EnB 17号 目次
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■EYE
環境NGOへの不安詳細へ

■REPORT
動くか?東ロシア・エネルギープロジェクト詳細へ

ごみ処理プラント事業に展望はあるか(下)

海外受注高まるエンジニアリング産業詳細へ


■TOPICS
新分野拡大進む日立造船詳細へ

TLV、スチームトラップでビジネス特許詳細へ

■GLOBAL Business
・Alstom救済、EUようやく承認詳細へ
・Suez、Ondeo Nalcoを売却
・イラク復興プロジェクト詳細へ

■NEWS FLASH
・日立製作/伊藤忠、中国の石炭火力受注
・三井Bubcock、中国から石炭火力ボイラ受注
・日本AEパワー、エジプトから変電設備初受注詳細へ
・日立造船、アブダビ海水淡水化プラント正式受注
・三菱重工、米国から原子炉取替用加圧器を初受注
・三菱重工、タイから石炭火力
・新日鉄、北京にCDQエンジ会社設立
・三井造船、長崎から殺菌活水化装置
・日立プラント、水処理事業を譲受
・新日鉄、FT合成用コバルト系触媒を実用化
・鹿島/東ガス、建物直下のVOC汚染浄化工法開発
・出光エンジVOC回収装置を発売詳細へ
・新興プランテック、スターミートを実用化
・JFEエンジと日立プラント、新冷媒輸送システムを実証
・IHI、海外向け初のDOTシールドを納入
・Project News詳細へ


