EnB 11号 目次
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■EYE
プラント業界を見習え詳細へ

■REPORT
進展するエンジニアリングIT詳細へ

■REPORT
北東アジアの天然ガスと地政学
パイプライン、地域の安定性、および北朝鮮の核問題A

■TOPICS
財務体質改善目立つ専業エンジ3社決算詳細へ

鹿島、エンジニアリング/海外に注力

Swagelok、DRPバルブを医薬品向けに展開

■GLOBAL Business
2002年のドイツ・プラント受注、海外市場で堅調保つ
世界のエンジニアリング企業、リストラで利益上昇
ABB、石油ガス石化事業の売却、買手企業出現詳細へ
Alstom、送配電・変電機器事業の売却進む詳細へ
Amec、SPIE Batignolles売却を交渉中
Black & Veatch、Vecoカナダにプロセス提供権供与
イラク復興プロジェクト

■NEWS FLASH
・エンジ3社、相次ぎ超大型PJ獲得詳細へ
・新日鉄、POSCOからCDQを2基受注
・鹿島、米国山之内製薬向け製剤工場受注
・日立造船、環境事業で受注
・三菱重工、PCB処理装置を初受注
・三菱化学主導のポリオレフィン事業運営体制、固まる
・コスモエンジ、余剰汚泥減容化装置を開発
・日立プラント、次世代型下水処理システム開発
・新日石、工事・エンジニアリング事業を統合
・02年度産機受注、プラントが支えて外需増加
・イラク復興向け貿易保険を引受け詳細へ
・Project News詳細へ

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■DATA FILES
・3月の環境装置・産業機械受注状況
・エンジニアリング業の2003年3月の動向

■エンジニアリング・ダイジェスト

■EDITORIAL 詳細へ

EnB 10号 表紙

 

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プラント業界を見習え
 今年の決算説明会では「SARSの影響をどう見ているか」という質問が良く出たようだ。
中国や台湾ではSARSが大変な騒ぎになっており、日本でも一騒動あった。プラント業界としては、各種の中国案件や台湾新幹線プロジェクトなどでの進捗遅れが気になるところだが、今のところいずれも重大な影響は出ていないようだ。実際のところ、SARSがいつ沈静化するかも全く先が見えない中では、プロジェクトについても、決算についてもどの程度影響が出るのか、今のところ全く見通しが立たないというのが実情だろう。
台湾新幹線プロジェクトでは、現地事務所は厳戒態勢を敷いているという。外部からの訪問者との面談は全てロビーで行い、事務所内部には入れない。勿論定期的に消毒を行う。また、日本国内での感染を防ぐため、現地事務所への出向者が帰国する場合、10日間は自宅待機として、それで異常がなければ漸く出社が許される。こうした施策が幸いしてか、今のところSARS患者は出ておらず、ちょっと仕事はやりにくくなっていそうだが、進捗にも影響はないという。もっとも、まだ現地での建設工事が本格的に始まっているわけではないので、遅れがでていないのも当然かもしれない。最近ではSARSの拡大も勢いが落ちてきているので、このまま沈静化してくれれば、ひと安心なのだが。
それにしても、関西でのSARS騒動はおかしなものであった。発症した台湾人医師が日本を離れてから、1週間以上たってからあちこちを消毒していた。ウィルスは人体の外に出てから1週間も生きてはいられない。既に死滅したウィルスを懸命になって殺そうとしているのである。ヒステリックさすら感じさせた。
新たな患者が発生していないのは運がよかったとしかいいようがない。消毒するのであれば、もっと早い段階で行わなければならない。とっくに無害化しているのに、宿泊施設では営業が停止され、大きな損失を産み出してしまった。事態に対する対応の遅れが経済的な被害を拡大したといえる。少しは民間の対応を見習って欲しい。
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進展するエンジニアリングIT

