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海外プロジェクト総点検(中南米地域)
経済は回復基調、課題は受注可能性



 中南米地域では1995年にメキシコのペソ危機、99年1月にはブラジルでレアルの切り下げが行われるなど、この地域の核となる国での経済危機が相次いだ。
 現在も、この危機の影響からは完全には脱していないようだが、それでも回復基調にあることは間違いない。メキシコが順調に回復傾向にあり、またブラジルでも2000年には4%の経済成長が見込まれているなど明るさも見えはじめた。
 しかし、経済回復基調にあるなかでプロジェクトとしてはエネルギー関係に動きが見られるものの、化学や製鉄などの分野の動きは鈍い。電力ではメキシコのIPPプロジェクトは活発だが、それ以外では今一つといったところ。
 メキシコでは、昨年にツーラ、マデラ、サラマンカの3製油所の近代化プロジェクトで、軒並み韓国勢が受注。それ以後はエネルギー分野および化学分野での目立った案件はない。これに対してブラジルでは天然ガス受入基地やリファイナリー案件が動いている。さらに、ガスの受入基地の計画は、その先に天然ガス火力発電のプロジェクトも計画されている。経済の回復に伴って、これらの案件が今後さらに期待できる。また、ベネズエラではオリノコタール精製プロジェクトが具体化しているほか、LNGプロジェクトも計画されている。
 ベネズエラとブラジル。中南米地域では当面、この2カ国が中心となってプロジェクトが動いていきそうだ。ただ、ブラジルでは昨年、製鉄プロジェクトを連続して欧州勢に持っていかれた。これは一つには、経済危機の影響でブラジルの企業に技術評価ができる人材がいなくなっていることも要因であった。この地域のプロジェクトでは、事業主体が政府系であるか、外資系企業がメジャーポーションで参加しているものの方が受注可能性は高いのではないだろうか。