○…中坊弁護士が突然弁護士免許を返上した。社長であった旧住管機構の詐欺事件の責任を取った形となっている。事件は旧住専の大口債務者をめぐる債権回収において住管機構が他の債務者(銀行・生命)を騙して多額の債権回収を図ったもので、民事では和解したものの、刑事告発がなされ、詐欺容疑の捜査が開始されたという。住管は中坊氏の了解と指示のもとに行った=積極的な関与が疑われている。中坊氏は森永砒素ミルク・豊田商事・豊島産廃事件などで赫々たる成果をあげた。国民のために正義を戦い取る弁護士として象徴的存在であった。なぜ正義の人がきわめて不名誉な引き際に追い込まれたのだろうか。
住管機構は96年多くの国民の反対を押し切って財政資金6850億円を導入して実施された住専処理にともない、住専の債権を譲り受け回収する機関だ。中坊社長のもと、税金投入ということから強力な債権回収と関係者の責任追及が行われた。こうすることが国民の正義の実現ということと見たのであろうか。住管機構は債権回収という経済行為とともに、当事者を含めて多くの国民が暗黙の検察機構という錯覚におちいっていたのではなかろうか。住管機構は99年に整理回収銀行と合併して現在の整理回収機構となる。企業再生機能などが加わり、不良債権処理の機関であることが明確となった。中坊氏の場合、正義の人が本来正義より経済機能が優先さるべき機関の長となったことの悲劇といえるのではなかろうか。国民にとっての正義を実現する有為の人材を失ってしまった。
○…還暦をむかえ頑固になったのだろうか。世の中やたらと気に入らないことが増えた。
まず朝、新聞、テレビをみるとやたらとわけの分らない事件が頻発している。想像を絶する事件があとからあとから出てくる。テレビでは、レポーターとやらが「我こそは正義」という顔をして事件を追いかけまわす。コメンテータと称する数人がしたり顔で解説を加える。その事件も数ヶ月の命。甚だしくは数週間で消えていく。しかし、タネは尽きないから話題には困らない。
だからしょうがない、テレビを消して会社にでも行くしかない。通勤電車の中でも、これまた気に障ることが多い。傍若無人に席を大きく陣取る若者、大声で理解できない言語で会話する女学生、込み合う電車の座席で鏡とにらめっこしながら化粧にふける女性などなど。当然、車内の雰囲気は険悪で乗客は一様に不機嫌だ。老人、身障者へのいたわり、座席をゆずる行為などはとんと見かけない。これが通勤時だけかというと、そうでもない。周りの人に配慮するという行為そのものを知らないとしか思えない。これが若者だけかというとそうでもない。
ますます世の中おかしくなっていないか。仕方がないから山奥の温泉にでも浸ってみたいと思っているが先立つものがない。年をとると愚痴っぽくなるのかも知れない。
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