EnB3号目次へ

出光石化・トクヤマ、S&Bでポリプロピレン設備新設
日揮、HaladhのGOSP入札に参加
月島機械、韓国向けBPAプラントを受注
石油公団、GTLとMHの開発に着手
物産など3社、中部鋼鈑向けスラブCCを受注
MEC、エネルギーソリューション事業に進出

出光石化・トクヤマ、S&Bでポリプロピレン設備新設

 出光石油化学とトクヤマは、両社のポリプロピレン事業の合理化と国際競争力の強化のために、事業提携に合意したことを発表した。合意した事業提携の内容は、
(1)徳山ポリプロ有限会社の設立 
@両社による製造合弁会社設立と国際競争力のある20万トン規模の設備新設(場所はトクヤマ 徳山製造所内)
Aトクヤマ既存PP設備の廃棄
2)営業および研究の統合 
@トクヤマの営業権の出光への一本化
Aトクヤマが実施している研究の出光への一本化
 今後のスケジュールは、@以上のスキームを前提として具体的な検討を進める、A製造合弁会社は平成13年4月に設立し、平成15年第1四半期を目標に20万トン規模の新設備を立ち上げ、これに伴いトクヤマの既存自社設備は新設備完成時までの間は製造受託を行い、新設備完成時に廃棄する、B営業権については株主総会ならびに関係官庁の承認後、平成13年夏を目標にトクヤマから出光に譲渡する予定。
 市場の国際化は急速に進み、とくに2004年以降の最終輸入関税率適用はさらに国際化が進み、真の国際競争力構築が必要である。出光は千葉に国内トップレベルの40万トン規模の設備を有しているものの、コア事業として国際的コスト競争力の強化・事業規模の拡大が課題となっていた。トクヤマは中期経営計画において事業構造改革を進めており、PP事業について他社との提携による合理化を検討していたことから、両社の提携にいたった。なお、トクヤマは徳山に自社設備14万トン規模のほか、住友化学と合弁で千葉ポリプロ8万トン、宇部興産と合弁で宇部ポリプロ9万トンのうち、あわせて3万トンの権利を有しており、合計20万トン弱のS&B(スクラップ&ビルド)だ。新設備建設で、東西2拠点により、生産販売物流システムを構築できる。徳山・南陽コンビナートにおける両社のパートナー関係が緊密化するという。
 これは、住友化学・三井化学統合、三菱化学などPE統合につづくポリオレフィン業界再編の第3弾だ。トクヤマの実質的なPP事業の撤退であり、その譲渡先を従来からPPで提携した住友・宇部ではなく、エチレンセンターで関連の深い出光としたことになる。日本の石化業界もポリオレフィンの再編につづいていよいよエチレン事業の再編も考えられる情勢となっている。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>

日揮、HaladhのGOSP入札に参加

 サウジアラビア国営石油会社、サウジアラムコが計画しているHaladhのガス・オイル分離プラント(GOSP)の入札が1月14日に実施され、日本からは日揮が応札した。昨年末に日揮は同じHaradhガス田向けガス処理プラントを受注しており、同じサイトでの連続受注を狙っている。
 今回、入札にかけられたのは、原油ハンドリング設備とガスギャザリング設備で構成されるプラント。生産能力は、原油30万b/d、天然ガス1億5,000万cf/d。プロジェクトのコストはおよそ400億円と見積もられている。
 入札に参加したのは、日揮のほか米ABB Lummus Global、英AMEC、加SNC Lavalin、伊Snamprogetti、仏Technipなど。商談はターンキー・ランンプサムベースで進められており、現在エバリュエーションが行われている。入札結果は3月〜4月頃に明らかとなる見込みだ。
 日揮は、サウジアラムコ向けでは現在、Hawiyaガス田でガス処理プラントの建設を進めているほか、昨年暮れにはHaradhで1,600mmscfdのガス処理プラントを受注するなど、着実に実績を築いてきている。これら進行中のプロジェクトを抱えているため、現地工事業者やアドミニストレーションを共有化することで、価格を抑えることが可能。また、応札者の顔ぶれも前回のガス処理プラントとほぼ同じ。条件的には、日揮が連続受注を達成する可能性は大きいものと見られる。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>

