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日立、高圧電動機などで開発合弁へ
富士電機、明電舎と7月に新会社設立



 日立製作所と富士電機、明電舎の3社は高圧電動機、中小容量発電機の開発を主業務とする合弁会社「ジャパンモータアンドジェネレータ」を7月3日に設立する。これは「3社が持っている業界トップレベルの技術、ノウハウを結集させて性能、価格面で競争力のある製品を開発する」(沢邦彦・富士電機社長)のが狙い。次のステップで「製造合弁を含めた広範囲な協力関係の構築も検討していく」(庄山悦彦・日立製作所社長)方針であり、平成15年には3社合計で国内シェア40%を確保、国内bP実現を目指す。

●世界的規模での集約化進展
 高圧電動機は電力プラントや一般産業、上下水道など各種機械の駆動力に使用されるキーコンポーネント。中小容量発電機はエンジンなどの原動機と組み合わせることによって電力プラント、工場、ビルなどでの非常用電源が主力となっている。また、中小容量発電機は夏場のピークカット用、コジェネレーション用など常用でも使われるなど用途が広く、今後は分散型電源、可変速制御、環境対応向けなどの伸びが期待されている。だが、国内の民間設備投資の抑制やビル建設の低迷などによって厳しい事業環境にあるほか、海外メーカーの参入によって低価格化に拍車がかかっている。
 また、GEやABB、シーメンスなどを中心に世界的な規模での集約化が進展、国内でも東芝と三菱電機が昨年10月に合弁会社(TMAエレクトリック)を設立するなど再編の動きが活発化している。このため日立など3社も「抜本的な強い体質」(沢氏)への転換が求められ、開発投資の効率化とスピードアップによる、よりコストパフォーマンスに優れた製品の提供が課題となっていた。今回の開発合弁会社の設立は高圧電動機、中小容量発電機に共通する絶縁技術、冷却技術、生産技術など3社のトップレベルの技術を集結。それによって開発スピードを加速させ、ユーザーの低価格化ニーズや競合メーカーとの価格競争激化に対応し、コスト競争力の強化を図ってグローバル市場でも勝ち抜ける事業体制を構築するのが狙いとなっている。

●製造合弁含め広範な協力
 新会社のジャパンモータアンドジェネレータの資本金は「1億円以下の予定」(庄山氏)で出資比率は日立40%、富士電機30%、明電舎30%で代表者は日立から選出、スタート時の従業員は約30人の予定であり、使用電圧600Vを超える電動機と3kV以上の中小容量発電機の企画・開発を担当する。合弁対象となる電動機、中小容量発電機の国内市場規模は高圧電動機400億円、中小容量発電機200億円の合計600億円。また、3社の事業規模は日立が年間90億円(従業員250人)、富士電機同65億円(100人)、明電舎同60億円(160人)で3社あわせた平成10年度の国内シェアは29%となっている。
 日立など3社は「開発合弁会社の設立と同時に製造合弁を視野に入れた検討を開始する」(庄山氏)計画であり、製造合弁などを含めた広範囲な協力関係の構築についても検討することで合意。3社の海外生産・販売拠点の活用によってグローバル競争にも充分対応できる世界トップレベルの高圧電動機・中小容量発電機メーカーを目指し、「世界市場に打って出る」(瀬古茂男・明電舎社長)。ただ、販売に関しては高圧電動機、中小容量発電機事業の場合、「各社ともシステム販売が多いので、それぞれに残す」(同)意向であり、今回の対象に入っていない低圧電動機についても「開発合弁の波及性など共通項が多いことが分かれば将来、考えていきたい」(庄山氏)としている。