EnB 14号 目次
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■SPECIAL 「エンジニアリング・イヤーブック 2003」
主要企業のエンジニアリング戦略
総論
難しくなった国内市場詳細へ
専業大手3社
少ない不安要因、事業領域の拡大にも注目
鉄鋼エンジニアリング部門
事業再編が進む
造船・重機6社
EPCソリューション化が進む
重電・重電系工事会社
国内電力案件の減少が業績を圧迫
計装・制御メーカー2社
ソリューション展開が明確化
水処理・環境3社
海外・サービス展開に力
機械/工事系プラント・エンジニアリング
環境分野の好不調が反映
ユーザー系エンジニアリング
親会社依存からの脱却が鍵
総合建設5社
医薬品関連プロジェクトが好調
商社
EPC案件が拡大
米国エンジニアリング産業動向
米大手エンジニアリング企業の業績

■FORUM
ライス

■TOPICS
国内最大のPM大会が9月に開催詳細へ

■GLOBAL Business
Alstom、フランス政府が救済詳細へ
イラク復興プロジェクト
Company News

■NEWS FLASH
住友商事、マレーシアSKパワー向けで受注
トーメン/重工、エジプト向け蒸気タービン受注
日立製作、サハリンからGT発電設備と圧縮機
三菱重工、世界最大の風力発電PJ受注
IHI、ベトナムから大型水門・鉄管工事
三井造船、バイオガスプラント受注
東芝プラント建設と東芝エンジが合併へ詳細へ
富士電機、新中期計画策定
Infomation詳細へ
JBICの最近の動き

■データ・ファイル


■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL 詳細へ

EnB ○○号 表紙

 

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難しくなった国内市場
海外展開が主要戦略に
プラント業界の2002年度は、好調続く海外の天然ガス、石油などエネルギー資源関連プロジェクトをメインターゲットとしている専業大手エンジニアリング会社は好調であった。この状況は今年度も続いており、専業大手エンジニアリング3社は既に大型案件を相次いで受注している。また、発電プラントでは北米地域は低調なままであるが、中東やアジアでは徐々にプロジェクトが動き出している。また、中東およびアジアでの建設需要の拡大にともなって、セメントプラントが復調する動きも出てきた。また、中東の海水淡水化プラントも、80年代に建設されたプラントが更新期を迎えつつあり、プラント商談の活発化が期待できる。ただ、海外でも製鉄関連は中国やブラジルなどに集中しており、海外勢との競争が厳しい。
一方、国内では民間、公共ともに投資の抑制が続き、依然として厳しい状況が続いた。都市ごみ焼却炉は引き続き低水準で推移した。水処理や土壌浄化関連は比較的好調に推移しているが、全体を押し上げる力にはなっていない。電力では原子力・火力発電の新規案件も低迷している。特に原子力発電では、東京電力の不祥事絡みで、炉の点検や改修工事は増加したものの、今年度以後の点検・改修工事を先食いした形となっている。ガス関連では、LNG基地やパイプラインなど大型の工事は一巡しており、当面大型案件は期待できない。LPG国家備蓄も発注終了に差し掛かっている。国内の建築も大型の都市開発プロジェクトの一巡により低迷、鉄構・鉄骨も状況は厳しい。
その一方、石油関連では、環境対応投資が拡大しており期待できそうだ。また投資が低迷していた半導体など電子工業関連も02年度下期からは動きが出始めている。02年度では上半期の不調のため、業績回復には直接繋がっていないが、今年度には期待が持てそうだ。特に、日本および台湾、韓国の企業による中国への投資が活発化しており、これに絡んでいければ、受注は増加しそうだ。
国内市場は構造的にプラント需要の長期低迷期に入っている。このなかでプラント業界各社が生き残っていくには、海外展開の加速化が重要な課題となっていおり、これを重点戦略の一つとして挙げている会社も多い。もはや、国内市場ではプラント・エンジニアリング事業を維持していくことは難しくなった。
EPC+αの国内市場
国内市場は急速な変化を続けている。ごみ処理プラントは、ダイオキシン特需以後、建設計画は大幅に減少した状況を続けている。しかも、最近ではごみ処理プラントはPFIや公設民営型など民間の資金や資産、ノウハウを活用したものが増えてきた。リサイクルプラントも同様である。このような案件に対して、事業への参画から入っていくのか、あくまでプラント建設でいくのかは戦略的に分かれるところではあるが、いずれにしても、EPCのみでは十分な対応がしにくくなっているのは確かだ。また、環境設備分野は海外展開が遅れている分野でもある。海外−特にアジアの環境市場を開拓するためには、各企業が個別にアプローチしていても、相手先のニーズ対応するのは難しい。企業の壁を超えた、海外環境設備市場開拓のための枠組みをつくり、政府を巻き込んでアプローチしていくことも必要な時期になっているのではないか。
設備需要が低迷するなかで、メンテナンスへの注目が高まっている。EPCのすぐ外側にある市場として、プラント業界にとっては参入しやすい分野ともいえる。計装メーカーが今年はじめに、水島コンビナートで計装設備の一括保守契約を結んだのも、一つのニュースだった。また、以前から、アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)やITを活用したメンテナンス事業を拡大させているところもある。
ところが一方で、ユーザー系エンジニアリング会社では、親会社の保全業務が引き上げさせられる事例も続いている。近年、化学プラントの事故が全国に報道されるようになっているため、自社プラント設備の保全は本体企業が責任をもって行う必要があるとの認識がそこにあるようだ。であれば、メンテナンスのアウトソーシングも失速しかねない。もっとも、本体への保全回帰の後に、アウトソーシングが進むとの見方もある。この分野の市場性を判断するには時間が必要だ。
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国内最大のPM大会が9月に開催
国内最大のPM大会である「PMシンポジウム2003」が9月2〜3日の二日間、東京・江戸川区民ホールで開催される。日本プロジェクトマネジメント・フォーラム(JPMF)とエンジニアリング振興協会(ENAA)が主催するもので、「新しい日本を作るプロジェクトマネジメント」をテーマとして行われる。シンポジウムの詳細・申し込みはJPMFホームページから。
http://www.enaa.or.jp/JPMF/sympo/2003/index.html
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Alstom、フランス政府が救済
既報のようにAlstomは経営不振になやみ、2年間で90%株価が低落した。産業タービン・送変電機器事業の売却などの事業再編を進めているが、ついに流動性危機に陥った。フランス政府が新株発行6億ユーロの半分引受など大幅に介入する救済パッケージ28億ユーロで救済することとなった。これに対して欧州委員会は違法な国の補助として徹底調査を表明している。

