすことになっていった。
 その反省からエンジニアリング会社は人員削減を推し進め、既に大型案件を単独で受注することが難しくなりつつある。また、従来の受注第一主義から、利益確保重視の受注戦略へと経営方針を転換してきた。さらに、ハマカ製油所での失注という苦渋もあって、ようやく今回の共同受注が実現した。
 プロジェクトの採算性は、その環境によって大きく変化する。そして、めまぐるしく変化する環境に柔軟に対応しつつ確実に受注を確保し、利益を上げていくには単独では限界がある。特に大型案件では、社内リソースを一つの案件に集中させていかなければならないため、その案件が赤字となれば会社全体が傾く。もはや、そうした状況からエンジニアリング会社は脱却していかなければならない。
 今回の共同受注は、日本のエンジニアリング会社が利益の確保に向けて新たな段階へ踏み出したことを意味している。