ECN誌は恒例のプロセス技術特集で欧州プロセス・コントラクターの近況を概観している。これによれば顧客である化学工業の景気下降期にもかわらず、多くの欧州エンジニアリング・コントラクターは健闘しており、中にはいまなお能力一杯の受注をかかえている企業もあるが、アジア勢の競争に直面、コスト削減の手を緩めていない。
中国とイランの石化プロジェクト活況
化学メーカーはここ2,3年連続で設備投資を抑制し、多くは減価償却を大きく下回るレベルに削減してきた。
エンジニアリング企業にとって厳しい状況といえるが、1990年代末のピークには及ばないものの、多くのコントラクターはかなり好調な業績を確保している。これはなお活発な設備投資を持続している2,3の地域、つまりサウジアラビアやイランなど中東、それに中国の大型投資に参画することにより、記録的受注を確保してきたためである。例えばフランスのTechnip-Coflexipはイランだけでも世界規模エチレン・プロジェクト3件を受注、中国ではBASF向けTHF/ポリTHF設備を建設中であり、Shell/CNOOC向けのSM/POおよびMPG/ポリオール・コンプレックスを千代田および三菱と共同受注している。イタリアTecnimontも、ポリオレフィン・プロジェクトで多忙を極めているが、最近受注プロジェクトの建設期間がやや延びているという。
イランや中国で建設中の半ダースほどの石化コンプレックスに関連したクラッカーやダウンストリーム設備向けの技術をオファーしているこれらのコントラクターは、Shell、BP、BASFなどの国際企業およびその中国側パートナーやイランのNPCからの最近の発注で潤ってきた。中国のプロジェクトは長期間たなざらしになってきたが、今年は2005~2006年の完成に向けて急速な進展がみられている。
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