EnB6号目次へ


三菱重工、英国向け排煙脱硫装置受注
中国電力と共同開発の技術を英国へ



 三菱重工業はこのほど、英国の電力会社TXUヨーロッパ・パワー向けの湿式排煙脱硫装置を4基受注した。受注金額は約200億円。今回のプロジェクトは、同TXU社がロンドン北方に所有するウェスト・バートン発電所に湿式石灰石膏法排煙脱硫装置を4基設置するもの。同発電所は石炭焚の総出力2,000MW(500MW×4基)の発電所。従来英国では、環境負荷の少ない天然ガス焚の発電所が少なく、また国内石炭産業の保護政策もあり、石炭火力発電所が多く設置されていた。その一方、段階的に英国国内で環境規制の見直しが行われたため、既設石炭火力の延命化と、排煙脱硫装置の設置が同時に進められている。今回の商談にはこうした英国の国情を背景に、米独日の5グループが入札に参加した。重工は今回、デンマークの排煙脱硫設備のライセンシー、FLS miljo社とコンソーシアムを組んで参加。重工の提案した脱硫装置が、シンプル且つ発電設備の安定運転に寄与する面が評価され、受注を勝ち取った。完工〜運開は3・4号機が2003年3月、1・2号機が同10月の予定。
 今回受注した排煙脱硫装置はキーパーツである吸収塔に、液柱塔と呼ぶ技術を使用したもの。吸収塔の内部で吸収剤である石灰石スラリーを噴霧し、排ガス中のSO2を吸収する。この方式は重工と中国電力が共同開発した。重工のヨーロッパ地区における排煙脱硫装置の納入実績は累計で200基を数え、英国向けにはこのうち50基を納入している。