○…企業収益の回復、株価1万円台回復、街角景況感も4ヶ月連続回復、設備投資も回復傾向と景況は好転している。しかし、鉱工業生産指数や設備投資の先行指標である機械受注が前月比減となった。最近になって、円が節目の110円を突破、円高の勢いが衰えないなど、ここにきて、マイナス要因が目だっている。
最近の日経景気討論会の議論を総括して日経紙は現状を「不安抱え緩やかな回復」とする。討論会では景気は持ち直したものの、最近の変調を認め、上昇局面が終了する時期が近づき円高がそれを促進すると、各論者の見方はほぼ一致した。本年度は2%を超えるが、大半の論者は来年度は1%台への下落を予想する。
不安要因の最大は円高だ。円高は専ら米国側の状況に依存する。米国経済は景気浮揚の余地は少ないものの、ほとんどの論者は米国企業の競争力などの強さなどから、成長余地を認めるが、ブッシュ政権がドル安政策に踏み切ったとのショッキングな予測をした論者もあった。
日本経済の持続的成長を図るには、財政出動でなく、規制改革を柱に内需拡大型の構造改革を進める必要が強調された。そして規制改革の遅れ、不良債権処理に不十分さが指摘された。日本経済の持続的成長の道は未だ遠いといわざるを得ない。
○…羽田空港の第4滑走路拡張計画が動き出そうとしている。民間資金を導入したPFI手法を取り入れることにより、資金負担が減少する周辺自治体の了解が得られそうだからである。とはいえ、千葉県はそれでも資金負担を拒否する構えだ。今後も紆余曲折が予想される。PFIを導入する計画があるのは拡張計画のうち、ターミナル・サービス施設の整備運営事業だ。
国の事業でもやっと本来のPFIらしい事業構想が出てきた。これまで国のPFI事業といえば、公務員宿舎など箱モノBTO案件がほとんど。長期割賦が狙いで、運営も含めたライフサイクルコスト縮減、公共サービスの向上などはほとんど視野に入っていない。計画が具体化されないうちの即断は危険だが、羽田の構想は事業規模が2000から3000億円に達する本格的なPFI事業である。施設の規模も従来に比べて各段に大型である上、事業内容も多岐にわたる。ファイナンスの調達、リスク管理、事業計画も従来のような発想では対応不可能である。このため、公共、民間事業者にとって飛躍的なノウハウの蓄積が期待できる。単なる箱モノ事業とは異なりBOT型で、民間の知恵、総力を結集した事業計画が期待できるところから、本来のPFIの有り方を再認識させる可能性がある。
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