 3次元CADをはじめとする、エンジニアリングITツールは、もはやプラントビジネスにとって無くてはならないものとなった。単にプラントの設計を効率化するという目的を超えて、ライフサイクルデータ管理により設計から建設、O&Mにまで活用されようとしている。

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財務体質改善目立つ専業エンジ3社決算
 専業エンジニアリング大手3社(千代田化工建設、東洋エンジニアリング(TEC)、日揮)の決算がまとまった。各社とも好調な受注を背景に、本業では確実に利益を確保した。しかし円高およびユーロ高に伴う為替差損の発生や、金融不安による株式評価損などが影響し、TECは最終利益が赤字となり、日揮も減収となった。だが、各社とも融資利子負債の圧縮が進んでおり、財務内容は健全化している。新たに不採算案件が発生したTECにはやや不安要因が残るが、良質案件の獲得を背景に今期は黒字化−復配の実施を目指す。
受注面では既に3社で3つの大型案件により、今年度の受注目標の半分以上を確保。さらに今後も大型受注が期待されている。そのため受注活動にも余裕が生まれており、より良質な案件獲得を狙える状況となっており、来年度以降の決算内容も期待されるところだ。
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ABB、石油ガス石化事業の売却、買手企業出現

 ABBの第1四半期の損失は4500万ドルとなった。予定されている石油ガス石化事業(OGP)の売却は3社の買手候補企業がいることが明らかにされた。しかし、既報のアスベスト訴訟解決案の承認の遅れは商談の遅れに影響する。

 損失の要因は前年までの負債の累積、事業再編費用がある。当四半期のコア事業の電力部門オートメーション部門の受注はローカル通貨ベースでは前期並だが、ドルベースでは11%増。売上高はローカルで5%増、ドルで18%増となった。事業売却の一方、10億ドルの新株発行を計画しているという。
OGPについては15億ユーロ(17億ドル)程度で、年末までに売却を見込んでいる。アスベスト訴訟のためのCombustion Engineeringのプレパッケージ破産申請の早期承認を期待している。ただし、OGPの売却は独禁当局の承認が必要なので、6月末までに仮決定する必要があると見られている。3社の買手候補企業は明らかにされていないが、ニューヨークタイムス紙が4社を挙げている。最有力企業としてはCooper Cameron Corporation、関心を持っている企業としては、GE・Bechtel・Halliburtonがあるという。
Cooper Cameronはヒューストン本社の石油機器メーカーで2002年の売上高15億ドルの企業だが豊富なキャッシュを持つ企業だ。Cooper CameronはOGPのVetco Grayの油田ウェルヘッドバルブビジネスと深海石油ビジネス(Offshore Systems)に関心をもっているという。アナリストはこの2事業だけで10億ドルで売却できるという。残る2事業部門Lummus GlibalとOG Brazilは全く買手がないわけではないが、魅力的でないと述べられている。

 

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Alstom、送配電・変電機器事業の売却進む
 Alstomの3月末に終わる02年度決算によると、純損失が前年の1.39億ユーロから13.8億ユーロに増大した。送配電・変電機器事業の売却が進み、4社に絞ったという。

 02年度の大幅損失により年金の削減を行う。損失の大きな要因はABBから買収した大型GT GT24/26の技術的問題の解決費用と英国における鉄道車両関連のコストだ。
負債削減計画は02年度中に30億ユーロの事業を売却、03年度中に20−25億ユーロの売却が残った。既報の産業用ガスタービン事業のSiemensへの売却に続いて送配電・変電機器事業の売却が進んでいる。売却額は15億ユーロ以上を期待している。買手企業は投資グループ以外に競合企業も関心を示していたが、4社を選択したという。投資グループとしてはClayton, Dubilier & Rice・BC Partners・Cinven and CVC Partnersが挙げられている。