月島機械、韓国向けBPAプラントを受注

 月島機械は、大林産業とのコンソーシアムでビスフェノールA(BPA)プラントを受注した。韓国の錦湖P&B向けに受注したもので受注額は約60億円。同社がサブライセンス供与を含めてBPAプラントを受注するのはこれが初めて。
 同プロジェクトは、錦湖P&Bが麗水市に保有している既存の3万t/yのBPAプラントに加えて、新たに10万t/yのプラントを新設するもの。出光石油化学のプロセスを採用する。プロセスのライセンスは月島機械が錦湖P&Bに対し、サブライセンス供与を行うもので、同社がライセンス供与込みでプラントを受注したのはこれが初めて。今回のプロジェクトでは、ライセンス供与と基本設計、一部の機器調達を手掛ける。完成は2002年9月の予定。商談では千代田化工建設〜SK、Shell〜三星エンジニアリングと競合していたが、錦湖が出光石化プロセスを採用したことで同社の受注が決まった。
 同社は出光石油化学・千葉のBPAプラント建設を手掛けたほか、出光石油化学が、台湾プラスチック向けに受注したBPAプラントでもサブコントラクターとして建設に関わった実績を持つ。3年前から、同社BPAプロセスでのアプルーブド・コントラクターとして独自展開してきた。現在、中国や台湾などアジア地域で数件の引き合いがあり、引き続きBPAプラントの受注獲得を目指している。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>

石油公団、GTLとMHの開発に着手

 石油公団はGTLおよびメタンハイドレートの開発に正式に着手する。2月1日付けでGTL開発を手掛ける「天然ガス有効利用技術研究プロジェクトチーム」およびメタンハイドレートの開発・生産技術開発に取り組む「メタンハイドレート研究プロジェクトチーム」の二つの組織を新設したもの。GTLでは、実証プラントの建設、メタンハイドレートでも世界初の生産テストを実施する計画だ。
 GTLは、小規模で遠隔地にある天然ガス田を経済的に開発できる技術として開発に取り組む。石油公団ではこれまで、実験室規模での触媒性能の実証試験や経済性評価を行ってきたが、これに基づいてパイロットプラントの建設を正式に決定した。建設するのは石油資源開発の北海道苫小牧市・勇払鉱場。石油資源開発、千代田化工建設、コスモ石油、インドネシア石油、新日本製鉄の5社を共同研究先として実施するもので、2001〜2002年度にかけてプラントを建設する。研究開発予算は総額約29億円を予定している。
 メタンハイドレートでは、公団が1997年度に実証井掘削を行ったカナダ陸上マッケンジーデルタ地域での生産テストを実施する。カナダおよび米国、ドイツとの共同プロジェクトであり、実施期間は2002年1〜3月。費用は総額約20億円を予定している。また、南海トラフでも約4億円をかけて賦存状況を調査する予定。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>

物産など3社、中部鋼鈑向けスラブCCを受注

 三井物産、新日本製鉄、日立造船の3社は名古屋の電炉メーカーである中部鋼鈑向けにスラブ連続鋳造設備を受注した。受注額は約50億円で2003年2月に完成の予定。
 受注したスラブ連続鋳造設備は、厚板鋳造用に設置される。1ストランドを受注したもので、板厚は150〜250mm。今年4月には工事に着工し、2003年4月の本格稼動を目指す。三井物産が窓口となり、機器の製作を日立造船が、エンジニアリング業務および運転指導などを新日鉄がそれぞれ担当するものと見られる。
 中部鋼鈑は、厚板を中心に製造している中部地区の有力電炉メーカー。既存のスラブ連続鋳造設備は、稼動開始から20年を経過しており、老朽化が激しい。今回、新たな連続鋳造設備を導入することで工場のレイアウトも改善され、工場内物流の見直しが可能となる。同時に、品質の向上や歩留まりの向上に加え、省エネ効果なども見込まれるため、年間約9億円程度のコストダウンにつながるとしている。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>

MEC、エネルギーソリューション事業に進出

 三菱化学エンジニアリング(MEC)は、エネルギーソリューション事業に進出した。独自で開発したエネルギー設備評価解析プログラムを使って、顧客のエネルギー関連設備を評価・診断し、エネルギー関連設備の提案を行うとともに、3時間監視システムによる長期保全支援も行っていく。同社では、今後5年間で年商100億円規模に同事業を拡大していきたいとしている。
 MECはこれまで、蓄熱システムやコージェネレーションなど環境・省エネルギービジネスを手掛けてきた。蓄熱では既に170、コージェネでも50の実績を保有しており、これらの実績をベースとして、今回新たに開発したエネルギー設備総合評価解析プログラムを使ってソリューションビジネスへ展開させていく。
 同プログラムは、顧客の施設や工場などエネルギー源となる電力、冷熱温熱などの関連設備をシステムとして総合的に診断するもの。これによって環境、経済性、保全運転管理性、信頼性などの観点から、各種コージェネや蓄熱、省エネ機器などの最適な組み合わせをシステムシミュレーションで行い、提案していく。
 また、1月に開設したホームページに顧客が自由にアクセスして、運転条件などの質問に答えれば、MECが同プログラムによるシミュレーション結果を送付することも始めている。
 HPアドレスはhttp://www.eco-ene.com。

<このページのTOPへ> <EnB3目次へ>