 救済案の内容は、新株発行(半分の3億ユーロを政府)、9億ユーロの転換社債、13億ユーロの劣後債(うち政府2億ユーロ)、新株の一部は負債資本転換を含む。これに加えて35億ユーロの新規ローン(65%価額を政府保証)が提供される。フランス大手銀行BNP Paribas、Credit Agricole、Societe Generaleを中心とするシンジケートが残りを負担する。これによりとりあえず2004年4月期限の負債18億ユーロ返却の危機を脱した。
中道右派のフランス政府は公開の声明において、産業政策の過去の傾向をやめ、民営化を推進することを誓ったばかりだ。欧州委員会は、「公平な競争の場」においてBullやフランスTelecomなどフランス政府が長らく問題を起こしてきたのを追求してきた。欧州の規制は政府が不振の企業に投資するのを許すが、承認にあたっては通常資産の売却を要求する。フランス財務省は、今回の救済はこれらの規制に従っていると主張する。また、フランスはAlstomの破綻は金融危機につながるという。しかし、フランスの大手3行は優良なバランスシートをもつ高い格付け行であり、破綻の影響を吸収できる銀行である。また、破産処理をしなかった理由として、フランス法が米国の破産法11章とことなって、破綻後の融資が守る条項がないなど債権者の権利を守る条項がないことも挙げている。フランス財務省は米国タイプへの破産法の改正を検討するという。今回のフランス政府の行動は欧州法での正当化は難しいと見方が大勢を占める。
Alstomの援助によるフランス政府の狙いはまず9.5%の高い失業率でのフランスで3万人雇用者を抱える企業の破綻を避けたい、Alstomのフランスにとっての優良技術資産(高速鉄道・クルーズ客船など)の防衛などが挙げられいる。フランス政府は依然として、産業政策におけるコントロールを放棄できないようだ。

