EnB 13号 目次
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■EYE
蘇る悪夢詳細へ

■INTERVIEW
新日本製鉄・エンジニアリング事業本部長
八木重二郎副社長

■REPORT
回復期に入った海外プラント成約実績
(表)2002年度主要プラント輸出契約

■FORUM
番外編・内部告発

■TOPICS
H型ガスタービン時代、始まる詳細へ

堅調に伸びるマイクロガスタービン市場

■GLOBAL Business
米国で開花するプログラムマネジメント

イラクの油田改修、2つの正式契約に詳細へ

■TENDERS

海外主要プロジェクトの消息
国内主要プロジェクトの消息

■NEWS FLASH
・三菱重工、スペイン向け複合火力受注
・IHI、釧路市から連続アンローダを受注
・サハリンで400万kW発電PJ、日本に送電詳細へ
・東ガス/シェル、120万kWの発電計画を推進
・具体化するCO2地下貯留
・日造〜新日鉄、ごみ焼却炉でクロスライセンス
・清水建設、「バイオスクリーン」技術を実用化
・山武、製造業向け知識管理ソリューション事業に着手
・IHI、海岸侵食を防ぐ新工法の初号機を完成
・新日鉄、中央合同庁舎PFIで正式契約を締結
・JBICの動き
・Project News詳細へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■エンジニアリング・ダイジェスト


■EDITORIAL

EnB ○○号 表紙

 

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蘇る悪夢
6月に契約が調印される予定であった、イラン・アザデガン油田開発は、米国の横やりによって決裂してしまった。イランの核開発疑惑が払拭されない限り、米国はイランでの資源開発プロジェクトに関わる第三国に圧力をかけ続けることになりそうだ。
アザデガン油田は確認埋蔵量260億バレル以上とイランでも最大規模の油田であり、中東地域における新たな自主開発油田として日本のエネルギーセキュリティ上、重要な役割を担うものと期待されたプロジェクトの一つ。その契約内容は総額28億ドル(約3,400億円)で、経費に関しては生産開始後に現物(原油)で受け取るバイバック方式となる予定だった。イランの核開発疑惑に絡んで、米国は日本政府に最初は「懸念」を表明、その後日本政府に対し「再考」を求め、さらに「利敵行為だ」とまで発言している。
しかし、米国がどう考えようと、日本にとってイランは決して「敵」などではない。友好国の一つである。米国は外国企業への制裁も盛り込んでいる「イラン・リビア制裁法」をちらつかせているが、これは明らかに越権行為であり、内政干渉の疑いすらある。
2000年10月にハタミ大統領が訪日した際、アザデガン油田開発だけでなく石油化学プラント、鉄鋼ペレットプラントなど4件、総額約500億円の輸出信用が供与され、イランジャパン石油化学以来24年の時間を経て漸く、プラントビジネスも再開されたのである。
現在でもイランではGTLやLNG、石油化学などのプロジェクトが動いている。これらのプロジェクトに対しても「利敵行為」として圧力をかけられる可能性はないのか。不安になってくる。
イランの油田開発では、イランによるバイバック契約の内容が外国企業側に負担の多い方式であることは以前から指摘されており、なかなか進んでいないのが現状である。アザデガン油田も、米国の圧力が無くとも契約は出来なかったかもしれない。だが、問題は米国の身勝手な圧力が民間のプロジェクトにまで影響を与えているということだ。日本政府は米国から民間を防御する気があるのだろうか。このままではイランの悪夢が蘇るかもしれない。
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H型ガスタービン時代、始まる
GE〜東芝が商用化へ、対する三菱も実用化にメド
GEと東芝が、共同で開発した次世代型ガスタービンコンバインドサイクル発電システム「H System」の国内商業販売を10月以降に開始すると発表した。98年に両社が開発から製造、営業までRSP(リスク&レベニュー・シェアリング)方式での事業展開を発表して以来5年を経て商業化にこぎつけた。一方、同じくH型ガスタービンを開発している三菱重工業も既に実用化にメドをつけている。ガスタービン複合火力はついにH型時代に入るのか。

