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1990年9月に合意したイラン・ケシム島の一大コンプレックスについて、コントラクター兼事業主体の神戸製鋼所が正式にプロジェクトから撤退しそうだ。同プロジェクトの採算性がかねてから社内で疑問視されており、「無理に推進する必要はない」との見方が支配的になっているため。 このプロジェクトは、イラン・ホルムズ海峡に浮かぶケシム島のフリーゾーンに、生産能力100万t/yのミドレックスプロセスの還元鉄プラントを始めとする化学プラントなどの一大コンプレックスを建設。神鋼も事業主体に参画し、運営するというもの。この還元鉄プラントは5段階にわたって増強され、最終的には200〜300万t/yの生産能力を持つ計画だった。 このプロジェクトの最終契約期限は今年の3月19日。イラン側は期限を過ぎても神鋼からの反応がないため、事業主体を華僑資本あるいは台湾資本に切り替えることを検討しはじめた。一方、神鋼では対イラン商談で依然、ネックとなっている貿易保険の問題や採算性の問題で気乗り薄な態度を続けている。神鋼では事業主体から外されることについて「台湾か、華僑の資本が入るのならそれでもいい」としており、「もうミノルカやコムシグア(ともにベネズエラで神鋼が建設したBOT還元鉄プラント)のような案件は出てこないだろう」と、エンジニアリングカンパニーでプラント売り切りのプロジェクトに注力していく姿勢も見せている。 |