EnB15号目次へ


荏原、独創的技術などで環境調和型企業を指向
新中長期経営計画を策定、複合提案能力持つ総合環境エンジへ



 荏原製作所は、@環境調和型企業を指向、Aグローバル市場における活動能力強化、B分社化に向けた連結ベースの事業本部自律経営強化、C経営資源の最適配分によるキャッシュフロー改善、D会社を取り巻く様々な関係者との調和した関係を維持―を基本方針とする新中長期経営計画「ACT2004」を策定した。この経営計画は2004年度を最終年度とした5年計画で、これらの基本方針の下で各種基本戦略を積極的に展開、2004年度には連結ベースで売上高1兆円、営業利益640億円(売上営業利益率6.4%)、当期利益300億円、ROA(総資産収益率)4.0%の達成を目指す。

●機械事業は差別化製品を投入
 荏原は1988年から3年計画・5年目標を原則とした中長期経営計画「ACT計画」を策定し、計画年度である3年毎に計画の見直しを行い、新しいACT計画に移行している。「ACT2004」は、20世紀最後の中長期計画で「荏原グループが21世紀に世界の優良企業グループとして一段と発展する」とのACT2001(97年策定)以来の命題を具体化する最終シナリオとして策定した。策定にあたっては会計制度の変更、コーポレートガバナンスの潮流など企業を取り巻く最近の企業環境の変化や方向性を考慮した。
 ACT2004の基本戦略で機械事業については、比較的成熟した市場で自社のプレゼンスを高め、収益向上を目指すためライフサイクルを考慮した差別化製品を市場に投入するとともに、情報技術(IT)を活用した新しいビジネスシステムを構築。アジアなど潜在的成長市場での事業展開に注力するとし具体的な施策として、@省エネルギー・省資源型の製品開発、A基幹技術の優位性による差別化製品開発(逆解法ハイドロ、軸受、シールなど)、B施設診断・サービス・メンテナンスと一体化した新しいライフサイクルサポート事業の推進、Cインターネットの活用、サプライチェンマネジメントによる生産合理化などITを組み込んだ事業展開、D海外生産拠点の活用によるコストダウンと国際事業の拡大、E顧客、他メーカーなどとのビジネスアライアンスを積極的に活用―などを挙げている。
 エンジニアリング事業では“ゼロエミッション”の切り口によって水・大気・廃棄物・エネルギーなど環境にかかわる全ての分野での、多様かつ総合的提案能力を持った総合環境エンジニアリング事業の確立強化を目指す。そのため、@水、廃棄物、エネルギーなどの各分野を横断的に統合した複合システムの提案力強化、Aゼロエミッションの中核となりうる差別化された要素技術の一層の開発・事業化、Bコンカレントエンジニアリング、3D−CADの活用などITによる業務プロセスの改革、CPFI、公設民営など民間活力導入型事業への積極的参画、D地域社会インフラ施設の運営・管理・予防保全などトータルメンテナンス事業の構築、E成長が期待されるアジア地域における環境ビジネスの展開―などに取り組む。

●サードウエア創出で事業強化
 精密・電子事業では、新しい半導体市場の広がりと製造プロセスの変化を背景とした半導体業界の設備投資拡大に対応、差別化された新製品の継続的投入によって業界のトッププレイヤーの座を確保するとともに、事業規模に相応しい経営体質の強化を目指す。また、情報戦略としてはハード技術とソフト技術を統合した新しい付加価値である“サードウエア”の創出によって機械、エンジニアリング、精密・電子の各事業の強化・拡大を図るとともに、グループ経営基盤強化のための情報インフラおよび管理システムの整備を行う。
 これらの基本戦略の展開によって連結ベースで2002年度は売上高8,000億円(1999年度実績5,663億円)、営業利益450億円(同206億円)、当期利益190億円(同86億円)、ROA2.7%(同1.4%)、2003年度には売上高8,600億円、営業利益530億円、当期利益240億円、ROA3.3%の達成を見込んでいる。また、ACT2004の最終年度となる2004年度での事業別目標値は▽機械事業=売上高2,800億円、営業利益130億円、売上営業利益率4.6%、▽エンジニアリング事業=売上高5,000億円、営業利益260億円、売上営業利益率5.2%、▽精密・電子事業=売上高2,200億円、営業利益250億円、売上営業利益率11.4%となっている。