地球温暖化問題などにより、世界中でクリーンで再生可能なエネルギーの導入への要望が高まっている。そのなかで、これまで21世紀ののユーラシア大陸の経済、環境、エネルギー問題を本音で議論することの無かった日露のエネルギー・環境研究者達が手を結び、環境に優しい新たなエネルギー・プロジェクトの発掘・提案・実現を目指す研究会「21世紀ユーラシア大陸の経済、環境、エネルギー研究会(チームEEEE-21)」が昨年、発足した。 EEEE-21の日本側のメンバーは、元日本機械学会会長で省エネや天然ガス、水素パイプライン推進の第一人者、平田賢東大名誉教授をはじめ、東工大(原子力研究所)の志甫教授、環境庁国立環境研究所・井上統括管理研究間、新日本製鉄エネルギーエンジニアリング事業部・大橋担当部長など。また、ロシアからは前ロシア科学アカデミー副総裁で現クルチャトフ研究所長ベリコフ氏等のグループである。EEEE-21では近く、米国、カナダ等の北太平洋沿岸国の参加も呼び掛け、日米露による共同研究開発グループを発足させる予定だ。 現在、EEEE-21が手掛けている研究テーマには、世界で最も風力が強いと言われるアリューシャン列島〜カムチャッカ半島〜千島列島あるいは内モンゴルやシベリア地域に大型風力ファームを建設し、そこで水素を製造してパイプライン輸送するというものや、シベリア地域の永久凍土地帯の大深度地下に国際核燃料共同管理基地(いわゆる核燃料バンキング構想)を建設するもの、あるいはMHD発電をサハリン島に建設するなどのアイデアがある。 ユーラシア大陸は欧州から中国まで13時間の時差を持ち、世界の人口の75%が居住、GNPの60%を生産、そしてエネルギー資源の75%が存在する。この大陸での新たなパワー・ゲームのプレイヤーは、戦略的な利害関係を持つ米・欧・ロシア・中国そして日本である。21世紀は間違いなく、この地域が世界の中心的な役割を担うようになる。チームEEEE-21がこれらの利害関係のなかで如何に円滑に共同プロジェクトを推進できるかは、我が国が北東アジアで21世紀のプレゼンスを示せるかどうかがかかっている。研究活動の運営資金の調達など、研究会としての課題はあるが、今後活発な活動を展開していくものと期待されている。 本誌では、EEEE-21が研究を行なっているエネルギープロジェクトを連載で紹介していく。 |