英バグラン・ベイで実証
「H System」は、燃焼温度を世界最高水準の1500℃レベルとし、ガスタービンと蒸気タービンを直列に配置して発電機を駆動する世界最大の一軸式コンバインドサイクル発電システム。蒸気冷却方式の採用により世界最高の熱効率60%を実現できる。このため、従来のガスタービンコンバインドサイクル発電システムに比べて発電コストを低減できるとともに、熱効率が高い分燃料使用量を低減できる、環境適合性も高いシステムとなる。
GEはこのシステムのキーコンポーネントとなるH型ガスタービンの開発を95年に開始。98年からは東芝とのRSPで実用化を進めてきた。東芝はこの協定のなかで蒸気タービン、発電機の設計、製造と、GEの設計した圧縮機の製造を担当している。またGEはシステムの総合設計と性能の責任を担うと共にガスタービンを設計・製造し、システム制御を供給する。シェアはGEが60%、東芝が40%だ。
その第1号機は英国ウェールズ地方、カーディフ近郊のバグラン・ベイ発電所に導入され、技術実証試験を実施。広範囲なフィールド検証試験は2002年11月に開始。ユニットは、全負荷を含むあらゆる条件で運転され、大気温度7℃で出力53万kWを記録した。
この結果、商用システムとしての性能を確認、今年9月にはガスタービン蒸気冷却技術を用いた世界初の商用コンバインドサイクル発電プラントとしての運転を開始する予定だ。
これをうけて両社は、今年10月以降に主に日本市場を対象として本格的な営業活動を展開していく考えだ。
既にGEは東京電力・富津火力発電所4号系列の3基のHシステムを受注している。同設備は合計出力152万kWで、2008年以降順次運転開始の予定だ。
このプロジェクトでも東芝は包括契約の下に蒸気タービン・発電機の設計・製造と圧縮機の製造を担当することになっている。

GEと三菱、設計思想に相違
H型ガスタービンは、これまで開発・実用化されてきたガスタービンとは大きく異なるものだ。燃焼器からガスタービンへの入口温度(TIT)が1,500℃にも達するので、そのままでは直接にこの温度を受けるタービン・ブレードは溶けてしまう。TITが1,300までであった従来のガスタービンでは、ブレードへの耐熱コーティングと、空気冷却によって耐熱性を確保していたが、1,500℃では空気冷却も限界となる。そのためブレード内部に、空気より冷却効果の高い蒸気を通すことでこの温度を実現するというもの。ローター軸からブレード内部に蒸気を送るとともに、冷却後の蒸気改修もローター軸を通して行う。回転機械であるガスタービンでこのような構造を作り上げるには高い技術レベルが要求される。そのため、世界でこのタイプのガスタービンの開発を手掛けているのはGE〜東芝と三菱重工の2グループのみとなっている。
この冷却用蒸気は、GE〜東芝のHシステムでは蒸気タービンから抽出してガスタービンに送る。これに対して三菱重工業では排熱回収ボイラから抽出するという具合に設計思想が異なっている。単純に考えれば、三菱重工のH型は1軸直列型以外のレイアウトも可能で柔軟性は高いと見られる。そして同社も、同社高砂製作所のガスタービン試験棟「Tポイント」で2回にわたるテストを実施、既にH型の実用化のメドはつけている。
世界で最も高効率化設備の導入意識が高く、投資も多い日本でH型競争が世界に先駆けて始まるかもしれない。

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イラクの油田改修、2つの正式契約に
 米陸軍工兵隊は、非競争でKBRに与えたイラクの油田改修の暫定契約を、競争入札による2つの正式契約に代える。7月中に正式な見積依頼RFPがでると見られている。6月末の公示によると、2つの契約は別々の企業と結ぶ。各企業のサービス範囲はイラクの油田を南北にわけ操業しているNorthern Oil Co.とSouthern Oil Co.にわける。ID/IQ(indefinite deliverly/indefinite quantity)契約で最高60ヶ月間、金額は50万〜5億ドルを変動する。

 工兵隊はKBRとの契約は、戦争開始以前での競争入札時間がなかったとし、暫定でいずれ正式契約に代替する予定だったとする。KBRも暫定であることを認めており、新たな契約が確定すれば、論争を引き起こした非競争によるKBRとの契約は終了することになる。
コントラクターの入札資格は通常の取引資格と財務状況がパスすれば、戦争協力国か否かといった国籍は問わない。プロ−ザル説明会が7月14日にダラスで開催されるという。KBRとの暫定契約と同じくコストプラスフィー契約で内容は、油田の消火、サイトの環境評価と浄化作業、戦災をうけたインフラの安全な操業状態に復旧するための評価・エンジニアリング・デザイン・建設、油井・パイプライン・製油所のメンテナンスとオペレーション、製品の輸送、さらに輸出のコンサルティングサービスと広範囲に及ぶ。
工兵隊はサービス内容を明確にした契約を志向していたが、石油施設への広範囲な略奪と明確な破壊活動がプロセスを遅らせている。KBRによると、パイプラインの爆破などについてこれらの地域は軍事作戦の領域でアクセスしないという。ID/IQという不明確な2つの契約とせざるを得なかったと見られる。現公示はイラク石油省が改修について決定できる時期などイラクの油田にかかわる不確定条件が多いもので、正式RFPでより具体的な条件の提示が期待されている。
KBRはRFPが提示されたとき内容を検討するという。KBRの現在の仕事の累計額は2.35億ドル、5月末の3倍近い。既報したNafta Polskaをリーダーとするポーランド企業とのJVは正式契約されたが、具体的なプロジェクトが決まったものではないという。
FluorはAMECとのJVによる応札意向を表明していたが、さっそく今回の契約への応札を表明している。セキュリティの準備などもすすめており、イラクにすでに人員を派遣、労働者のプールの調査もしている。石油を市場に出すことにまで及ぶ広範な契約に対応するリソースの準備があるという。

