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専業大手、3社揃って黒字確保
2000年3月期決算、“格差”拡大傾向強まる



 エンジニアリング専業大手3社(千代田化工建設、東洋エンジニアリング=TEC、日揮)の2000年3月期決算がまとまった。それによると日揮が2年連続の黒字を達成、TEC、千代田も経常利益ベースで黒字化を実現し、96年3月期以来、4期ぶりに3社揃って黒字を確保した。だが、世界的な案件数の減少や競争激化などの影響を受け、3社とも受注高が前期に比べ減少した。また、2001年3月期予想ではTEC、日揮両社が引き続き黒字を見込んでいるものの、千代田は当期純損失200億円の計上を見込むなど厳しい状況にある。この結果、専業大手3社の中でも“企業間格差”が拡大する傾向が一段と強まってきた。

●千代田、4期ぶりに黒字達成
 2000年3月期の売上高は1,365億9,200万円で、前期比50.9%減と半減した。これは前期の受注が834億6,200万円と30年ぶりに1,000億円の大台を割り込み、低迷したことなどが要因。売上高の内訳は国内457億1,700万円(前期比32.7%減)、海外908億7,400万円(同56.8減)で海外の落ち込みが目立つ。損益面では前期で黒字化を実現した工事損益がさらに好転したのに加え、株式売却益などを計上。経常利益7,300万円、当期純利益3億2,300万円と4期ぶりに黒字化を達成した。
 一方、受注高は国内529億7,500万円(同10.1%増)、海外263億2,200万円(同25.5%減)の合計792億9,700万円(同5.0%減)にとどまった。この受注の低迷は海外での注力プロジェクトのキャンセルや入札延期によるもの。2000年3月末の受注残高は1,339億5,500万円と、前年同期に比べ366億300万円の大幅減となった。2001年3月期は再び赤字転落が見込まれるため資本、業務両面を含めた抜本的な経営改善策に着手。受注目標は国内外あわせて1,200億円を計画している。

●TEC、固定費削減で黒字
 2000年3月期の売上高は1,398億4,400万円で前期比38.9%の減少、完成工事高の内訳は国内298億4,000万円(前期比11.3%減)、海外1,093億9,600万円(同43.8%減)となった。だが、既受注プロジェクトでの損失コスト発生の防止、希望退職者募集を含めた固定費削減などによって経常利益7億5,200万円、当期純利益1億8,700万円を計上、黒字に転換した。
 受注高は国内200億3,200万円(同17.1%減)、海外869億7,800万円(同5.8%減)の合計1,070億1,000万円(前期比8.1%減)で期初目標の1,700億円にとどかなかった。これは赤字プロジェクトの防止を狙いとした選別受注の徹底や正式調印のずれ込みが約400億円発生したことなどによる。2000年3月末の受注残高は2,181億1,700万円。2001年3月期の受注目標は東南アジアや西南アジアを中心に1,700億円を計画している。

●日揮、2期連続の減収増益
 2000年3月期の売上高は国内649億7,000万円、海外1,656億2,100万円の合計2,305億9,100万円で前期比32.5%の大幅な減少となった。だが、損益面では固定費やコストの削減などによって営業利益75億9,700万円、経常利益62億9,000万円を計上。転進・転職支援制度による特別損失があったものの当期純利益13億8,200万円を計上し、減収増益となった。
 受注高は国内569億5,400万円、海外1,545億1,900万円の合計2,114億7,300万円(前期比19.4%減)を確保。この結果、2000年3月末の受注残高は5,372億3,700万円と、前年同期に比べ408億9,700万円の減少となったが依然、高水準を保っている。2001年3月期の受注目標は国内500億円、海外2,000億円の合計2,500億円を見込んでおり、そのうちの1,800億円をハイドロカーボン分野で達成する計画。