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エンジ3社、相次ぎ超大型PJ獲得
 専業大手エンジニアリング会社3社が相次ぎ大型プロジェクトを受注した。前号で既報した、千代田化工建設〜東洋エンジニアリング(TEC)によるサハリン2LNGプロジェクトの受注が確定したのにつづき、TECと日揮が共同でイランSouth Parsガス製造設備を受注、さらに日揮はオマーンのソハール製油所プロジェクトを受注した。この3件での受注額合計はおよそ5,500億円にのぼる。
オマーンのソハール製油所プロジェクトは、Sohar Refinery Companyから受注したもの。首都マスカットの北西250kmのSohar地区に原油処理能力11万6,000b/dの製油所を建設する。日揮が単独で受注したもので、常圧蒸留装置、RFCC、LPGMerox装置、ガソリン脱硫装置、深度脱硫装置、オフサイトユーティリティ装置などから構成される。日揮の役務範囲は設計から機材調達、建設工事、試運転役務までを含めたターンキー・ランプサム契約。受注額は約8億8,000万ドル(1,000億円強)という大型案件だ。完成は2006年上期の予定。同プロジェクトは。、オマーン国内のガソリン自給を目的としたもので、ガソリン、プロピレン、LPG、ナフサ、灯軽油、燃料油などを生産する。日揮は2000年に同プロジェクトのFEEDを実施しており。国際入札の結果EPCについても手掛けることとなった。同社では、これまでのグラスルーツ製油所プロジェクトの実績と、技術提案力、ファイナンスアレンジ力が客先から評価されて受注に成功したとしている。これまで日揮はパキスタン・パルコ製油所、タイ・スター製油所、インドネシアEXOR-1製油所、イラン・アラク製油所などを手掛けているが、オマーンの製油所プロジェクトを受注するのはこれがはじめて。なお、同プロジェクトでは日本の国際協力銀行の融資と貿易保険が付与される。
イラン・South ParsプロジェクトはTECと日揮、現地IDRO、韓国・大林産業の4社コンソーシアムで受注したもの。イラン国営石油会社(NIOC)の全額出資子会社であるPetroparsがBandar Assaluyeh地区に計画している、10億cf/dのガス製造設備3基、および用役設備を建設する。役務範囲は設計、機器資材調達、建設工事、試運転までのターンキー・ランプサム。受注額は約1,500億円。完成は2006年末の予定。同プラントは、イランの沖合い約100kmのSouth Parsガス田の6〜8鉱区から産出する30億cf/dのガスから、LPGとコンデンセートを製造する設備であり、1プラントとしては世界最大級の能力を持つ。また、TECと日揮が初めて共同で実施する初めての大型プロジェクトとなる。
サハリン2LNGプロジェクトでは、東京ガスが正式にLNG購入契約を交わしたことで、サハリン・エナジー・インベストメントが商業化を宣言。これに伴って千代田化工〜TECのEPC受注が確定した。近く正式に契約を交わすことになる。LNGプラントの建設サイトはサハリン南部のプリゴロドノイエ。世界で始めて大型LNGプラントに適用されるShellのDMR(二重混合冷媒)法で、480万t/y×2系列のLNGプラントと、10万m3のLNGタンク2基、LNG出荷設備を建設する。両社のほか、ロシアの大手工事会社ヒムエネルゴ、ガス関連設備の設計会社ニピガスペレラボトカとの4社で受注。受注額は3,000億円にのぼる。完成は第1トレインが2007年。DMRプロセスは、プロパンの替わりに混合冷媒を用いる。サハリンのような寒冷地帯ではプロパンの働きが落ちるため、2種類の異なる成分による混合冷媒を使うことで効率化するとともに、低い外気温を有効活用するすることで効率化を図ったプロセス。また、同プロジェクトでは寒冷地での設計・施工上の対策、およびロシアでの許認可取得、高いロシアコンテンツ要求への対応など、ロシア特有の要因がプロジェクト遂行の鍵となっており、この面でロシアで多くのプロジェクトを実施してきたTECのノウハウが活かされることになる。両社は、ロシアで初めてのLNGプラントとなる同プロジェクトを手掛けることで、将来のロシア国内の各種天然ガス関連プロジェクトの礎となるとしている。
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イラク復興向け貿易保険を引受け
 経済産業省は、輸出貿易管理令に基づく通達の一部を改正、イラク向け貿易保険の引受方針を変更した。政府無償援助であって、医療品、食料、医療その他の生活必需品物資で人道支援と認められる場合のほか、イラク復興事業に用いる物資を第3国経由で輸出する場合でも原則として輸出承認を行うこととした。
独立行政法人日本貿易保険機構(NEXI)では、日本企業による積極的なイラク復興支援事業への参画を通じた貢献を進めるべく、短期貿易保険の引受け方針を変更。輸出貿易管理令の輸出承認や外国為替令の仲介貿易の許可を受けたイラク向け案件では貿易保険を再開する。
再開するにあたり、貿易保険が引き受ける具体的リスクとしては、@イラク港湾が紛争・内乱などによって封鎖され、貨物が到着しない、Aイラクの港湾から倉庫まで運送する際に運送路が破壊されて貨物が到着しない−などを想定している。
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Project News
・ベトナム初の製油所、近くEPC契約へ
・クウェートでエチレン計画
・中国でも相次ぎ新規エチレン計画
・イランNIOC・LNGプロジェクト前進
・Arak・Abadan製油所近代化、年末にもEPC入札
・三菱商事、カリフォルニアにLNG受入基地
・神栖LPG国家備蓄で入札へ
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編集後記

