恒例のENR誌の米国環境市場上位企業200社ランキングが発表された。1999年の売上高に基づくもので、コントラクター・デザインファームだけでなく、機器メーカー・運営請負企業(Contract operation)など環境関連の各種企業を対象としたもの。環境の範囲には上水道に加え、工業・農業用水、ダムを含んだ水供給、下水道・一般廃棄物処理、有害廃棄物処理と広汎であり、かつ公共・民間を含んだもの。1999年の200社の売上高合計は278億ドル、前年の4%増となった。米国国内は米国の好調な経済・建設ブームに支えられ、前年の7.7%増の225億ドルとなったのに対して、海外は9.5%と大きく減少、52億ドルとなった。 市場別では最大シェアの有害廃棄物は微増にとどまったが、水供給、核廃棄物が2桁と大きく増加した。一方、固体廃棄物、大気は2桁台の大幅減となった。顧客別では民間・連邦が減少したのに対し、州・自治体が42%と大きく増加した。日本との比較では、固体廃棄物などのハードの比率が低く、環境規制遵守(compliance)などのソフトビジネスの比率が高い。環境規制遵守はシェアは固体廃棄物4.1%より大きい5.6%であり、前年比も5%と順調である。官での運営請負といったアウトソーシングが一般化しているが、民間でもDuPontなど顧客企業の環境部門アウトソーシングが目立っている。 企業別にはフランスVivendi傘下となったU.S.Filterが50億ドルを超える売り上げで例年通りトップ、以下Bechtelなどのエンジニアリング建設企業が続く。頻発するM&AはU.S.Filterの増加やMorrison Knudsen (Westing House環境部門合併)の上昇などに寄与した。Morrison KnudsenはRaytheonの合併により、さらに上昇が予想される。環境各社の展開分野は異なっており、固有の分野(ニッチ)での事業展開がうかがわれる。 海外はシェアの大きいヨーロッパ・中南米が2桁の減少となったことが全体の減少につながったが、他のカナダ・中東・アジア大洋州・アフリカは上昇している。各社は本年減にもかかわらず、海外に期待している。世界的に水関連(水供給・下水道)プロジェクトの潜在需要が期待できるという。資金面がネックであり、BOTなどが期待できる。民営化は途上国・中進国だけでなく、ヨーロッパなど先進国での動きでもあり、環境各社がこれに対応することが成功の鍵の一つとなっている。 |