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Stone & Webster(SW)の、自己破産とJacobs Engineering(JEC)による買収の内定が5月8日に発表となった。4月30日にSWが好調な2000年第1四半期の業績とともに、99年業績のプロジェクトの赤字に伴う事業損失1億1,500万ドルになる修正報告とこれにより資金繰りに窮したことを発表、翌週の大混乱・大暴落をまねき、それを収束すべく内定段階で発表となったものと思われる。株価暴落は収束したものの、相手方のJECの市場での評価が下がっている。株価の暴落に対して、株主を代表する法律事務所の、会社および経営陣へのあやまった情報を提供したという訴訟が多発しており、問題が長引こう。また遂行中の案件2件がキャンセルとなった(1件は短期契約として復活)。JECはSWを取得するのに1億5,000万ドルの株もしくは現金で提供するとともに、当面の資金繰りにあてる5万ドルの銀行借り入れで支援する。正式契約は早くても5月末とみられ、統合はJECの決算年度末である9月末が見込まれる。SWは自己破産となったことにより、通常の事業運営ができる。SWの赤字プロジェクトとはロードアイランド州Tivertonの電力会社向け天然ガス発電プラントの遅延による赤字で2,750万ドルのコスト超過という。Raytheonのエンジニアリング部門の失敗案件、古くはFluor-Danielのリストラのそもそものきっかけとなったのもガス発電プロジェクトであったことなど、ガス発電プラントがリスクの多い分野であることの反映であろうか。近年のSWの業績は必ずしも好調ではなく、本社売却・EC以外の事業売却など事業再編計画を進めていたが、結局失敗に終わったことになる。 売上高は2000年3月までの1年間で、JECが32億ドル、SWが13億ドル、あわせて45億ドル、人員はそれぞれ18000人、5000人あわせて、23000人。規模的には米国のEC企業中5・6位程度の企業となる。JECは数少ない上場EC専業企業で、上場専業企業による上場専業企業の買収となる。JECはプロセス分野の企業として、70・80年代中堅企業がM&Aの波に飲まれる中で、独立企業として積極的にM&Aで規模を拡大してきた企業で、90年代においても欧州にも展開しており、99年には年初に米国大手デザインファームSverdrupを買収、プロセス以外のインフラ・建築分野に進出した。またオランダのStorkのエンジニアリング部門の段階的買収が進行しており、グローバル企業としての能力を拡大しているなどがある。この企業のもっとも注目されるのは、EC企業ではなく「多角化プロフェッショナル技術サービス企業」というイメージを謳っていることだ。99年度の売上高でOperation & Maintenanceが20%弱、またEngineering & ConstructionをProject Serviceとしているのもサービス企業らしい。顧客とのエンジニアリングアライアンスが多発しているのはそのいくつかを本欄でも紹介した。世界的なアウトソーシング時代に適合し、投資家好みのビジネスモデルをもっており、市場からは優良企業と評価されている。 合併されるSWは電力分野からはじまった110年の歴史のある企業であり、事業分野は電力・インフラ分野のEC企業、化学プラントは基本的にはライセンサー、コンサルティング事業である。エチレンの技術はJECの化学ビジネスの強力な武器となろう。コンサルティング・インフラ分野はJECのビジネスを補完・強化する。問題は新規進出となる電力分野であろう。リスクの多いということからJECが展開を避けてきた分野であり、SWの取得が市場から好感をもたれなかったのもこの分野への進出ということになるからだ。これについてはENR誌でJECの社長CEOやCFO(財務統括役員)が電力分野でのビジネスの選択を表明しており、JECがこの分野でどんなビジネスモデルを選ぶか注目される。JECは化学プロセス系の企業とはいえ、いままで日本のプロセス系エンジニアリング企業との接点が少なかった。一昨年、鹿島が薬品分野などのノウハウ導入を目標に提携している。SWはとくにエチレンのライセンスで日本の顧客業界・エンジニアリング企業との関連が深かった。既報したようにFluorとのエチレン合弁企業を解消しており、新生JECがどのような戦略をとるか、日本のエンジニアリング業界への影響も大きい。 |