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日本製鋼と神戸製鋼がリアクターで初の共同受注
カナダの製油所向け脱硫リアクターを受注



 世界の大型リアクター市場で凌ぎを削ってきた日本製鋼と神戸製鋼が、カナダ向けの大型案件で初めて共同体制での受注に成功した。重量1,000トンクラスの大型リアクターでは、世界に4社程度しかメーカーがおらず、しかも日本製鋼と神戸製鋼で80%近いシェアを持つ“両雄”ともいえる。それだけに、これまでは全ての案件で競合していたが、今回初めて、両社が手を結び受注を獲得した。
 今回のプロジェクトは、シェル・カナダを中心としたジョイントベンチャーから受注したもの。シェル・スコットフォード製油所隣接地に建設するタールサンドと呼ばれる超重質油を脱硫・軽質化し、同製油所向けの原油とするプラント向けに合計20基、総重量8,000トンにのぼる脱硫用リアクター。内訳は、1,000級リアクター4基と、50〜800トン級リアクター16基であり、1,000トン級4基を日本製鋼が担当し、それ以外のものを神戸製鋼が担当する。役務範囲は、リアクターの製造から海上輸送、現地最終組み立てまで。受注額は総額60億円で、両社が30億円ずつ。
 今回、両社が共同体制で望んだ最大の理由は、来年5月下旬とされている納期。20基の大型リアクターを短納期で建設するのは単独では不可能と判断した。また、過去に例のない482℃という高い設計温度条件に対応できる高強度鋼を使用したリアクターを安定供給できるのは世界でも両社のみ。これらの要件から初の共同受注が実現した。これを機に、今後とも大型案件では両社が共同体制で受注活動を行なう可能性が出てきた。