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東芝プラント建設と東芝エンジが合併へ
 東芝プラント建設と東芝エンジニアリングは、2004年1月1日付けで統合することで合意した。
東芝プラント建設は主に現地工事を、東芝エンジニアリングはエンジニアリングおよびフィールドサービス(現地調整・試験)を担当してきたが、両社とも受注環境は厳しさを増している。東芝エンジニアリングは、2001年10月にIT系エンジニアリング部門を分離し「東芝アイティー・ソリューション」に統合したことで、会社の規模は大幅に縮小していた。そのため、東芝プラント建設の現地工事のノウハウと東芝エンジニアリングのエンジニアリング、フィールドサービス機能を一体化することにより、エンジニアリングから調達、現地工事、フィールドサービスまでを一貫して展開していく必要があると判断した。
合併により、経営資源の効率的活用を通じてコスト競争力を高め、東芝のフィールド分担機能の競争力を一層強化するとともに、エンジニアリングから調達、現地工事、フィールドサービスまでを提供できる強みを生かし、外販(独自)事業を全体の50%程度に拡大、強化していく。
合併は対等合併だが、存続会社を東芝プラント建設とし、東芝エンジニアリングは解散。合併後は社名を「東芝プラントシステム」に改称する。合併比率は1:1.65。
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Infomation
エネルギー学会、特別講演会
日本エネルギー学会は特別講演会「ナノテクノロジーとエネルギー」第2回講演会を9月24日、東京・新宿の日本青年館国際ホールで開催する。今回のテーマは「ナノテクと燃料電池、新型電池、熱電素子」。脚光を浴びるカーボンナノホーンの燃料電池への応用(NEC基礎研究所ナノテクノロジーTG研究部長・久保佳実氏)などの講演が予定されている。
詳細は日本エネルギー学会ホームページ。
http://www.jie.or.jp

JR東日本、異分野融合のR&Dコンペを募集
「異分野との融合による駅のフロンティア」をコンセプトに、研究開発コンペティションを実施する。対象分野はロボティクス、バイオテクノロジー、材料工学、ライフサイエンス、情報科学などの先端科学分野、および人間工学、行動科学、社会心理学など。応募対象テーマは@快適・安心な駅の創造、A環境負荷の小さい駅の実現、Bスムース・利便性の高い駅の創造、C先端科学技術を応用した駅の創造。応募締め切りは10月10日。共同研究費は1件あたり1,000万円を上限として総額3,000万円程度を予定。
http://www.jreast.co.jp/development/comp

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編集後記

○…石油の専門家から「世界の石油産業・市場の再編と日本の石油産業」という講演を聞いた。@国際石油産業の基本的潮流A国際石油産業の再編B日本の石油産業の課題Cアジア経済と中東石油という内容であった。石油上流部門の技術革新(海底生産システム・FPSOなど)もあって、石油需要の増加にも関わらず原油確認埋蔵量は増大、可採年数は減少していない、21世紀も石油の時代は継続するというものだった。聴衆は石油に知識のある者・全く知識のない者が混じっていたが、双方にとって有益な内容であった。
エネルギー全般、とくに関連の深い天然ガスについてほとんど言及がなかったのは残念であった。天然ガスは上流では石油と一体だが、流通以降が相当違うので、触れなかったのかもしれない。しかし、日本では天然ガス即LNGでしかないことや、石油会社がほとんど精製流通企業でしかないこともあるかもしれない。
世界の石油企業はガス・石油双方に基盤をおいた企業だ。産油国には産ガス国も含まれる。地球環境問題のためにも天然ガスの使用拡大が求められている。水素時代の到来が言われているが、水素は2次エネルギーであり、1次エネルギーは天然ガスだ。世界的にいえば、ガスも含めたハイドロカーボンの時代が続くのだ。


○…子供・若者が荒れている。これは個人的な認識とも思えない。多くの人がそのように感じているのではなかろうか。それは、何が原因であるかは識者にまかせるほかはないが、決して他人事ではあるまい。その底流にあるものを共通に認識して、手探りで糸口を探っていかない限り、解決の方策はあるまい。
大上段に振りかぶって考えてみると、21世紀に入っての日本は大きな変革が進行している。政治、経済、社会すべての分野で変革が著しい。日々、流されている情報を概観すると、「混沌」という表現が相応しいのではなかろうか。従来の常識があらゆる分野で通用しなくなっている。私も、ただ「あれよあれよ」と眺めているほかはない。まして、子供・若者はその混沌についていけるはずがない。明日の展望を見開けず、ただ流されているのが現状ではなかろうか。
社会制度上に解決されなければならない問題もあるだろう。しかし、根本的な解決策の一つが身近にもあるような気がする。自戒も含めて言うと、その原因の一つに社会全体の他人への無関心さがあるのではなかろうか。卑近な例でいうと、あなたは近所の子供に声をかけたり、会話したことがあるだろうか。多くの人が自分の子供以外にも興味をもつ。これが解決策の一つかもしれない。

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