■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル


■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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環境NGOへの不安
 気体エネルギー議員連盟が国内幹線天然ガスパイプラインに本格的に取り組もうとしている。「日本の公共事業はこれまで、発展途上国型であった。これからは先進国型の公共事業を進めなければいけない。国内幹線天然ガスパイプラインはその一つの目玉だ」。民主党の鮫島宗明議員が会見の席上で述べた言葉は、これまで本誌を含め、各方面から指摘されてきた考えそのものであり、それが漸く国会にまで声が届こうとしている。
だが、2兆円を超える公共事業をこれから新たに立ち上げるのは生半可ではないように思える。そもそもその財源をどうするのか。既に国・地方公共団体合わせて640兆円もの借金があるなかで、新たな公共事業に2兆円を積みますことが世論で許されるのか。不安は大きい。鮫島氏は「道路だけで毎年9兆円の公共事業費が支出されている。その一部を天然ガスパイプラインに回せば3年でできる」という。確かにその通りだが、一部を天然ガスパイプラインにまわすことだけでも道路族からの相当な抵抗がありそうだ。
さらに心配なのが、環境NGOの反発である。いくらクリーンと言っても天然ガスはCO2を発生する。「二酸化炭素削減のためには自然エネルギーを」を旗頭とするような環境NGOが天然ガスパイプラインという公共事業にどう反応するか。恐らく「CO2を増やすようなインフラに2兆円を投じるぐらいなら、太陽光発電や風力発電に税を投入すべきだ」という論調で迫ってくるのではないか。もっとも、本当に来年の通常国会で法案が提出され、それが審議されるかどうかも今のところ微妙だが。
聞くところによると、ODAでごみ焼却炉が対象となっていないのは、償還期間とプラント寿命の問題のほかにも、環境NGOがごみ焼却炉を認めていないから、ODAを供与しようとしても猛烈な抗議を受けることになるからだ、という話がある。環境を重視する団体は、途上国の貧困層の衛生面にあまり関心がないのだろうか。最近、環境NGOに対して賛同できることがめっきり少なくなった。正しい環境NGOはいないのだろうか。
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動くか?東ロシア・エネルギープロジェクト
 サハリンプロジェクトを皮切りに、東ロシアのエネルギープロジェクトが活発化しようとしている。中でも注目されているのが、シベリア原油パイプラインプロジェクトとサハリンプロジェクトだ。この両プロジェクトの実現に向けた動きが目立ってきた。
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海外受注高まるエンジニアリング産業
 2002年度のエンジニアリング産業は受注・売上とも減少したものの、海外受注は大幅に拡大。今後はさらに受注の拡大が予想されている−。エンジニアリング振興協会(ENAA)は、「エンジニアリング産業の実態と動向」の業務統計速報を公表した。
2002年度のエンジニアリング産業全体の受注高は、国内で7兆9,819億円で前年度比9.4%減。これに対し海外は2兆2,047億円で同10.4%の増加となった。合計では10兆1,866億円で5.6%減。国内の減少を海外の増加が支えきれなかった。
機種別では、LPG国家備蓄関連およびLNG受け入れ基地関連の設備投資が活発だった「貯蔵・輸送システム」が79.1%と大幅に増加。また海洋施設が33.5%増、化学プラントも8.8%の増加となっている。一方、他のプラント施設は多くが減少しており、特に電力プラントは20.8%減、製鉄プラント18.7%減、通信プラント16.3%減、交通網整備システム14.5%減と、4機種が二桁代の減少。環境衛生や都市・地域開発システム、陸上鉄構物も減少している。
国内外別で見ると、国内では唯一、貯蔵・輸送システムが40.8%増と大幅に伸びているが、そのほかのプラントでは通信プラントが23.3%減の大幅な減少となったのをはじめ、化学プラント、都市・地域開発システム、環境衛生システムなどが減少した。
海外では、貯蔵・輸送システムが5倍弱に増加したのをはじめ、海洋施設、通信プラント、化学プrナと、陸上鉄構物、その他産業プラントの6分野が増加。その一方電力プラント、および製鉄プラントは大幅に減少している。
これにより施設別構成比は2001年度でトップであった電力プラントが17.9%から14.1%に減少して3位に後退。前年度2位だった都市・地域開発システムがトップとなった。通信プラントはシェアは落ちたものの3位から2位にあがり、化学プラントが5位から4位へ、環境衛生システムは5位となった。
業種別では、造船重機、鉄鋼、専業大手の3業種が受注を拡大した。このうち造船重機および鉄鋼は国内外とも受注が増加している。造船重機は国内が22.4%、海外が21.4%の大幅な増加となり合計でも22.1%増。鉄鋼は国内は3.7%増と小幅だったものの、海外は83.1%の大幅な増加となった。合計では11%増となっている。
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新分野拡大進む日立造船
GPS、放電破砕などが拡大
昨年に造船部門を分離した日立造船は、環境設備事業を事業の中核としつつ、新製品および新事業の拡大に力を入れており、その事業化が進んでいる。