○…りそなグループへの公的資金注入が決まった。監査法人が繰り延べ税金資産の自己資本参入年限を3年しか認めなかったため自己資本比率の4%割れが確定したためという。政府は危機の未然防止というが、繰り延べ税金資産の自己資本参入問題だけに他の大手銀行への波及が予想されている。本格的な金融危機のはじまりだ、政策転換して、りそなでおわりにして先延ばしという主張もでている。これは最悪のシナリオだ。一向に進まぬ金融改革、りそなの実質国有化が実効ある金融改革のはじまりであってほしい。
プラントビジネスにおいて、邦銀のボンドが認められない、邦銀のプロジェクト投融資の低迷などが伝えられている。すでに97年にはAramcoに某大手行のLC受け取りが拒否されるなど、邦銀の国際的な信用が失われて久しい。
東京都が銀行を作って、中小企業融資を進めるという。まさに既存の銀行が不良債権処理におわれ、正常な信用創造機能を果たせないことのあらわれだ。日本の銀行は値上がりを前提とした土地担保によるビジネスモデルの崩壊にかわるビジネスモデルの形成に依然として成功していない。負の遺産のない銀行という意味で注目される。もっとも新たな銀行を運営できるノウハウをどう調達するか問題だが。
○…虎ノ門、新橋、赤坂界隈の都心には「森ビル」と銘打った高層ビルがいくつもある。最近オープンした「六本木ヒルズ」も森ビルが開発したものだ。同社は単体ビルの開発より、周辺も含めた再開発に力を注いでいる。
その森ビルがこのほど行政訴訟をおこした。PFIで実施する「衆議院赤坂議員宿舎整備等事業」の民間事業者選定結果・選定基準がPFI法の趣旨に反するという訴えだ。PFI法で提唱する総合評価一般競争入札で行った事業者選定には森ビルグループのほか、鹿島グループ、大林組グループの3グループが応募した。今年2月に審査委員会で最低価格で応札した鹿島グループを落札者と決定した。
森ビルはなにが不満であったか。一言で言うと、VFM(バリューフォーマネー)の解釈の違いを問うているのではなかろうか。森ビルは民間デベロッパーとして周辺敷地と一体にした開発を提案し、建物規模が大きくなった。結果的に応札価格も高額となった。しかし、30年間のテナント収入などを勘案するとはるかに同社の提案の方が国の収入は大きい。PFIの最大の狙いは、VFMの最大化だ。けれど、価格重視を問題とするのなら総合評価一般競争入札という選定方式自体が問われなければならない。

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