「エネルギー・ブリッジ構想」の一環であるサハリンから日本に向けた電力供給構想で、丸紅がベーシックFSに向けてロシア統一電力(UES)との協議を開始する。9月5日にロシア・プーチン大統領の公式訪日代表団の一員であるUESのアナトリー・チュバイス社長が通産省および丸紅首脳との会談で構想の推進に向けた協力を依頼したもの。丸紅は、プレFSとしてUESと共同で同プロジェクトの所要資金を算出した経緯があり、今後ベーシックFSの実施に向けた協議を行っていく。 同プロジェクトは、サハリンTおよびU油・ガス田開発プロジェクトから産出される天然ガスを使ってサハリン中部に出力400万kWの火力発電所を建設、地上送電線でサハリン南部のアニワ湾まで送り、さらにそこから海底直流送電線を使って北海道石狩を経由、新潟県の柏崎まで送電するというもの。送電規模は北海道に100万kW、新潟県に300万kWを送る計画。 丸紅がプレFSで産出したプロジェクト総額は、およそ1兆円にのぼるが、電力購入先などの具体的計画がないのに加え、国内の電力需要が伸び悩むなかで自由化が進展、電力会社も自社開発電源を繰り延べしている状況だけにその実現性を危ぶむ声もある。パイプラインによる天然ガス輸入構想に比べ数倍のコストが見積もられているものの、やりかた次第では可能性も残されている。 |