国土地理院の電子基準点データを活用したサービスを提供している日本GPSソリューションズ(NGS)は公共測量でのVRS(仮想基準点)によるGPS測量分野に進出する。これまで測量法によって公共測量では認められていなかったVRS・GPS測量が、国土地理院から承認を受けたもの。国内で初めて近畿地方整備局浪速国道事務所と三重県名張市が国土地理院に、最新技術による測量方式の承認を受けるための「16条申請」を行い、これが承認された。公共測量でのVRS・GPS測量が承認されたことで、機器販売とそれに伴うASPサービス事業が大幅に拡大するものと期待され、日立造船の連結業績の改善にも寄与していきそうだ。
日立造船が開発した放電衝撃破砕技術をハザマが土木工事で初めて適用した。高速道路のトンネル工事における避難連絡坑建設工事に用いたもので、本格的な土木工事に同技術が採用されたのはこれがはじめてだ。
高速道路トンネルでは、U期線の掘削や供用線下の施工など、既存構造物やトンネルに近接した施工が増加しており、既設トンネル等に悪影響を及ぼすことなく短期間での施工が求められるなど工事条件が厳しくなっている。従来はこのような工事にはブレーカなどの掘削機械が使われてきたが、岩盤が硬質で、作業スペースが制限される場合には施工効率が低下する。また供用中の路線が近接している場合には必要な範囲だけを確実に掘削する必要があるため発破工法の適用も難しい。
今回の工事は、T期線とU期線とを結ぶ連絡坑を掘削すもので、岩盤が硬質であるうえ、供用中のT期線トンネルとの最小隔離が50cmと狭く、高破砕力が必要であるのに対し、施工時の振動を極力抑制するという厳しい条件だった。ハザマではこれをクリアするため、各種の工法の比較検討を行った結果、日立造船の放電衝撃破砕工法を採用することにしたもの。
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TLV、スチームトラップでビジネス特許
Steam Saving Plan(SSP)の核部分で
管理委託でコスト削減
流体機器メーカーのTLVはこのほど、スチームトラップの管理に関してビジネス特許を取得した。従来から同社が展開している「蒸気システムの最適化を長期間維持・保証するスチームトラップ管理の委託契約システム」の核の部分で取得したもので、スチープトラップ業界でビジネス特許を取得するのはこれがはじめて。
石油精製プラントをはじめ、多くのプラントではスチームトラップが使用されている。工場やプラントでの蒸気システムを最適な状態で運転するためには、このスチームトラップを効率良く管理し、メンテナンスしていくことがキーポイントとなる。
スチームトラップが漏洩すると、大量の蒸気損失が生じ、金額的な損失も大きい。また、逆にドレンの排出が出来なくなると蒸気輸送管や装置内にドレンが滞留し、生産物が不良品になったり、ウォータハンマ現象で設備が破壊されることもある。また、正常なスチームトラップでも蒸気を自己消費しており、数多く使用するプラントでは正常なものからの蒸気損失も大きい。さらに、経年的に不良が進行するため、定期的に管理・メンテナンスし、最適な状態を維持する必要があるが、その労力が多大であり、ユーザーが自社で管理するには限度がある。
そのためTLVでは数年前からSteam Saving Plan(SSP)という蒸気システムの最適化を長期維持・保証するスチームトラップ管理の委託契約システムを構築しサービスを提供してきた。SSPでは、蒸気システム・プラント診断をサンプルベースで行い、全体の蒸気損失量や金額を想定、有効性をシミュレーションで検証して実施範囲を決定し、その区域・範囲内の全てのスチームトラップを最適モデルに変更する。このときには不良品だけでなく正常品も取り替える。製品は5年間保証され、5年間のメンテナンス契約(アウトソーシング)も可能。TLVでは対象とした区域・範囲内のトラップ管理データベースを作成し、設置後の全数作動確認とデータ更新、メンテナンス契約の場合には年1〜2回の点検・データ更新、必要なメンテナンスを行う。
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Alstom救済、EUようやく承認
 Alstomをフランス政府が出資を含む計画により救済を図っていることは既報したが、欧州委員会がこれを認めず、6週間にわたって交渉が続いていた。新たな救済計画はフランス政府と銀行が旧プランより4億ユーロ多い32億ユーロをAlstomに提供する。ただし旧計画と異なり、政府は株ではなく転換社債3億ユーロを購入する。不可逆の投資でなく社債にすることにより欧州委員会は数ヶ月にわたりこの救済プランを審査する時間を確保できた。
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イラク復興プロジェクト
イラクの治安の回復は一向に進まない。治安の悪化のなか、駐留費・復興費用とも米国の見込以上に増大、石油生産の回復も遅れ、ブッシュ政権はさらに870億ドルを要求している。米国は依然として主導権を握りながら、国連など国際社会に治安・資金など幅広い協力を求めているが、協議には時間がかかりそうだ。イラク人の統治評議会が発足、それにより25人の閣僚が任命され、石油相としてUloum氏が新任された。
ブッシュ政権の要求870億ドルはアフガニスタンも含まれた数値であり、イラクのインフラ整備には149億ドルが計上されている。電力に57億ドル、石油に21億ドルなどその内訳は、表に示したとおりである。
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日本AEパワー、エジプトから変電設備初受注
日本AEパワーシステムズは、住友商事とともにエジプト・西デルタ発電会社から、変電設備を受注した。設備の製作・機器供給から輸送、現地据付工事までのフルターンキーで受注したもので、受注額は約50億円。完成は2006年1月の予定。
