新潟鐵工所は、@単体で15億円、連結で25億円以上の安定的な経常利益が確実に計上できる事業構造の構築、A会計制度の変更に対応した財務体質の改善、B連結債務超過の解消―を基本方針とする経営再建計画「S−21計画」を策定した。これは平成12年3月から同15年3月までを計画期間としたもので、「エンジニアリング」「原動機」両部門を柱とする事業構造の変革や関係会社の合併・売却、カンパニー制の導入などを打ち出した。 ●新潟工事が三興製作所と合併 新潟鐵工所は、平成10年12月に新潟鐵工グループ全体の経営体質の変革・強化を目的とした「経営計画」を策定し、同11年3月にはグループ全体で約1,000人の人員削減、横浜工場の閉鎖ならびに新潟構機工場への移管、関係会社の統廃合、遊休不動産の売却などに取り組んできた。だが、事業環境の悪化に伴う受注高、売上高の大幅な減少によって平成12年3月期の業績予想(単体)が売上高1,253億400万円(直近の業績予想値に比べ46億9,600万円減)、経常損失29億9,200万円(同16億9,200万円増)、当期損失404億4,400万円(同335億6,400万円増)に悪化し、計画と大きく乖離することが避けられない状況となっている。そのため新会計制度の導入を控えて長期的な競争力を持続し、21世紀の大競争時代に勝ち抜くには事業構造の変革、財務体質の改善のスピードを加速した事業運営が必要と判断、今回「S−21計画」を策定した。 同計画の具体的な施策は、@事業構造の変革(選択と集中)、A新会計制度への対応および財務体質の抜本的改善、B資産売却の加速化、C関係会社の合併および売却、D自己資本の増強策、Eカンパニー制の導入、F執行役員制の導入、G経費節減の徹底―の8項目で構成。事業構造の変革では「エンジニアリング」部門と「原動機」部門を事業の柱とする方向性をさらに強めて両部門での成長、収益の拡大を追及し、「機械」部門は固定費削減、機種の整理・絞り込みを行ったうえで平成12年度中に分社化、建設機械部門は車両・除雪部門と併せて徹底した事業合理化を進め、収益改善を図る。また、業績計画はボトムである平成11年度の売上高、利益率をベースに策定し、同13年3月期に経常利益で黒字に転換、14年3月期には純損益でも黒字転換を果たし、15年3月期で売上高1,253億円、経常利益18億円、純利益9億円(いずれも単体)を見込んでいる。 関係会社の合併・売却では、連結子会社の新潟工事を三興製作所と合併させ、10月1日付で新会社(商号未定)を発足させる予定となっている。これは両社の経営資源を結集して企業体質の強化、業績の安定向上を図るのが狙いで、新潟工事の顧客基盤と営業力を生かし、両社の技術統合による付加価値向上によって石油関連のメンテナンス事業を中心に安定的な受注を確保していくことが可能になるとしている。合併時の存続会社は三興製作所で社長には新庄信・新潟工事社長が就任する予定で、被合併会社である新潟工事の従業員全員を新会社が引き受け、合併後の14年3月期では売上高730億円、経常利益7.5億円、当期純利益6.7億円を見込んでいる。関係会社の売却では、プラント用バルブメーカーのニイガタ・メーソンネーランの保有全株式(50%)を合弁相手の米ドレッサー・イクイップメント・グループに売却し、合弁事業を解消した。 ●カンパニー制で独立採算重視 カンパニー制の導入は「カンパニー毎の独立採算重視」と「キャッシュフロー管理」の加速化が狙いで、4月1日付で事業部制を廃止し、@エンジニアリング、A原動機、B機械、C構機システム、D造船―の5カンパニーと「チクサン・ウエルセンター」からなるカンパニー制を導入した。さらにカンパニー毎に収益力と競争条件に応じた賃金水準を設定、業績に連動した賞与格差を設けるとともに、同一カンパニー内でも個々人の賞与格差を拡大するなど成果主義を強めた人事制度に移行した。 その中で原動機カンパニーと並ぶ主力事業であるエンジニアリングカンパニーでは、独自技術を持つリサイクル分野を中心に市場が拡大している環境分野の比率をさらに高めて収益の拡大を追及。同時に新薬製造上の洗浄技術などの多目的プラントや遺伝子組み替え、バイオ技術などの医薬・ファインケミカル分野、食品分野、FAなどの産業プラント、新交通システムなどノンハイドロカーボン分野の一段の拡大に取り組んでいく。 |