キッツは黄銅製小型電動ボールバルブ「Ultra KELMO」などの新商品を10月以降、相次いで市場に投入し、積極攻勢をかける。同社は2年前に事業部制を採用し、市場別・分野別の事業展開を本格化している。新商品の積極投入は、成長が見込める市場・分野でのビジネス展開を狙いとしたもの。新商品の販売開始を機に建築設備分野に本格参入し、来期からは汎用弁市場にも進出する計画でいる。 ●アジアや欧米などでも拡販 キッツは8月2日の東京会場を皮切りに、9月7日(横浜会場)まで全国主要都市8会場で新商品説明会「KITZ Advantage Series2000」を開催している。同説明会は、新商品を販売店、代理店やユーザーに“より深くより幅広く”理解してもらう場として昨年から実施。昨年は「環境問題、新素材、ユニーク、快適」の4キーワードの下に新コンセプトの商品を紹介し、全国で約3,000人が来場した。今年は「@市場〜市場とともに」のキャッチフレーズの下に「市場において市場とともに歩みつづける」のテーマで市場・分野別の新商品を紹介、8会場あわせて約4,100人の来場を見込んでいる。 「KITZ Advantage Series2000」の目玉となるのが10月以降に順次、市場に投入する新商品群で、新商品は6分野10商品にのぼっている。その中で黄銅製小型電動ボールバルブ「Ultra KELMO」は、工場ラインや機械装置の省スペース化、コンパクト化などのニーズに対応した産業機器分野向けの新商品。モジュール設計によって部品点数を従来の約半分にすることでコンパクト化を実現したほか、約45%の軽量化にも成功した。また、世界初のボルトレス設計によるワンタッチ装着や簡単な手動操作などの高性能化を図るとともに、20%以上のコストダウンを可能にしている。 「Ultra KELMO」の品揃えはバルブサイズ1/2、3/4、1インチの3機種で価格は1万1,000円から1万5,800円。本格発売は10月からで、初年度1億5,000万円、3年後5億6,000万円の販売を計画し、セットメーカーの工場設備の海外移転なども視野に入れ、アジアや欧米地域での販売にも積極的に取り組む。さらにバリエーション拡大の一環を狙いに来年1月にサイズ拡大を図るほか、同3月にはバルブ本体の材質にステンレスを採用した新商品も投入し、国内で年間約68億円と言われる小型電動弁市場で現在12%のシェアを3年後には20%に引き上げる。 ●水処理分野向けの新商品も 排水用通気弁「通気番」は建物の美観を損なわず、しかも悪臭を外部に漏らさないなど従来の通気管での問題点を全てクリアした建築設備分野向けの高機能商品。排水流下時には弁が開いて空気を取り込み、それ以外の時には弁を閉じて悪臭を漏らさないようにするため通気管末端部を屋外に出さずに屋内で処理できる。@管接続部と弁機構部との軸心を偏心させたことで配管と壁面との距離が短くなり、省スペースに貢献、A滞留水収集溝と連結するドレイン孔を垂直方向に設けることによって内部滞留水を効率よく排水管に逃がし、凍結などによる弁機能低下を防ぐ、Bキャップを取り外すことで内部および各部品の点検・洗浄ができる―などの特徴を持っている。 「通気番」の価格は7,200円(呼び径40mm)から1万2,100円(同100mm)。10月から販売を開始し、第1段階で戸建市場、第2段階で集合住宅市場の開拓に力を入れ、2002年度には26%のシェアを確保する構え。環境に配慮した鉛レス銅合金製の脱塩ビ コアコートバルブも来年1月から給水・給湯分野向けに本格販売する。また、10月から発売する「樹脂製ボールチャッキバルブ」は、個別住宅向けの宅内マンホールポンプ方式の増加に対応、逆流防止弁として開発された水処理分野向けの新商品。@施工がスムーズ、Aメンテナンスが容易、B低価格の実現―などをコンセプトに開発したもので、従来のステンレス製に比べ45%の価格(フランジ式で2万2,300円)を可能にした。2003年度には年間3,000個の販売を見込んでおり、従来製品とあわせ、ボールチャッキバルブで70%のシェア確保を目指す。 |