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MARKET16

●(タイトル)2001年のアジア石化投資、慎重な動きに推移●(リード) 過剰設備能力と米国の景気スローダウンにより、2001年を通じて、新規立地PJや大型再生PJはほとんどないだろう。これは、アジア化学産業の専門誌Asian Chemical Newsの見解だ。既存プラントの増強・スクラップビルドがほとんどだが、一部中国・シンガポールなどで、計画が進んでいるPJで建設が実現するものがでてくると見られる

●(本文) 昨年稼動したプラントや本年稼動がみこまれるプラントがあるうえ、石化製品を素材とする製品の重要な市場である米国が予想外の不況に突入したことにより、アジアの石化プロジェクトへの投資が停滞から抜け出すには、まだ時間が必要ということになるとACN誌のアジア展望特集はいう。以下、この展望を参考として本年のアジアの石化投資を見る。

 DeWittコンサルタントのColes氏によると、2001年およびそれ以降においても新規プロジェクトが発表されることはほとんどない。新規の中東の生産能力を吸収するのに4年はかかる。中東のエチレン生産能力は今年の年産600万トンから2005年には1200万トンに倍増が予定されているという。さらにSabicのエチレンプラント、Al-Jubail,、Yanbuなど数個の新規案件が最近発表されている。もっとも短期的には実現しそうにない。

 1997年にはアジア金融危機で手痛い目にあったこともあり、投資家は新規プロジェクトに急いで飛びつかない、まして米国経済がスローダウンした。銀行は現存プロジェクトの拡張や新規プロジェクトの建設より、今年も企業統合に焦点を置いたままだ。このように、アジアの業界関係者や銀行関係者はみている。2001年は、いぜん企業再編の年で、そのなかでスクラップビルドや増強プロジェクトがでるという構図となろう。

●(小見出し)中国、今年も注目はエチレン合弁

 巨大市場中国で今年もスポットライトを浴びるのは、メジャー石油・化学企業との6つの合弁エチレンプラントだ。これ以外の新規立地C2設備提案には可能性がない。今年明らかにされた三井化学・住友化学のエチレン構想は進んだとしても、2010年以前に稼働することはなかろう。Formosaの寧波案件は後述する。6つとはBP-Amocoの上海案件、BASFの南京案件、Shellの恵州案件、Dowの天津案件、Exxon Mobileの福建案件、Chevron Philipsの蘭州案件だ。

 BPは今年、Sinopecとの合弁企業をつくる段階だ。BPとShellは今年エチレンプラント認可をとることができよう。BASFは昨12月に認可を得ている。6つのエチレンプラントは2004年から2008年の稼働を予定している。蘭州のプロジェクトは2005年以降に遅延が予想される案件の一つだ。この計画の中国側の相手は現在PetroChinaとなっているが、パートナーを再検討しているという。

 中国におけるPTAとポリエステルプロジェクトは短期的な見通しはよくなく、この分野における外国投資を奨励するのに熱心ではない。BPは新規プロジェクトとして中国第2のPTA設備を提案している。Bayerが提案している上海におけるMDI・TDIプロジェクトが注目されるか、Bayerと中国当局との交渉は中断したままだ。

 その他の樹脂繊維関連の誘導品プロジェクト、クロールアルカリプロジェクトなども需要の増大を背景に具体化が十分に考えられよう。

 台湾の中国への投資は台湾が大陸への上流投資禁止令を撤廃することを決めれば、増加するのは間違いない。しかし、情報通によると、この決定は遅れそうだという。しかも、解除してもラッシュとはならないという。WTO加盟後といえども、中国はオープンな市場にならないという懸念、台湾における株式市場の低迷、資金供給不足があるからだ。Formosaグループのように資金力のある企業だけが、中国での投資を増加できる。Formosaは寧波にエチレンプロジェクトをアセスしているが、禁令が解除されない限り、進展はない。

●(小見出し)台湾・韓国・日本

 台湾においてはNo7、No8エチレンプラントは今年も進展が期待できない。No7はいぜん資金問題に直面したままであり、No8は環境アセスメント段階にまでいたっていない。FormosaとCPCにはここ数年以内に台湾でエチレン・ダウンストリームプラント増強を計画している。台湾で今年進展が期待される主要なプロジェクトはChina American PCの提案する年産70万トンPTAプラントだ。

 韓国と日本ではデボトルネッキングとS&Bプロジェクトが日程にのぼる。4つの韓国のエチレン生産企業はここ数年内にエチレンプラントのデボトルネッキングを行うだろう。それはYeochun NCC、湖南石化、韓国石化、三星綜合化学だ。ダウンストリームプロジェクトのなかには生き残れるものもあるが、産業の再編の影響がつづくだろう。

 日本の石油化学産業では、11エチレンセンターのうち出光石化と三菱化学しか、能力増を計画していない。S&BによるPPの建設を表明しているのは、三菱化学、グランドポリマー、最近発表された出光・トクヤマJVだ。PEのS&Bによる投資は最近発表された三菱化学など4社JVがあり、10月に発足する住友化学・三井化学ポリオレフィン統合会社も国内におけるS&Bも視野にいれている。三菱ガス化学と旭化成はそれぞれガス化学とアクリロニトリルプロジェクトを今年決めることが期待される。

●(小見出し)明るいシンガポール・マレーシア

 シンガポールの焦点は三井化学・住友化学が建設を計画している第4エチレンプラントになる。Shellはこのエチレンプラントに参画するかどうか当面の問題だ。Shellの製油所とインテグレートされるPulau Bukomの計画との関連だ。シンガポールにおける第4エチレンプラントと将来のダウンストリームプロジェクトの見通しは明るい。それはSembCorpが発表した、同社がワールドスケールのNGLプロジェクトを建設し、2004年に稼動することだ。同社は石化プロジェクトに供給するガスを増加できるようガス輸入の増加に熱心だ。シンガポールにおいても三井化学と帝人化学は2001年にフェノールとPCをそれぞれ決定するかもしれない。

 マレーシアの新規プロジェクトの見通しは明るい。国営石油企業Petronasが積極的に新規分野に参画しているからだ。PetronasはUCCとともにOptical OlefinsのエチレンプラントをTerengganu州Kertehに建設、3Qに稼働する。またBASFとともに来年Pahang州Gebengに統合石化コンプレックスを完成する。Petronasは2001年は海洋ガス石油開発に注力するとみられる。

●(小見出し)タイ・インドネシア・フィリピン

 タイはまだ大きな金融問題をかかえたままだ。バンコック銀行グループはBPEを売ることにより、化学産業からぬけようとしている。National PetroleumはBPEを買収し、新設hdPEプラントを建設しようとしている。タイではことし少数のダウンストリームプロジェクトが決定するとみられる。たとえばhdPEだ。昨年承認されたプロジェクトで進展しないものもある。たとえばPhenolchemieのフェノール計画だ。タイの第5エチレンプラントは設備過剰ということから進展ないと見られる。

 インドネシアとフィリピンはエチレンプロジェクトを進めるのは、資金面で困難だ。資金で行詰ったTPPIプロジェクトは外資の導入に失敗し、行き詰まったままとなろう。PertaminaはTPPIの株を買うことになろう。インドネシア政府の現在のプライオリティはTPPIでなくChandra Asriの救済にある。

 フィリピンは最初のエチレンプラントを進める前に資金問題を解決する必要がある。プロジェクトを推進するコンソシアムはこのプロジェクトの20%をもつCPCのかわりを探している。