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サハリンで400万kW発電PJ、日本に送電へ
 天然ガス資源の豊富なサハリンで大規模火力発電プラントを建設、電力を北海道へ送電する「日ロエネルギー・ブリッジ構想」が動き出した。ロシア国営統一電力システム(UES:United Energy Systems)が、同プロジェクトのFSを行うことで住友商事と合意書(MOU)にサインした。
MOUでは、サハリンで400万kWの天然ガスコンバインドサイクル発電プラントと変電設備、サハリン南部アニワまでの陸上送電線、北海道石狩・新潟県柏崎に電力を供給する海底直流送電の敷設を対象に、FS調査を実施する。年内にもFSを終了させ、その結果でプロジェクトを具体的に立ち上げるかどうかを協議していく。
サハリンで発電を行い、直流送電線によって北海道へ電力を供給するという日ロエネルギーブリッジ構想は、以前から天然ガスパイプライン構想と同時並行的に進められてきた。当初、丸紅がUESとプレFSを実施。その結果、プロジェクト総額が約1兆円という巨額の資金が必要であるうえ、電力購入先の確保の見通しが立たないことなどから、プロジェクトは停滞していた。
だが、電力自由化範囲の拡大のスケジュールが具体的に示されたことで、改めてFSを実施することとなったものと見られる。UESでは、2010年の運転開始を目指して設備を形成、年間280億kWhを日本に供給する計画だという。
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Project News
 カタールで新規GTLプロジェクト
イラン・Kharg島NGLプロジェクトで再入札
Kharg島メタノール・アンモニアで入札へ
イラン・ファーストLNGが始動
エジプト・アスワン水力改修でSiemensが1番札
サウジアラムコがIPPで事業権入札
オリックスの山口発電所、2009年に運転開始
新日鉄、静岡で溶融炉を受注
堺市南工場建替えPFIで三菱総研がアドバイザー
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タイトル
○…米国はイラクに圧倒的な軍事勝利を得たが、その目的を達したようにはみえない。
@戦争の目的は達したか
大量破壊兵器は発見できず、本人以下サダム政権の主要人物の行方は不明だ。
Aイラクに治安は戻ったか
現状の混乱は少なくとも数ヶ月、人によっては数年続くという。警察は再開された。旧イラク軍を解散、新たな軍を編成する。しかしバース党や急進宗教勢力に融和的でない占領政策が明らかにイラク人の抵抗を高めている。
Bイラク人の政府はいつできるのか
7月中に統治評議会をつくることにイラク人各派と占領軍統治官が合意し、ようやく第一歩を踏み出した。
C経済は快方に向かっているか
混乱する通貨問題はサダムディナールにより新紙幣を発行する。金融システムは未整備のままだ。
C石油は復興資金となるか
治安の悪化と電力不足から生産復旧はさほど進んでいない。GlobalBusissで述べた新改修契約の目的は戦前の水準250万BPD。300〜350万BPD生産の目途は立っていない。当然当面の復旧資金の不足が予想される。
D連合軍はいつまで残るか
長期になりそうだ。そして人数の増強も必要だ。それがまたイラク人の抵抗を生む。

○…さきごろ文化庁が国語に関する世論調査を行った。カタカナ語が氾濫しているが、「ストレス」などは理解度が高い。それに比べ、官庁が良く使う「インキュベーション(起業支援)」などの用語は国民の間にほとんど浸透していない。官庁用語といえば、一般に分りにくい用語の代名詞だ。
以前から官庁が出す文書で気になっている語句がある。「等」である。「など」はほとんど使われないが、「等」は随所で多用される。法律で直ちに思い浮かぶものを挙げてみると、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」がある。PFI法と呼び民間資金の活用を趣旨としている。辞書には「など、等」の意は、「例として指示する意を表し、その外にも類似の物事があることを暗示する」とある。また、「限定しないでやわらかくいう」ともなっている。ところが、官庁で使う「等」は決してやわらくなく、とにかく暗示を多くする目的で多用しているのでは?つまり後で追及されないよう逃げている。財務省の文書で次のようなものがあった。「4月25日付で関係団体等の代表者宛に要請文書”外国為替及び外国貿易法に基づく報告義務等の遵守の徹底等について”を送付し、外為法令の遵守の徹底の要請等を行った」。報告義務、徹底、要請と限定してはいけないのか。甚だわかりづらい。

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