同プロジェクトは、エジプト第2の都市であるアレクサンドリア近郊に変電所を建設するもの。カイロの北西120kmに西デルタ発電会社が新設するヌバリア発電所(トーメン〜三菱重工業がSTGを受注)からの電力を、カイロおよびアレクサンドリアに向けて供給するための変電設備であり日本AEパワーシステムズは500kVの遮断機、変圧器などを供給する。現地での据付工事などはローカルのゼネコンであるJV先のCONISYS社が担当する。プロジェクトの資金ソースは、西デルタ発電会社が欧州投資銀行ファンド、およびアラブファンドなどから調達する計画だ。
商談は、日本および欧州のメーカーとの競合による国際入札で行われていた。日本AEパワーシステムズは2002年10月に日立製作所、富士電機、明電舎の3社の送変電・受変電・配電事業を継承して誕生した統合会社。既にこれまで海外向けでは中東地域や東南アジアで変電設備の受注を積み上げているが、エジプトでの大型案件の受注は日本AEパワーシステムズとしては初の実績となる。
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出光エンジVOC回収装置を発売
出光エンジニアリングは、低濃度大風量のVOC(揮発性有機化合物)を回収する装置“IDESORB-Y”を開発、10月から本格販売する。
VOCガスの回収は「大気汚染防止法」で規制されているが、最近では「PRTR制度」や各自治体による条例が規定されるなど、対応への要請が高まっている。
これまで出光興産では、自社の石油精製で培った技術を生かして、高濃度のガソリンやベンゼン、一般溶剤等のVOCを回収する装置を開発し、実績を積み重ねてきた。
今回の新商品は、環境対応分野での事業を拡大するためユーザーからの問い合わせが特に多い、低濃度大風量向けのVOC回収装置として開発したもの。
装置は温度スイング吸着法(TSA法:Temperature Swing Adsorption)を採用したもので、トルエン・キシレン・メタノール・MEK(メチルエチルケトン)・酢酸エチル等を処理対象とする。設備は吸着塔・加熱器・凝縮器・ブロア他で構成され、大きさは幅8m、奥行き5m、高さ3m。化学工場・塗装工場・印刷工場向けに販売していく。
特長は@吸着剤に不燃性であるシリカゲルを使用しており、火災の危険がない、A既存のVOC回収装置は、活性炭を使用し、蒸気で脱着を行うため、大量の排水が発生し、排水処理費用がかかったが、同技術は脱着に温風を使用するため、排水処理設備が不要など。年間売上10億円を目指す。
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Project News
タイMEGでTECなどSL
タイPTT、PDH-PPプロジェクトを推進
カタールで新メタノールプロジェクト
カタールエチレン増強PJでエバリュエーション
カタールセメントPJでテンダーへ
Sitra製油所拡張工事で日揮1番札
アブダビIPPでPQ
イランオレフィンPJで遅れ
サウジ・セメントプラント商談、近く発注へ
中国電力、国内初の商用石炭IGCCを計画
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編集後記
○…自民党総裁選を経て、小泉第2次改造内閣が発足した。一方野党側も自由党が民主党に合流、与野党が11月の総選挙に向けた布陣が整った。改革断行内閣・小泉公約に対する民主党のマニフェストと与野党とも構造改革を掲げた選挙戦のようだ。もっとも与野党とも党内が一致して改革賛成というものではなく、両党とも多数の抵抗勢力を抱えており、抵抗勢力隠しが見え見え、果たして具体的に改革の実現ができるのか心配になる。自民党の総裁選は抵抗勢力の代表と思しき複数候補がでてきて、首相と争ったが、別の抵抗勢力の支援をうけて首相が圧勝ということがこのことを如実に物語っている。担当分野について首相の改革の方針に反対の大臣もいる。
抵抗勢力は選挙を考えて首相を支持したといわれる。しかしこのことは構造改革に反対では有権者の支持は得られないということが明確となっているということだ。与野党の公約をみても、有効な景気対策や地方振興策、あるいは明確な将来ビジョンがあるわけではない。景気に明るさの見えてきたいまこそ改革が必要ということだろう。
驚きを持って迎えられたのは、40代の安部自民党幹事長の登用だ。民主党の幹事長もほぼ同年代だ。次代のリーダーは団塊の世代を超えて40代以降の若い世代が担うという予兆かもしれない。
○…80年前の関東大震災を経験した人は、当然のことながら少なくなっている。しかし、震災の恐ろしさは語り継がれ、いつか必ず来る大地震への備えは啓蒙されている。天災には備えしか出来ないが、人災は未然に防ぐことが出来る。9月上旬に二つの大規模な人災があった。新日鉄の名古屋製鐵所で発生したコークス炉ガスホルダーの爆発事故と、ブリヂストン栃木工場のゴム練り工程から発生した大規模火災だ。ともに日本を代表する企業で、自動車生産に欠かせない基幹品を供給していた。自動車メーカーにとっても大きな痛手を被る事故であった。さらに、近隣住民に大きな迷惑を及ぼしたのも事実だ。事故原因は調査中で特定されていないが、人災であったのは間違いなかろう。近隣の人には「まさか」の事故である。備えが出来ない。
しかし、企業側は備えが出来る。「管理体制を…」とか、「事故ゼロ活動を…」などいろいろなスローガンを掲げたら事故は防げるというものでない。どうも、根本原因は別にあるような気がする。以前から日本の企業は生産技術者を厚遇していないような気がしてならない。そこにも一因があるのでは?まさか、リストラで全体を把握できる技術者が現場から消えているということはないだろうが…
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