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通産、国際協力も環境対策・ITに重点
平成13年度の概算要求額1兆9,000億円に



 通商産業省は、平成13年度の概算要求を公表した。日本新生プランの重点分野である「IT革命の推進」「環境問題への対応」「高齢化対応」「都市基盤整備」の4分野に重点的に予算を投入したもので、要求額は総額1兆8,964億円となった。環境対策分野では、エコタウン事業など従来からの継続事業を拡大したほか、新たに循環型社会構築の推進のための技術開発、PCB適正管理などの新規事業が加わってくることから、12年度の総額45億円の予算に対して総額153億円と大幅に増額した。また、海外協力についてもアジア地域におけるIT革命の推進に新規22億円を要求。環境対策では省エネルギー・新エネルギー分野におけるアジア開発途上国などとの国際協力の推進に143.3億円を要求。国際協力でも両分野を重点としたものとなっている。

●IT関連予算は約3倍の規模を要求
 13年度概算要求のなかで、IT革命の推進に関する要求総額は526億円となり、12年度予算の181億円に対して2.9倍の規模を要求した。なかでも、情報経済の基盤となるセキュリティ・認証基盤の整備や各種情報システムの開発を促すことで、IT経済革命を推進することを目的としたIT経済の発展に385億円を要求。その内容としては、@医療・福祉分野の情報化の促進のための各種システム開発や、情報経済のための制度改革、構造改革などを推進する「IT経済構造改革の推進」に101億円を要求(12年度予算は24億円)、A研修やセミナーを通じた中小企業のIT革命への対応に53億円(同20億円)、BIT技能者・技術者が有する知識・技術・ノウハウを共有化することを可能とする「IT社会資産」の形成に58億円(新規)など。また、日本との相互依存関係の強いアジア諸国とのIT分野での協力関係を強化するため、IT技術者のアクレディテーション・スキーム(技術者教育の外部認定制度)の構築と育成に対して新規10億円を要求。さらに、アジアにおける電子商取引などの共通基盤を整備するための貿易手続きのペーパーレス化、ワンストップ化など共通基盤の整備のために新規12億円を要求している。

●超低硫黄油設備投資支援も
 一方、環境問題への対応については、エコタウン事業の推進、ダイオキシン・環境ホルモン対策、燃料電池の実用化に向けた基盤整備などが拡充されたほか、PCB適正管理の推進、循環型社会構築促進技術開発の推進、化学物質総合評価管理プログラムなどが新規に要求され、総合した要求規模は153億円と12年度予算に対して3.4倍の規模となった。なかでも、注目されるのは「グリーンバイオプロジェクト」。化学工業などのプロセスの省エネ化を図るため、幅広い工業プロセスに利用できるバイオプロセスを開発するもので新規30億円の予算を要求した。
 また、自治体やNGOなどが地域主導で地球温暖化防止対策を実施するためのモデル的事例を確立する狙いから電気自動車やエネルギー表示装置の導入などの事業を支援するため10億円の予算を要求。特にエネルギーモニタリング装置については、新規に20億円を要求し、およそ800世帯にモデル的に導入して家庭での省エネ行動を促す計画だ。
 新たな省エネ技術として実用化が最も期待されている燃料電池の実用化に向けた基盤整備には20億円(12年度予算は14億円)を要求したほか、自治体などによる新エネルギーの導入が拡大していることをうけて、「新エネルギー事業者支援対策」および「地域新エネルギー導入促進対策」の両事業の要求額が12年度予算に対して大幅に増加されている。これは、特に風力発電の導入が加速的に増加していることが影響している。
 一方、この分野における国際協力として上げられているのが、「省エネルギー・新エネルギー分野におけるアジア開発途上国との国際協力の推進」で、国際エネルギー消費効率化等モデル事業などに総額143.3億円を要求した(同127億円)。
 そのほか、資源エネルギー庁関係予算で注目されるのは、石油・天然ガスの自主開発のなかでGTL研究開発の予算を22.3億円(同1.5億円)を要求。実証プラントの建設作業に入る予定だ。また、ディーゼル車の排ガス低減のための超低硫黄軽油の供給のために必要となる設備投資は約1,000億円と見積もられているが、これに対する支援措置として、新規に8.6億円を要求している。