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国内外でDME実用化への動きが加速
DME戦略研究会がスタート、秋には国際ワークショップも



 21世紀の新燃料として、ジメチルエーテル(DME)への注目度が高まってきた。石炭利用総合センターとNKKなどが経済性の高い製造プロセスを開発し、各方面へDMEの実用化を働きかけている。また、資源エネルギー庁もDMEの実用化に向けた「DME戦略研究会」を設置、今夏にも実用化における課題などを取りまとめるなど、国内外で実用化への動きが加速している。

●戦略研究会が夏にも報告書
 尼崎の公害訴訟でデーゼル排ガスから排出される浮遊粒子状物質(SPM)が公害の要因として認定され、さらに東京都でもディーゼル車へのDSP装着義務付けに動いているなど、ディーゼルエンジンのSPM対策への関心が高まった。
 DMEは、炭素原子同士が隣接していない分子構造のため、燃焼時に煤ができにくい。また、硫黄分を含まないために、硫黄酸化物も発生しない。しかもセタン値が高いことからアルコール系燃料のなかで唯一、ディーゼル燃料として使用できるという特徴がある。DMEをディーゼル燃料として使用すればSPMの排出がほぼゼロに抑えられ、窒素酸化物も低減できることから現在、急速にDMEへの関心が高まりつつある。
 石炭利用総合センターおよびNKK、太平洋炭礦、住友金属は平成8年度からDMEの製造技術開発のため実証プラントを建設し、試験を行なっている。DMEの製造は従来、メタノールの脱水反応を利用していたが、これでは採算性が悪いため、原料ガスから直接DMEを製造するプロセスを開発したものである。
 経済性の高い製造プロセスが確立されつつあることから、資源エネルギー庁でも東京大学・藤本薫教授を委員長とした「DME戦略研究会」を発足させた。DMEの実用化に向けた課題の抽出を図ることが目的で、ディーゼル車および燃料電池を含む電力分野での利用における技術的課題や、それらに対する供給体制の整備、そして経済性などを検討し、今夏にも報告書をまとめる予定だ。

●国際的ワークショップも開始へ
 一方、プロセスを開発したNKKでもDMEを積極的にPRしている。先頃、NKK本社でDMEセミナーを開催し、約230人の参加者を集めた。
 DMEの利点としては、まず多彩な原料から製造できるという点が挙げられる。天然ガスや炭層メタンのような化石資源だけでなく、「バイオマス醗酵メタンも使える」(NKK技術開発本部・大野陽太郎氏)。また、ガスタービン、ディーゼル機関、ガソリン機関と全ての機関で使用できるほか、燃料電池でもメタノール並みの効率で発電が可能であることが確認されているなど「用途も広い」(茨城大学・梶谷修一工学部教授)。
 一方、潤滑性がないためエンジンを傷めることや、粘度が低いために機関からの漏洩対策が必要といった欠点はあるが、「潤滑剤や軽油とのブレンドにより、解決が可能」(梶谷教授)。さらに、価格面でも「LNG以下の価格で供給できる」(NKK・大野氏)など、DMEが持つ、21世紀の新たな燃料としての可能性は高い。
 NKKのほか、Air ProductsやHalddor TopsoeがDME直接合成プロセスを開発しており、米エネルギー省(DOE)もDMEへの関心を高めている。今年秋頃には「国際的なワークショップがスタートする見込み」(東京大学・足立芳寛教授)となっているなど、世界的にDME導入の動きが進もうとしている。