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製鉄プラント“弱者連合”となるな

 NKK、住友重機械工業、日立造船の3社が製鉄プラント事業の統合に向けて動き始めた。昨年のMHI−日立に次ぐ、二つ目の再編劇となった。しかし、日本と欧州の力の差を考えると、これで製鉄プラント業界の再編が終わったとは到底、思えない。むしろ、これから製鉄プラント業界の本格的な再編がはじまるのではないか。  MHI−日立も、今回の3社連合もそれぞれ年間受注300億円を目指すとしている。しかし、両グループがともに対抗しようとしている独SMSは、その約10倍の規模を持つ巨大な企業である。再編したとはいえ、その格差は非常に大きく、現状のままで正面から太刀打ちできるような相手ではない。  現在、世界の製鉄プラント市場における日本企業のシェアはわずか10〜15%程度といわれている。おそらく欧州の3大メーカーは80%程度のシェアを握っているだろう。日本の製鉄プラントメーカーがいかに小さい規模であるか、この数字が如実に示している。  マイナーポーションしか保有していない国のなかで再編を行っても、それで欧州の3強を脅かすような存在になった訳ではない。もちろん今はとにかく、生き残っていくということが重要だ。しかしこれからも、統合する会社同士が保有している技術の統合とアップグレーディング、人員の削減、製造拠点の統合などまだ多くの課題が山積している。  世界市場でのシェアの低い国の内部で再編が行われている訳だから、ともすれば“弱者連合”と揶揄されるかも知れない。日本に製鉄機械の技術を残すことは重要なことであり、そのためにはまず、各社が基礎体力をつけていかなければならない。  「筋肉質な企業体にしたい」。製鉄プラント統合の発表の席上で、NKK・プラントエンジニアリング本部長の藤原義之氏が述べた。奇しくも、MHI−日立の宮内社長も全く同じ表現を使っている。  それを実現していくことはもちろんだが、真に3強への対抗勢力へとなっていくためには、さらなる再編によって企業としての規模を拡大していくことが望まれる。  決して弱者連合となってはならない。