EnB15号目次へ


千代田、受注強化狙いに大幅な機構改革実施
ライン業務を「経営企画管理統括」と「事業統括」に集約



 千代田化工建設は受注強化を狙いにライン業務を「経営企画管理統括」と「事業統括」のふたつに集約、機能的運営を図るなど8月1日付で大幅な機構改革を実施した。同社は受注高が99年3月期834億円、2000年3月期792億円と2期連続で1,000億円の大台を割り込んだ。その結果、2000年3月期末の受注残は1,339億円と99年3月期末の2,387億円に比べ約1,000億円の減少となっている。今回の機構改革は、これらに対応し、機能的な運営による受注の強化を図るのが狙い。経営企画管理統括に平井俊邦専務、事業統括には関誠夫専務が就任、同時に108人にのぼる人事異動(詳細は46頁)も実施した。

●現業部門を一元的に管理
 千代田は99年6月29日付で独立採算を念頭に置いた部門制を廃止し、総本部と本部を軸とする機能別組織に変更するなど大幅な機構改革を実施した。これは組織をフラット化し、厳しい事業環境に合わせて全社的見地から機敏に行動できる組織に改めるのが狙い。企画管理部門と総務本部を統合改組し、企画管理統括(平井俊邦専務)の下に経営企画部、IT推進部、法務部、経営管理本部、財務本部、総務本部を置いた。
 また、第1事業部門、第2事業部門、技術・業務部門を再編統合、事業統括(ニコラス C.ガリナロ副社長)の下に技術開発本部、海外営業本部、海外プロジェクト総本部、エンジニアリング総本部、調達本部を設置。海外プロジェクト総本部の下に海外第1プロジェクト本部から海外第4プロジェクト本部まで分野別の4本部と海外工事本部、エンジニアリング総本部の下には初期設計本部と展開設計本部を配置した。
 一方、国内顧客プロジェクト担当では第1事業本部と第2事業本部を再編し、事業統括の管掌外の組織として国内・産業設備プロジェクト総本部を設置。同総本部の下に国内営業本部、エネルギープロジェクト本部、化学・医薬品プロジェクト本部、環境プロジェクト本部、システム・インテグレーション(SI)プロジェクト本部、自動車プラント本部を置き、LNG事業部も別組織とする体制をとった。
 これは事業統括に就任したニコラス C.ガリナロ副社長が日本語が話せないところから、トップセールスに日本語が欠かせない国内顧客プロジェクト担当の国内・産業設備プロジェクト総本部を管掌から除外。さらにガリナロ副社長がケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)出身で、KBRがLNG事業で競合関係にある日揮とアライアンスを組んでいるためLNG部門も事業統括の管掌から外していた。
 今回の機構改革では、経営企画管理統括に平井専務、事業統括には関専務が就任したところから全てのライン業務を「経営企画管理統括」と「事業統括」のふたつに集約した。現業部門は従来、事業統括の管掌外となっていた国内・産業設備、LNG部門を含めて一本化。事業統括の下で一元的に管理することによって人的有効活用と知的資源活用を図り、強力な事業展開が可能な体制にした。

●国内営業はグループ制で
 具体的には事業統括が管掌する海外プロジェクト総本部、国内・産業設備プロジェクト総本部と要員数の多いエンジニアリング本部に、それぞれ統括室を設置。組織の機能運営を支援させるとともに、経営に必要な情報の取りまとめを行う。また、技術開発本部は業務の効率化を図るため2部1研究所に集約し、知的財産部はこれからのビジネス展開における知的財産の積極活用を担当。海外プロジェクト総本部は3本部1室に集約すると同時に、プロポーザル本部を新設し、受注力の強化を図った。
 エンジニアリング本部は組織をフラット化し、エンジニアリング遂行力を強化、ITをはじめコア技術を活用したビジネス展開を図るためアドバンスド・エンジニアリング&ソリューション・サービス(AES)事業部を設置。国内・産業設備営業本部は実効性のある営業体制をとるため部を置かずにグループ制とし、適任者をGMとして置く。また、自動車プラント本部を改編、自動車プラント事業部とし、大型案件が期待できるLNG事業部も改編強化し、新設のLNG営業部を含めてLNG事業本部として事業統括の下に置いた。
 経営企画管理統括の管掌部門は経営企画本部、経営管理本部、財務本部、総務本部の4本部体制とし、先を見越した経営計画の策定を担当。経営会議直轄の組織として経営会議室、安全・品質・環境・業務監査総室を設置、経営会議室は意思決定機関である経営会議の事務局機能を担い、従来の業務監査室はSQE組織に統合した。